ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

三脚のはなし

 

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            三脚を新調しました。

 

 

 

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 先代がこれ。20年ほど使いましたか。横方向のロックねじが緩んできて,接写が命の私の写真撮影に影響が出てきたので。まあ寿命でしょう。モノは壊れるまで使うという私によく付き合ってくれました。

 

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 写真機材メーカーハクバの,プロ仕様の三脚でした。接写用に足が平開できる機構を備えてます。雲台は3ウエイ,とにかく頑丈で安定性は抜群,それゆえ重い。2キロ以上あると思います。私はさらに自由雲台を常設しているので3キロくらいになっていたんじゃないかな。

 

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 この重さが信頼のあかしでしたが,それが大きなストレスになっていたのも事実です。本当に重い。接写には絶対必要な機材なのに持ち歩きに躊躇したり。いえ山登りでも必ずストラップを付けて携行してましたよ。鍛えられました。

 

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 こんな風に。

 で,新三脚は軽いのを選んでしまった。ファミリー三脚というカテゴリーの,アルミの薄い角型パイプのやつです。5キロ荷重をかけたらぐにゃーっといきそうな。ええタマシイを売ったんです。安かったけど。

 

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 さっそく実戦。森を歩くのに片手で楽々と。完全に盾代わりになりました。軽い軽い。自重1.4キロというのはこのカテゴリーでは重いほうだし,数字的には先代とそう違わないように見えるのですが,持った感じは「羽のように軽い」。操作性も良いので,まあ替えてよかったかな,と。

 

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 接写も問題なく。シロヒメホウキタケ。埴輪の手みたいだと思いません?

 

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 冬虫夏草ハナサナギタケ。最普通種なのに今年は見てませんでした。

 

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 シソ科のレモンエゴマ。レモンの香りが爽快です。

 

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 シダの前葉体がありました。ここから「本物」のシダが成長します。


 十分実用に耐えるものでした。さあ次はカメラ本体を新調だ。

 

 


 最後に,先代三脚の個人的な思い出を書かせてください。


 その年,使い切らなくてはならない予算があって困ってました。私用の機材に使っていいお金です。いや2,3万円なんですがそれにしても贅沢な話でした。困った末,なんでも調達してくれる出入り業者の営業さんに,市場価格は一切調べないからこの金で三脚を一つ持ってきてくれとお願いしました。そして納品してくれたのがあの三脚でした。


 それから程なく,別の納品に来た姿を見てびっくりしました。あごに大きなコブがぶら下がっているんです。唾液腺だとは知れました。聞くと,良性腫瘍なんです,いま放射線治療中なんですとの答が。


 ごめんなさい。


 その時点で理解してしまいました。だって,良性腫瘍放射線治療なんかしないって知ってましたから。


 驚くほど早く,その営業さんの訃報が届きました。亡くなる少し前に,成人した息子さんと旅行に行った話も聞きました。余計に悲しくなった憶えがあります。


 そんな三脚でした。

 

 

 

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雨のツクツク森

 

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 一時涼しくなったのが,昨日は秋雨前線が北上して南風の猛暑日。今日も朝方は少し汗ばんだのですが土砂降りの雨が降ってきて,ああこれが前線通過かと思いました。そして雨が上がると寒いほどの北西風。季節が分秒で変わるのを面白く見てました。雲が切れていきます。


 空が天啓のように明るくなったのでフィールドに出かけてみます。心と時間に余裕ができて,また今の仕事の先が見えてきたので,人生を見返すように過去のフィールド再訪を続けてます。今日はツクツク森。そう以前の記事で「ツクツクボウシ冬虫夏草に片っ端から食べられてる森」と紹介した場所です。水戸市内なのですが記事を書いてから3年間行ってません。無事かどうか,祈るような気持ちで訪れました。

 

 

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 小さな鎮守の杜に続く獣道だったのが,すっかり整備されて裏参道になってました。森が皆伐されてないだけで良しとしましょう。さあ久しぶり,完全武装で森に潜ります。

 

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 夕刻のように暗く雨のしずくに満ち満ちた森です。今日の目的はまず冬虫夏草。複数種見つけられればいいなあとクモの巣を払って身を沈めて歩くと,これは確実な線でしたがツクツクボウシタケがありました。ああ滅んでなかったと,それだけで嬉しくなります。

 

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 ある生物が確実に見られる場所というのは自家薬籠中というか,指とか心臓とかと同じ「私」の一部なんです。それが失われれば身を切られる感覚があります。最近そういうことが増えました。

 

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 掘ってみました。哀れツクツクボウシの幼虫がキノコに食われた姿を現します。

 

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 落ち葉をのけたらすぐ横にもう一本成長しかけのがいました。

 

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 発生期から少し遅れたので数は少ないのですが,相変わらずここはツクツクボウシタケの森です。安堵しました。

 

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 今日はツクツクだけが目的ではないので,いつもより範囲を広げて歩きました。見つけたのがこれ,ガヤドリタケ。まだ成熟してませんが,ここでは初めて見ます。空中発生する冬虫夏草です。

 

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 林床が白く光って見えました。冬虫夏草じゃないけどコウモリタケです。マイタケに似てますが食べられません。針葉樹の森によくあるキノコです。そうここは針葉樹が優先する森。不思議なのは,普通針葉樹の森は生物相が貧弱です。でもここはいろいろな,ここだけのものが見られます。自然は教科書通りじゃない。

 

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 さらに深く,孤独な深海潜航艇のように森の底に潜ります。すると出会ったのが廃道。実はこの道,国土地理院の地図にはしっかり書き込んであるのですが実際にはもう20年以上使われず,荒れ放題です。最近の地理院の地図は,山中の道に関しては本当に当てになりません。

 

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 足元に赤い実をつけた小さな草本がありました。実がなければテイカカズラの実生と思い込んで見過ごしていたでしょう。ツルアリドオシです。

 

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 暗い森の底で人知れず雨に濡れる美しい…… でもヘソが二つある変な実。アカネ科の植物ですが,二つ一組の花が花後に合着して一つの実を作ります。なんでそんなひと手間多いことをするのか,ご本人に聞いてみたい気がします。いや昔からこうだしーとか答えそう。

 

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 木が倒れ,そこに日が射すことで植物が繁茂する「ギャップ」です。道は完全に遮断されました。…… 足元に動く影が。

 

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 マムシでした。ヒトに驚き,草むらに逃げ込んだところで退路に窮し,ガラガラヘビみたいに尾を震わせて威嚇してます。小さくて臆病なヘビです。子供のころから馴染み過ぎてさっぱり怖くないのが自分でも問題だとは思ってます。いずれにせよ殺したりいじめたりする気はなし,怯えさせるのも本意ではありません。そのまま後退します。

 

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 道を外れ獣道を下っていくと沢に出ました。今朝の雨で濁ってます。パンニングしたくなったけどさすがにパン皿は持ってきてない。「映像研に手を出すな!」の浅草みどりみたいに日常品からサバイバル用品まで一切合切ザックに入れて持ち歩くの,私には同類として理解できます。だってこういう時ああっアレを持ってきてればって本当に悔しいもの。

 

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 特に樹の下闇の濃いところ,藪の深い所にその名もヤブランが貧相に咲いていました。

 

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 根は麦門冬ばくもんどうという生薬なのですが,それにしてもよくこんな場所に根付いたものです。花は虫媒花,でもこんなところのこんな花に訪れてくれる虫などいるのだろうか。

 

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 …… ヤブランにすれば余計なお世話ですね。彼らは何百万年もこうやって生を繋いできました。ヒトより長い時間を生き抜いてきました。心配には及ばないのでしょう。

 

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 遠くで昼のチャイムが鳴ってます。ですが雲が濃くなっているのでしょう,森の底はいよいよ暗くなってきました。視界が危うくなってきたので今日はここまで。ツクツクボウシタケの森はまるで箱舟のように,今も多くの生き物を育んでいます。

 

 

 

↓ 元ネタの記事です。 

ツクツクボウシの森にて - ジノ。

 

↓ お願いします。 

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オオブンブクと高校生

 

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 昨年の夏のこと。高校生を連れ回してくれないかと頼まれました。あ,男子です。


 よくわからないままよしきた!と安請け合いして,池やら森やら海岸やら,私のフィールドを連れ回しました。

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      その彼が平磯海岸の岩場で見つけたのがこれ。

 

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          オオブンブクの殻。


 棘皮動物の,ブンブクウニの仲間。作ってませんよ。そういうグループがあって,代表種がブンブクチャガマって言うんでグループ名がブンブクウニ。いや作ってないってば。一般の人の目に触れないだけで,けっこう繁栄しています。


 でも平磯で初めて見た。40年以上通っている場所なのですが。

 

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 大きさはこんなもの。小型種が多いブンブクウニの中ではかなりデカい。大きいもので10センチになるそうで,生体を持ったらさぞやズシリとくることでしょう。

 

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 殻の頂部に生殖孔。ウニでは5個ですがこれは4個。基本的に放射相称(5軸)の棘皮動物にあって,これは珍しい左右対称なのだ。

 

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 これは肛門。ちなみに一般のウニの口器「アリストテレスの提灯」は持たないそうです。食べ物が違うから。

 

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 生体ではこのイボの一つ一つに棘が生えてます。

 

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 こっち見んな。…… いや,怖いマスクの目に見えません?

 

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 ブンブクウニの外観上の特徴,上面の大きな溝。「花紋」と言って,棘皮動物独特の「菅足」が呼吸専用に特化したものが生えている場所です。呼吸帯とでも言うべきか。

 

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 棘皮動物というだけで変なのに,これはまた思いっ切り変な生き物です。生きてるのを採集したくなりました。海底に暮らすものなので潜らない私には難しいけど。殻だけでもよく見つけたものです。高校生侮りがたし。


 この高校生,道道聞いてみるとものすごく生き物が好きな子で,大学で生物の研究をしたいと思っているそうです。野山を歩いては採ってきたものを飼育する,かつての私と同じようなことをしている。トウキョウサンショウウオの卵のうが雨で路上に流れ出たのを拾って,自宅で手足が生えるまで育てて元の場所に帰したとか,思わず涙が出そうなことを言うもんなあ。


 こんな子を,都会のビルだけ大学に入れてはいけない。彼を私に託した人も,受験勉強の指導を願ったのではないでしょう。私は私のやり方で,彼のモチベーションを支えてやれたと思います。その後無事に,自然豊かな地方国立大学農学部の,学生に好きなことをさせてくれる所に合格できました。


 このオオブンブクの殻,ずっと私の手元にあったのですが,彼が持っていたほうが世のためと思ってました。この夏遊びに来るというので百円ショップのもので標本っぽくしつらえて渡しました。喜んでくれたので,それで良し。

 

 

 

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庭のアケビコノハ 【虫ですよ】

 

 

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 我が家の前面,市道に面した側にミツバアケビグリーンカーテンを作ってました。濃い緑がいい目隠しになるし,アケビは実るし,なかなか成功例だと思っていたのですが

 

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            落ちた。


 冬になったら切るつもりではありましたが,こうなっては仕方ありません。光合成をたっぷりさせて,実を大きくしたかったんだけどなあ。

 

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 ネットは再利用したいのですが,木質のつるがぎちぎち絡まって切るのも一苦労です。百円ショップのものですけど,根が貧乏人ですから。ヒイヒイ言いながらハサミをふるい,ふと足元を見たら

 

 

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 え?


 アケビコノハ だああ! 旧友と再会したような感情に満たされます。軒下のホウキギの上を這ってました。アケビ崩落と共に落下したのでしょう。

 

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 見ると,枝にも取りついてます。大切なアケビの葉を食うものではありますが,オオスカシバみたいな浅ましい食い方をしないので気づきませんでした。これは助けようと思います。

 

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 蛾の幼虫です。この目玉模様が絶品で,アケビを植えたばかりの時に現れて大喜びしてこのブログの最初期に記事にしました。よろしければ文末のリンクを押してくださいませ。けっこうお気に入りの記事なんです。


 成虫は果樹の大害虫で我が庭も警戒しなければとは思うのですが,嫌いになれないんだよなあ。人にもそういうのっていませんか?

 

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 ともあれこいつらには災難でした。家の裏のほったらかしのアケビに移してやります。

 

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 先日はうちのニンジンに産卵に来たキアゲハを追っ払って,卵も全部駆除しました。キンカンのアゲハやクロアゲハも駆除します。ルリタテハも同様。アケビコノハだけえこひいき。

 

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 これもひいきの対象,ミノムシ。たぶんオオミノガ。どうかウチの庭で増えてくれ。

 

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 アケビに狂い咲きの花がついてました。雄花でも雌花でもない不完全な両性花に見えます。こんなもの初めて見ます。我が庭のささやかな自然ですら,私が気づかないことだらけです。あまねく人智が及ぶなど,考えないことですよ官僚や学者の皆さん。

 

  

 めだまもようがあらわれた!(https://www.xjino-love-sky.com/entry/2017/09/04/215256)もよろしければご覧くださいませ。

 

   

 

 

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御岩神社の冬虫夏草

 

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 今年,何度か花園に行っても冬虫夏草が見られないのは,長梅雨の影響で季節が後ろにずれこんでいるためと思ってました。もしそうなら今頃がチャンスかな,と。


 でもああ花園は遠い。県内とはいえ出不精の私には十分に遠い。しかもこの暑さときた。逡巡したあげく,今日は御岩神社に詣でることにしました。若干日和ったことは認めねば。


 御岩神社にしたのは別の理由もあります。この夏は暑さにクラクラしてたせいか安易な写真しか撮ってないなという反省があります。ひとつ御岩神社の神さまの前で気合の入ったのを撮って,この夏の総括に代えようかと。接写の機材もずいぶん永く使い込んできたので替え時を見極めたいとも考えています。さて。

 

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 今日も晴れた。でも今年の異常気象には私の晴れ男パワーがさっぱり通じません。用心しよう。

 

 ちなみに外界は今日も酷暑なのですが,ここ御岩神社の境内は谷から吹き降ろす涼風で薄着では肌寒い感覚があります。すごいなあ御岩神社。

 

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 ミズバショウ池でオニヤンマが盛んに産卵してました。この世界最大級のトンボがそこらになんぼでもいるんだから日本てすごい。

 

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 さて接写だ。水の滴る岩に張り付いたウチワゴケ。こう見えてシダ植物です。

 

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 三本杉の根元にキバナアキギリ。ああ秋の花。

 

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 その構えたカメラの隣に巣を営んでいたクモ。レンズを振ってついでの一枚。種名は知りませんが色彩といい造形といい,ただ美しい生き物です。

 

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 落ちていた材が青緑色に染まってました。前に花園でご紹介したロクショウグサレキンという菌類(キノコ)です。材の一端で一斉に子実体(キノコ)を出してました。

 

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 緑の毛氈にオウレンの葉。春の開花期にはその花だけを目的に出かけたくなる愛らしいキンポウゲ科です。

 

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 これもキンポウゲ科。暗い林床で哀れなほど貧相ですがヤマキツネノボタン。

 

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 微細な花は拡大すればちゃんとキンポウゲ。

 

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 石段に何かいる。

 

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 蝶です。ムラサキシジミの…… メスかな。羽化したての新鮮な個体。


 という感じでだんだん調子が上がってきたところで

 

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 え…… ?

 

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 カメムシタケ冬虫夏草! 御岩神社で初めて見る冬虫夏草です。

 

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 冬虫夏草としてはむしろ普通種ではあるのですが,まさかここで見ることになろうとは。花園まで高速代かけて行かなくて良かった。さすが御岩神社の神さまはサービスが違います。ありがたや。

 

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 目が慣れると,そこら中にカメムシタケ。ちょうど発生のピークに当たったようです。

 

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 普通種と言いましたが,もちろんどこにでも出るものではありません。冬虫夏草はいずれもその土地の種の多様性の象徴です。原生の自然が保たれていて,生物の多様性が維持・保全されている土地にしか現れません。なぜ多様性が重要なのかという問いに対する一つの解答なのです。だから見つけるとうれしい。そういう場所にいま自分がいることがうれしい。

 

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 もちろんここは神域,持ち帰ろうなんていけません。ただ確認だけはしたいので,1本だけ掘らせてもらいました。意外なほどちゃんとした大型カメムシが宿主でした。

 

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 アオカメムシの類でしょうか。まさか自分がこんな最期を迎えるとは夢にも思ってなかったろうなあ。

 

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 傍らにいたドウガネブイブイ。何があったか,前翅に大穴が開いてます。たぶんもう飛べないでしょう。本当に,人生何があるかわからない。

 

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 と,ここでいきなり水入り。雷鳴一つ鳴ったかと思うと,いきなりの雨。お堂に避難です。晴れ男,形無し。

 

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 そしてまた晴れ間が。今日はこの後もこんな降りみ降らずみの天気でした。

 

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 水気を含んでより森閑とする境内。

 

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 雨を受け陽を受けて生気を沸き立たせるようなモミジガサ。古いカメラをいたわりたいので今日はこれで退散です。お賽銭を奮発して神さまに御礼。天気を含めていい一日でした。

 

 

 

 


追記
 念のため申し上げますが,この記事を見て御岩神社にカメムシタケを取りに行こうなんて思わないでくださいね。御岩神社に迷惑が掛かります。ここのは神さまのものですよ。それにこの記事を見てから出かけても発生期は終わってますので,どうかよしなに

 

 

 

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夏の終わりのパンニング,高温石英とシーグラス

 

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 川の水かさもようやく引いて,パンニングに行きたくなったのが週末土曜日。ずっと考えてた大子に行ってきました。


 以前に玄武岩由来のざくろ石の産地を見つけたのに味を占めて,沢にざくろ石パンニングです。地質図で玄武岩地帯を貫く沢にあたりを付けて,いざ。

 

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 最初の沢は,道がひどいガサやぶ。山刀で道を切り開きながら車を進めましたが,こりゃダメだ。

 

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 次の沢は…… 地図で見たときは有望に思えたのですが,現場で見るとあまり雰囲気がよくありません。何がと問われると答に窮しますが,なんとなく最近はそういうのがわかるようになりました。

 

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 パン皿ぐーるぐる。

 

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 ざくろ石は破片ばかり。どんなに理論立てても思い通りにならないのがフィールドです。ここも精査すれば当たりもあるでしょうが,そこまでする場所にも思えません。

 

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 以前に同じ大子の別の沢での戦果。これ以上を期待したのですが。

 

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 今日はハズレでした。ざくろ石大好きなんだけどなあ。


 翌日曜日は猛暑。暑くて外に出る気がせず,一日家におこもりです。部屋を閉め切りクーラー効かせ,以前に採ってきた初崎海岸の砂をほじくって一日を過ごしました。

 

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 高温石英

 

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 シーグラス。

 

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 こういう一日の潰し方も私にはアリです。ああ平和だ。


 二百十日を過ぎました。立春から数えて二百十日目,イネの開花期であるとともに台風の襲来期を意味するのだとか。イネは早生が主流になってもう稲刈りの田んぼもありますが,台風のほうはちゃんと来てる。昔の人ってすごい。

 

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 例年はお盆のころに満開のサルスベリが,今年は9月になってから。

 

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 うちのアサガオは長梅雨の間に葉を黄色くして枯れよかなーってところで猛暑。慌てて花を咲かせてます。ご近所では家庭菜園のキュウリやスイカが駄目だとか。

 


 異常気象で天地水命がすっかり乱れて,植物界は混乱してます。このあたりでは例年ヒガンバナがちょうど秋のお彼岸に咲くのですが,今年はどうなるのだろうか。マイペースな私もふとそんなことを考えつつ,夏の終わりがやってきます。

 

 

 

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庭のクチナシのオオスカシバを駆除しました 【虫です。ぶよぶよです】

 

 

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        オオスカシバを愛でる話じゃありませんからねー


 水戸では今朝,ようやく風が南から東風に変わりました。とはいえ昨日までの熱気を吹き飛ばすほどではなく,とてつもなくアツいです。関東の県庁所在地で一番涼しい街ですらこうなのですから,他のご在所の皆さま,本当に残暑お見舞い申し上げます。


 なので,炎天下の庭仕事なんて自殺行為です。ただ車にモノを取りに行くだけのはずでした。カーポートの影のクチナシに目をやるまでは。

 

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 葉はぼろぼろ。ああ,しばらく見ない間にひどいことに。このところ大子とかに遠出ばかりして庭をほったらかしでした。私の読者の皆さま,おわかりですね。蛾の一種,オオスカシバの幼虫に食われてます。

 

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 しかも後から鳥の落とし物で発芽したウメモドキにいいようにのしかかられています。情けない,と嘆いてみせるのはこの弱りつつあるクチナシには酷かも。

 

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 枝の下に…… こ,これは中齢幼虫の糞ではないか! もう成長したのに取りつかれている。すぐに駆除しなければ。

 

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 いた。いやがった。 ← すいません心情を吐露した表現です。

 

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 若葉の部分には若齢幼虫がなんぼでも。これまでも駆除してきたんですが。

 

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 小さいのをいいことに,若葉に巧妙に隠れます。

 

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 でもこの尾角の黒が目印になるので,慣れると見つけやすい。これはオオスカシバには内緒ですよ。

 

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 でもやはりこいつは緑の忍者。ぐにゃりとさわってしまってから終齢幼虫に気づいてうひゃあとか情けない声を上げたり。

 

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 捕食者であるアシナガバチたちも頑張ってはくれてます。ただ天敵というものは決して対象を根絶やしにすることはありませんので,任せっきりにもできません。この葉の上の黒いシミは幼虫が捕食された跡。

 

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 これも内緒にしたいオオスカシバの性質。幼虫の齢に関わらず,枝先から幹の太い部分まで下りてきて移動することに最近気づきました。朝のある限られた時間に,一斉に動きます。この時はとても見つけやすい。オオスカシバを駆除したい方,試してみてください。

 

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 と,幹を見ていて気付いた。卵だ! てっきり若葉にしか産卵しないものと思っていました。

 

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 ジェイド・グリーンと言うにはやや淡い緑に,これも絶妙な曲線…… 仇敵と言っていい相手だけど,この美しさを認めないわけにはいきません。オオスカシバの成虫の美しさは以前の記事で言及しましたね。生きとし生けるものはすべからく,こういう美しさを備えてます。


 人間の都合で守られたり駆除されたり。でも私は,野に生きる生命への敬意だけは忘れません。必死に生きる,その気高さに。

 

 

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