ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

8月雑景

 

      

  8月の積み残しをまとめました。どうぞゆるりとご覧ください。

 

 


 旧県庁の青空。暑さの印象ばかりが残る8月でしたが、それでも東京より2~4℃低いんです、水戸は。

 

     
 昨年、庭に鳥の落とし物から芽生えたビナンカズラ(サネカズラ)。あっという間にこの騒ぎ。野生のつる植物って強い。雄株か雌株かずっと気になっていました。雌株ならあの異世界のぼんぼりみたいな赤い実がわが王国で楽しめることになる。花を見ないとどちらかわかりません。

 


 花芽だ! さあいよいよ丁半明らかになります。わくわくわく。

 


 開花まで間があるので、私物の片づけを進めておこう。これは地形図。職場から持ち帰った荷物にごそっとありました。陸軍測量部式、という畳み方してます。

 


 広げて書類筒に入れます。

 


 うわあ三宅島だあ。…… 筒の中にはすでにたくさんの地図が詰まってて。かつて日本中の地形図を集めまくった時期があって、使う目的はなくただ眺めるためだけの2万五千分の一が書類筒二つにもうぎっちり。

 


 三宅島の地図に、おお今は無き新澪池が。


 …… いかんいかんいかん、見始まってしまった。捨てることが片付けだとわかっているのですが、歴史的価値があるなんて考えると捨てられないのですよこの貧乏人は。ああ今日も片付けは進まない。

 

 


 海からの風が涼やかなある日、久慈川河口の海岸へ。私がここに来ると言えば

 


 そーですゴミ燃しです。今日のこれは剪定したハマナスの枝葉。トゲがあまりにも危険で、庭に埋めるのも可燃ゴミに出すのも気が引ける。いつもここで天に帰します。

 


 消火用の水もオッケー。

 


 焚き木もこれくらいで十分です。

 


 焚きつけに…… これは何でしょう。実はガマの綿毛。油を含むらしく、それはそれはよく燃えます。火打ち石でも大丈夫。

 


 すいません、今日は楽こいてバーナーで。

 


 パチパチとすぐ点火。ここにハマナスの枝葉をかぶせます。

 


 10分も掛からず灰になってしまいました。

 


 日立港のLNGタンク。これ1個で核爆発級の熱量があるとやら。

 


 LNG積み下ろしヤードって、なんかメカニカルでかっこいいですね。

 


 風光る。東北でヤマセという所の東風が強く吹いてます。冷害の元凶と忌み嫌われますが、ここでは薫風と言いたくなるほど涼やかで、それに茨城の浜風ってぜんぜん磯臭くありません。車のドアをすべて開け放して、荷室に座って足をプラプラさせながらしばし風に吹かれていました。茨城に住まうことの幸せを噛みしめてみたり。

 


 ハマゴウの花が口を開けたみたいな顔をして咲いてました。馬鹿の花、という気の毒な別名が夏の季語になってます。

 


 実は8月末、二泊三日で松島に行ってました。ええ宮城県の、日本三景の松島です。観光ではなく、松島基地航空祭を見るためでした。本来なら記事が3つくらい書けそうなネタですが、どちらかというと人の付き合いで行ったようなもので、当日はどしゃ降り、すっかり体調を崩しました。

 


 翌日に晴れたとき、基地の外から撮ったブルーインパルスの専用格納庫。当日はこの中で雨宿りしました。本人が乗り気でないと晴れ男パワーは出せません。

 


 そして、冒頭のビナンカズラが咲きました。これは…… 雄花だああ

 

 雄株でした。あの実を楽しむ夢はついえ去りました。さあこいつをどうしよう。夏が名残り惜し気に去っていきます。

 

 

 

 

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ヌカカと不毛に戦う 【虫アップあり】

 

 復旧しました!


 1日から2日にかけて丸1日以上、このブログが閲覧できなくなっておりました。気付くのが遅れて申し訳ありません。たぶん百人以上のお客様にご心配をかけてしまいました。本当にごめんなさい。問題なく復旧しております。以後気を付けます。

 

 メノウ関係の記事はもう少しだけお待ちください。玉川流域の稲刈りがあと1,2週間で終わり、お百姓さんに迷惑をかけずに歩き回れるようになります。そこから再始動する予定です。

 

 さて。

 


 ここ数日涼しいというか朝夕寒い日が続いて、夏の終わりを感じました。夏の森、それも山の夏緑樹林で楽するのではなく、低地の森の高温高湿度のぐちゃぐちゃした森を一度歩いておかねば、という他人が聞いたら意味不明の使命感が沸き起こりました。行かねば。久しぶりに「への6号」フィールドに参ります。たまたまというか狙いすましてというか、炎暑がぶり返す日になりました。暑い。でもヤル気増しましなのだ。

 


 じゃーん。夏の森潜航スタイル。防虫には蚊取り線香が一番です。でも久しぶりだったので帽子が甘い。護身用捕虫網も持たず。とどめに

 


 手袋忘れた。だいたいこういうのが死亡フラグなんです。さて何があるかな。


 …… ヌカカに囲まれました。


 ヌカカって何?ですよね。小さな小さな、体長1~2ミリのコバエです。野外活動の時に顔にまとわりついてくるアレ。実は吸血昆虫。刺されたときに蚊のようにすぐかゆくならず、アブのように痛くなく、ヒルのように出血しない。感覚がないので認知度が低いのでしょうが、あとからじわじわかゆくなります。髪や服に潜り込んで吸血するのが厄介です。小さすぎて手で払っても効果のない瘴気しょうきのようなもの。


 さあそれが誇張でなく数百匹、森に入った途端にまるで雲霞のごとく群がってきました。数十匹くらいなら経験がありますが、本当に雲のように私にまとわりつきます。むかし読んだ栗本 薫の一節にあるような、これは黒魔術森の悪霊か。蚊取り線香が全く効きません。


 大群の理由はわかります。ちょうど今が発生期なのでしょうが、ここ数日は低温で活動できなかった。溜まりに溜まって、ちょうど気温が上がったところにマヌケなおっさんが現れたんです。かかれーっとか押せーっとか、そんな掛け声が掛かったんでしょうねえ。


 いやそんなのんきに推論してる状況でない。ヌカカは動いているものには取りつきづらいので、こちらは動き続けねばなりません。さもなくば虫でおっさんの全身が真っ黒になります。そしてプチプチと刺されるんですうぎゃあああ。ぬかるんだ森をひたすら早足で歩きました。カメラも三脚も何のために持っているんだかわかりませんが、とにかく立ち止まれない。

 


 手袋を忘れたのも致命傷です。手がヌカカの標的になるし、こんなぬかるんだ森でケガをすれば真菌類の感染も心配になります。これはムシカビ(ボーベリア)という真菌に斃たおされたスジコガネ。こんな姿になりたくありません。…… 撤退を決意しました。夏の森に負けました。あああ悔しい。

 


 汗をかかない私にしてみればサウナ30分ぶん。絞ったら滴るんじゃないかな。

 


 もちろんこのままじゃ収まりません。確かめたいこともある。翌日再出撃です。

 

 


 手袋完璧。

 


 帽子も首筋を守れるもので、さらに(好きじゃないけど)虫除けスプレーぷっぷー。蚊取り線香も2箇所に火をつけてケムリを2倍に。

 


 捕虫網! これで奴らに反撃です。


 昨日より気温が低くて、出てきた悪虫どもは昨日ほどの数ではありませんでしたが、やはり群がられました。

 


 うわああああ~ 叫びながら群がるヌカカを網に入れる私。もちろん獲っても獲っても新手が飛んでくる、戦艦大和の断末魔みたいな状況です。一矢報いたかっただけなのよ。

 


 獲った。このあとアルコールびんに突っ込んで後悔させてやりました。貴重なアルコールもぜんぜん惜しくないのだ。

 


 マタタビが落ち始めていました。ああそういう季節か。

 


 サワガニがちょこちょこと歩いて、私のブーツの陰に隠れました。

 


 確かめたかったものがこれ。この森でただ一か所、冬虫夏草ツクツクボウシタケの産地があるんです。今年もちゃんと発生していました。これで何とか目的は達した。

 


 これが今回のヌカカ。こんな小さな体で、頭部にはちゃんと複眼、単眼、触角などのセンサーが揃っています。最後の瞬間に知覚したものはなんだろうか。イヤな奴ですが、自然という神が造り給うたものであり、こんなのでもとりあえず森の一員であるのです。

 


 虫に囲まれるというと思い出すのが、三十数年前の青森・白神山地の沢で出くわしたアブの大発生。いまだに恐怖を覚えます。まあこれも、夏の森の思い出です。

 

 

 

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誰も知らずとも

 

      
      管理の方にご迷惑をかける意図はございませんのよ。

 


 どうも。表通りにネコジャラシの生える水戸から、ジノ。です。

 


 これは春に撮った写真、県立図書館から旧県庁にかかる広場です。基本的にはよく管理されているのですが、私の眼にはいろいろ見えてしまって、それなりに楽しんでいます。

 


 芝生にコニシキソウ。栄養が良くて日当たりが良くて、巨大です。

 


 カタバミも巨大になって、ツチバチが盛んに蜜を吸ってます。


 この場所にそれぞれに生を営むものの、その健気さや儚さを慈しんでおります。最近それをブログに書くと、次に行ったときに刈られているということが続きました。監視されてるのかなあ、図書館に関して前科があるし。ご苦労様です。私はただ、人知れずそこにあるものをご紹介したいだけです。さあ今日のネタは

 


 この植え込み。いいですねえこの放置感。ここで春の頃から気になっているのが

 


 このつる植物。とにかくデカくてぶっとくて、もじゃもじゃと毛が生えて、さながら鬼の腕です。これはなんだ。この市街地で豪壮に茂るさまから、これは帰化植物に違いないと思って調べるのですが、いくら帰化植物図鑑を見ても似たものがありません。まず科の見当がつかない。ウリ科ブドウ科ヒルガオ、まさかキンポウゲ科? つる植物であることと毒々しい雰囲気からアタリを付けるのですがわかりません。こうなっては、科の特徴が現れる花を見なければなりません。咲くのを待とう。

 


 で、ようやくに咲いた花は …… って、こ,こ,この花は

 


 ナス科じゃないか!


 うわあ、意表を突かれた。改めて調べ直して、これは在来種です。

 


 ヒヨドリジョウゴ。秋の実が美しいナス科のつる植物。ヒヨドリがこの実を好むと言いますが、大ウソだとも聞きます。いずれにせよヒトには有毒でしょう。この写真は以前に鶏足山で撮ったもので、驚いたのもこの点です。私はこの植物、山の中でしか見たことがありません。草姿もひ弱なもの。市街地で逞しく他の植物を下に敷いて吠えているなど想像もできませんでした。これもまた、変化することで生き残りを図るものか。

 


 花芯を接写。いつも使う表現ですが、細部に神は宿る。

 


 同じ植え込みにヤイトバナ。誰に知られることもなくひっそりと。ヒヨドリジョウゴともども秋の実を楽しみにしたいところですが、刈られちゃうんだろうなあ。いえいえ文句はありません。市街地に生えるからにはそれも織り込み済みのことでしょう。野生は逞しい。

 


 ちなみに、県庁所在地ですが表通りにはカキも生ってます。いろいろと自由で、私は退屈しません。夏が終わります。

 

 

 

 

 

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4回目を打った。それは政治ではない、科学である。

 

 反ワクチンの方はお読みにならないで下さいね。

 

 


 コロナワクチン4回目、打ってきました。これでワタシは無敵だ


 コロナ第7波、感染者は大変な数ですが、アレは一人発症するとまわり全員PCR検査させちゃうから。無症状が多いんです。感染力は高いけど発症率は低い。重症化は怖いけど、そもそも日本での重症化率は最新の数字で 0.03 %だとか。これって季節性インフルエンザと同じです。


 SFによくある人類を滅ぼすウイルスというものは、現実にはあり得ません。ウイルスは必ず弱毒化する。人類を滅ぼして困るのはウイルス自身です。


 厚生労働省による患者報告システムは、当初患者一人に付き入力事項が100項目あったそうな。役人ってのは本当に。これも医療現場を疲弊させる原因でした。日本人は真面目だからこうせよと言われればやってしまうのだ。現場では一年も前から全数報告は不要という声がありました。誰もかれもが騒ぎすぎ、と言っては申し訳ないけど。


 しかし驚いたのは7月の参院選でした。「反ワクチン」を掲げる政党があったとか。票を集めたとか。え、それって政治ですか。政策として掲げることですか。


 免疫のシステムについての講釈はここでは控えます。今の高校の教科書なら「生物基礎」に詳しくわかりやすく載っておりますのでご参照ください。コロナはいろいろと厄介なRNAウイルスですが、ワクチンによって感染率・重症化率が下がることは厚生労働省のデータで示されてます。ワクチンを打つことは科学なんです。なのに意地でもワクチンを拒否する人がいる。きっとそんな人でも日々科学の恩恵に預かっているだろうし、免疫によってあまたの病気から守られているのに。

 

 

  


 新たなワクチンが開発されるたびに反ワクチン運動が起こります。実際に3種混合ワクチンに関しては製造元の不適切な手順が明らかになって日本では廃されました。でも問題のないワクチンに関しても、接種した人を注視して、少しでも異常が起こればこのワクチンは危険だと言い出す人が必ずいます。せめて統計的データを出してから言っていただきたい。


 いいえ、こういう方々を非難はしません。未知のものに対する恐怖感は誰にでもあります。問題なのは、私たちの深層にある行政への不信感です。役人や政治家がいくら科学的データを振りかざしても、国民は彼らの過去の所業を憶えています。国民が国を信じていません。ああ、彼らがもっと誠実な言動をしてきた人間であったなら。

 


 最後にひとくさり、ある事例を。

 

 


 子宮頸がん、という女性のがんがあります。非常に進行が速いがんで、早期に発見しなければ命に関わります。実はヒトのがんで初めて、ウイルスが原因と判明したものです。ウイルスが原因ならワクチンで予防が可能で、効果はほぼ生涯に渡ります。思春期初期での接種が条件です。多くの先進国で導入され、子宮頸がんの罹患率は劇的に減少しました。つまりワクチンが多くの女性の命を救ったんです。


 2021年度、各国での接種率


     豪 89%  英 85%  加 83%  米 61% 

 


 ところが日本では。

 


 初期に接種した人の中から、健康被害を訴える人が現れました。政府のアラを探したいマスコミが飛びつき、騒ぎ立て、裁判にもなりました。厚生労働省も無視できず、2013年6月から2022年4月まで接種勧奨を控えました。結果として、1997年から2006年までに生まれた女性の多くが、この、ワクチンで予防できる唯一のがんの、その予防のチャンスを永遠に失いました。今からでも接種はできますが、効果はかなり低いものになります。ワクチンと健康被害の関係はその後の調査でほぼ否定されました。健康被害はなかったんです。

 


 将来、この年代の女性が子宮頸がんにかかったなら訴えていいと思います。もちろん、被告は国ではありませんからね、念のため。

 

 


( 子宮頸がんワクチンに関しては、厚生労働省のHPに丁寧な説明と案内があります。これは信用してよろしいかと思います )

 

 

 

 

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毒のくさびらも神域なれば

 


 おいしいコーヒーが飲みたくて、休日の御岩神社に行ってきました。え?論理がおかしいって?


 ① おいしいコーヒーが飲みたい
 ② おいしいと言えば御岩神社の神域で飲む Cafe Sfiato
 ③ かのコーヒーワゴンは平日に来ない日がある
 ④ 御岩神社の休日は混むけどコーヒーのためなら
 ⑤ 気合い入れてハンドル握る
 …… ほーらちゃんとスジが通ってる。


 今日は人類の不沈に関わるような大きなお願い事はないのでお参りは本殿だけのつもりで。


 コーヒーは最後のお楽しみ。のんびり写真を撮りながら、緩やかに上る参道を流して行きます。境内はスタッフの方がきれいに刈り払い機を掛けた後です。神域のコケが広がる景観はこうして護られています。…… 不動池を過ぎたところでした。


 なんだこれは。


 首のない武者が立往生、なんて例えを思いついてしまった。どうやらキノコが刈られた姿のようです。でも普通のキノコとは質感が違う。色も独特です。そこらに傘の部分は落ちてないか。

 


 傘はありません。代わりに棒状の、たぶんアレの上の部分が転がってました。合わせると結構な高さになります。こういう姿のキノコであったらしい。…… もしやこれは、カエンタケ


 毎年のようにどこかのマスコミが「今年はカエンタケが大発生!」なんて煽情的に騒ぎ立てます。その物言いには違和感がありますが、危険な猛毒キノコであることは間違いありません。食べるのはもちろん触れてもダメ。シャグマアミガサタケドクササコと並べて凶悪三姉妹と私は呼んでます。それがこの神域に出るとは。


 いいえ、神さまにとっては毒キノコであることに意味はないでしょう。この神域にあって等しく加護を受けるものの一つです。私も新たな出会いを喜んでます。できればまた新たに生えてくれて、その怪しい美しさを鑑賞してみたい。緑の毛氈の中ににょっきりそそり立つ深紅の太い指、絵になること請け合いです。ここで定点観測しようっと。


 ついでになりますが、撮った写真をいくつかご覧くださいませ。

 


 門前で弱っていたキリギリスがアリに囲まれてました。

 


 鳥居前の旗竿にミヤマフキバッタ。

 


 マムシグサの実。

 


 ヒノキゴケを覆うようにフロウソウ。草と付きますがコケです。

 

   
 おおお。スタッフの方、ちゃんとツチアケビを刈らずに残してくださいました。ありがとうございます。おかげさまで、この異形の実を楽しめました。

 


 表参道はタマアジサイが盛りでした。

 


 コケの中にヒナノヒガサ。いつ見てもかわいいなあ。

 


 杉木立の奥、暗い林床に赤く光るものが。トチバニンジンが実を付けていました。

 


 最後に飲んだ Cafe sfiato の、今日はワインコーヒー。酸味が効いて美味しゅうございました。

 

 

 

 

 

ツチアケビの花はこちら。


 

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ガチャポンでT4ファージだとぅ?

 

 

     
          バクテリオファージ!


 一度見たら忘れない、生物資料集の大スター。ヒトの想像力を遥かに凌駕したそのメカニカルな造形は、クリエイターをはじめ多くの人に強烈なインスピレーションを与え続けています。しかしよもや、コレをガチャポンにしようとは。

 


 わかるヒトにしかわからんものなので、ご説明いたします。これはウイルスなんです。ウイルスは大雑把に動物細胞にとりつくもの、植物細胞にとりつくもの、細菌にとりつくものとあります。そのうち細菌にとりつくものは形態が特殊で、発見の経緯から「細菌を食べるもの=バクテリオファージ」と名付けられました。決して「食べる」わけではないことが判明している現在でも、取りつく寄主や性質を付して「○○ファージ」と呼ばれます。今回ガチャになったのは「腸内細菌ウイルスT4ティーフォー」、通称T4ファージです。大腸菌を「食い」ます。高校で生物を選択された方は、どうぞ生物資料集をご参照くださいませ。

 


 堅苦しい話はここまで。さあ想像してください、コレが小犬くらいの大きさで、カタカタカタカタ歩くとしたら? リードを付けてお散歩したら楽しいだろうな。夜道の暗がりで後ろからカタカタと付いてきたら怖いだろうな。何百と出て来て取り囲まれたらどうなるんだろう。じっと見つめられたら… って、目はどこだ

 

 


 でも残念、実物は長さ200 ナノメートル大腸菌… これは長さ3マイクロメートルほどなのですが、その大腸菌の中に百個以上も収まってしまうんです。そうは言ってもやっぱりイメージわかないけど。とにかく普通の顕微鏡では見えない小さな分子結晶の集まり。幾何学的な形なのも、タンパク分子の部品をプラモデルみたいに組み上げたから。

 

 

   
 にゅるん。ファージがDNAを菌体内に注入しているところ。こんなもんまで再現して。この不思議な姿は細菌の細胞壁を突破するためのもので、人呼んで「生物注射器」。

 


 近所のメガドンキにできたガチャポンコーナーで見つけました。一個300 円。よそでは見かけません。ネットで調べたら昨年12月にリリースされていて、半年後の売れ残り、的な。ならば大人買いすればよかったのですが、1回に1個ずつ、と変なルールを作ってしまいました。どうせわし以外欲しがる人なんているわけないしー。

 


 …… ある日、一気に無くなってました。それまでにこれしか取れなかった。そうか、やはりファージファンはいるんだ。

 


 厳密には生物ではありません。でもやはり、自然の造形はすごいのです。

 

        

 

 

 

 

 

↓ 過去のガチャポン関係記事。まったくいい大人が。


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旅の和三盆

 

 一人旅に出ていた若いのが、手土産を持ってきました。

 


 福音と言われて困りましたけど、中は菓子。和三盆わさんぼん、という讃岐の砂糖菓子です。和三盆の名は聞いたことがありましたがイメージは浮かばず、なんとなく慶事にいただく花を象ったような干菓子を想像していたのですが

 


 うわあ、黄から緑への、和の色名になぞらえたグラディエーション。包装を開ければもっと目に鮮やかな色彩があるのでしょうが、この風雅な包みをひっちゃぶくなぞもったいなくてできません。困った、食いものなのに食えないぞ。それも含めて、なんて趣味のいい手土産でしょうか。

 


 聞けば高級な和菓子の専門店で、和三盆もいろいろ。通常はやはり花や扇を象ったものですが、この「ことばいろ」はシンプルに四角。色を違えた別の種類もあったそうですが、私にはこの名とこの配色のものを選んでくれました。私という人間のイメージを思い描いての選択だとすれば、その気配りとセンスの良さに頭が下がります。もらった私は素直にうれしく、かつ旅の空で手間を取らせたことがまことにかたじけない。

 


 四国・香川への旅は、アニメの聖地巡礼だったそうです。丸亀観音寺の町を歩き回ってきたらしい。町のほうもアニメとはいえ巡礼者に親切で、それはそれは楽しい旅になったと、一眼レフカメラで撮った写真を見せながら話してくれました。


 若き日の旅。人は若い旅の思い出を一生憶えています。修学旅行というものも、本来は旅行など行けない家庭の子に、楽しい思い出を残してあげるのが目的でした。今回、この十代の若いのが自分の意志で行き先を決め準備を進め、そして一人旅を実行したことを眩しく思います。この旅で、彼は多くのものを学んだことでしょう。人はこうして長い長い人生を積み上げていく。

 

 


 手持ちの石と組ませてみました。砂糖菓子でありながら、天然のものと並べても見劣りしないこの色、このセンス。

 


 ああ本当に、この中身を食べ物と認識できない。

 

 

 センスとは人に教わるものではありません。教えて身に付くものでもない。そういう価値基準があることを自覚して、自分で磨いて磨いて身の内に作り上げるもの。その人の持つ美の総体が、表の世界に無自覚にあふれだしたものです。さて彼は、どこでその学びを身に付けたか。豊かな心と鋭い感性があってこその学びです。

 


 そんな感性を持った若いのが身内にいることを静かに喜びたい。そう思わせる、旅の讃岐の和三盆でした。

 

 

 

 

↓ そしてついに4か月後。

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