ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

10月のお散歩まとめ

 

 お散歩まとめです。1ヶ月分を、今回は順路に沿ってまとめてみました。【虫】は別記事でご紹介済みなので、苦手な方どうぞご安心ください。

 


 櫛の歯が欠けるように個人商店が消えていく表通り。せめてこの南町三丁目に残った自由な花壇とアーケードだけは未来にもあり続けてほしいな。

 


 他町内の、商店と住民が消え銀行のビルが立つその前のフラワーポッドには、盛大にエノコログサが栽培されております。あと少しで雑穀のアワに進化しそうです。

 

      
 往路の終点、水戸駅。今や不動のモニュメントと化したカリヨン時計の下から撮る北の空は、そのまま定点観測の記録です。比べることで季節変化を知るよすがに。

 


 その足で旧県庁広場に行き、図書館の開館をしばし待つ。

 


 広場の敷石。何十年も前の完成直後、この敷石のひとつに人の手形がありました。シャレなのか、いたずらなのか、どうやって付けたのか。月日とともに消えてしまって、すべてが謎のまま。

 


 その何十年ものあいだ気付かなかった。異なる敷石の接点に、違う石が使われていました。

 


 色ガラスの破片が埋め込まれています。これこそ設計者のシャレですよね。ひょっとするとあの手形もそうだったのかも。

 


 サンシュユ(山茱萸)が色付き

 


 サザンカ山茶花)も咲いて

 


 ヒヨドリジョウゴはずっと咲き続けて

 


 キンモクセイも咲きました。

 


 意外と花期が短いことを知った。

 


 歩道のすぐ上に止まって、人が来ても逃げないカラスがいました。エサをねだる風もなく、いたずらのチャンスを窺うでもなく、ただ通る人を見ていました。頭のいい分、カラスもいろいろあるんでしょう。


 図書館は1時間ほどで切り上げます。そこからは気分次第なのですが、ある日は駅ビルに戻って、かつてはレストラン街だった6階にまで上がってみました。久しぶりで驚いたのが、食事の店が数軒しか残ってなかったこと。残りのスペースは眼科、歯科、ヨガスタジオ、そして空きスペース。コロナの傷跡。

 


 頑張って経営を続けているキッチンで、ビーフシチューオムライスをいただきました。美味かった。いや本当に美味かった。

 


 本屋やガチャポン屋を冷やかしてから、季節が良いので水戸城の下を通って那珂川に向かいます。お城の周囲は鬱蒼とした樹叢なのですが、ここで特徴的なのがケンポナシの木が多いこと。この季節はかじると美味しい果柄がたくさん落ちてます。実ではなく実の付いた柄が指のように肥厚して甘く美味しくなるという不思議。植物分類の人が、実に毛が無いのがケンポナシで毛が有るのがケンポナシで…… と言うのがものすごくつまらなく聞こえたので、観察会の時若い人に、ケンポナシケンポナシケケンポナシがあってケケンポ三兄弟と恐れられたのだ、と教えたらすごく呆れられました。いいじゃん私が楽しければ。ちなみにケケンポナシは実在します。

 


 水府橋で那珂川に出会う手前、変電所と労働組合の建物の間に、怪しい小径を見つけました。車に乗っていてはまず気付かない、まさに散歩の効用と言っていいい発見です。何だこれは。どこへ行くのだ。

 


 ずんずん行って

 

      
         角を曲がると…… 鳥居が現れました。

 


 雨除けの屋根の下に、二つのお社が鎮座してました。もちろん手を合わせます。

 

 

 困ったのは、神社名もご祭神もまったくわからないこと。ここは水府橋の架け替え工事でかなり改変された土地です。たぶん平成になってから移転か移築かされたのだと思います。

 


 崖下の袋小路の、せいぜい十畳間ほどの境内に押し込められてお気の毒の限りです。その境内にただ一本、ご神木の立派なのがあります。

 


 偶数羽状複葉に分岐したトゲ。これは珍しい、イカです。茨城に自生しません。間違いなく大昔に神社の境内に植えられたものです。これだけが残されたのでしょう。

 


 葉はキチョウ(黄蝶)に食われまくってた。これまたお気の毒に。

 


 さて、水府橋のたもとに出ました。ああ那珂川は今日も深い。

 


 カルガモがいっぱい。

 


 堤防上を行くと、次々とオニグルミが落ちてました。みな殻が割られ中身は食べられてます。これがいつまでもいつまでも続くのをいぶかしみます。はて誰が。オニグルミの木は河原のヤブになんぼでもあります。今年は豊作っぽい。そしてクルミと言えばまず思い浮かぶのはリスですが、わざわざこんなオープンな場所に持ち出して食うなんて、用心深いリスがするわけありません。ではカラスか。しかしカラスがどうやってクルミを割るのか。高く飛んで落としたり、車に踏ませたりなんて観察例があります。ここなら落とすほうでしょうか。もしそうなら見てみたいと立ち止まることしばし。残念ながら人の前で芸を見せるような気の利いたカラスは現れませんでした。

 


 河原には、コスモスに囲まれてハナシュクシャの大株。人家があった名残りです。

 


 知らない道を見つけては喜んで足跡を付けに行きます。おお、ここも初めての道。なんか看板があるぞ。

 


 おおおおっ、昭和だ、これぞ昭和だ。いまだこの世に存在するとは。

 


 子供の頃遊んだ小川まで足を延ばしたこともありました。かつての生物豊かな川べりはコンクリに覆われましたが

 


 ノゲイトウが綺麗でした。こうしてまじまじ観察すると、花穂の下から咲きあがることとか、まず初めにおしべだけが伸びる雄性期があって、次にめしべが伸びる雌性期になって…… なんて様子が見て取れます。

 


 家の近くまで戻ったところで、歩道のすき間にコスミレが咲いていてびっくり。スミレが秋に咲くのは「返り咲き」といって珍しいことではありませんが、こんなコンクリに挟まれてのコスミレは珍しい。こういう場所を好むのはスミレかヒメスミレです。…… ピンボケ写真ですいません。歩道にしゃがんでカメラを取り出したまでは良かったのですが、なんせここは地元です。誰に見られるかわからないので、いつものように腹ばいになってモニターを覗くことができませんでした。それでも追い越していった女子大生にものすごく嫌な顔をされた。そうだよ変態だよ文句あるか。いいんですこれが自然観察者の宿命なんです。

 

  
 美しい空をただ見上げることができる。私の穏やかな日々が過ぎていきます。

 

 

 

 

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おわりにむかうはじまりのうた

 


            【虫】回です。

 


 夏というおのれのために誂あつらえられた季節を存分に使い切って、虫たちが静かに退場の準備を始めました。その、後ろ姿を。

 


 どこにでもあるカタバミ。葉がかじられてるのわかりますか。どこにでもあるカタバミを食べるのは、これまたどこにでもいるやつ。ほら、あなたの足元にも。

 


 その名はヤマトシジミ。小さな小さな、いるんだかいないんだかわからない、でもどこでもいるシジミチョウです。地面すれすれにちろちろと、都心の歩道にだって飛んでます。成虫が蜜を吸うのもカタバミの花。カタバミさえあれば生きていけます。かつては北東北までの分布でしたが、今や北海道に上陸しつつあり。人の生活に寄り添って、カタバミと共に生きてます。ジノ。はこういうものが大好きです。

 

 


 茨城生物の会の活動で、仲良くなった昆虫少年がいます。先日のきのこ観察会でもきのこそっちのけで虫探し。自分の子ども時代を見るようで思わず目を細めてしまいます。その少年が、桜の木から剥がれて落ちた地衣類をいじりながら、シャクトリムシがいると言います。え?え?まさか、先日自然博物館の地衣展で見たアレでは。

 


 そのまさかでした。静止画でわかりづらいかと思いますがこれ、地衣のカケラじゃありません。少年の手の平でぐりんぐりんと蠢うごめくそれは、シラホシコヤガというガの幼虫です。うわあよく見つけたなあ。地衣類に完璧に擬態しつつ、それを食べてます。

 


 自然博物館の展示。わざわざこの幼虫に似せたリュックを作って擬態体験だって。ああ、おっさんひとりでは背負う勇気がなかった。でもまさかこんなすぐに本物の虫に会えるとは。昆虫少年、すでにしていい眼を持ってます。将来が楽しみ。

 

 


 週2回の「駅までさんぽ」で必ずお寄りする旧県庁広場。あまりここの雑草や虫の話を書くと管理のお役人や園芸業者さんに大迷惑なのは知ってます。いいえ悪いのは種子をまき散らす植物と勝手に飛んでくる虫とそれらを見つけてしまう私の眼なんです。

 


 で、これはナンテンの植え込み。間からエノキの苗が育っています。…… だいぶ食われてるな、と思った瞬間に見つけてしまいました。

 


 アカボシゴマダラ(蝶)の幼虫。水戸の大通りの歩道を堂々と悠々と飛んでると思ったら、本当に街中で繁殖してたんだ。

 


 懺悔しているわけではありません。これが通常の待機姿勢。

 


 いるわいるわ、この小さなエノキ1本に3匹も付いてました。秋の終わりまでに丸坊主にされることでしょう。幼虫の食欲は凄まじい。この中齢幼虫が越冬態で、やがて木の根元に降りて春までの眠りに就きます。

 


 関係者には本当に申し訳ないのだけど、雑草はびこる植え込みは私にはとても楽しい場所です。ナス科のつる植物ヒヨドリジョウゴの葉にはナス科の天敵オオニジュウウヤホシテントウ

 


 近づくと葉の裏に隠れました。トマトやナスの大害虫も、こうしてぽつんとこそこそと生きてる分には可愛いものです。

 


 こういうのとも目が合ってしまいます。成虫で冬を越すバッタ、ツチイナゴ

 


 なーんも考えてなさそうですが、低温で乾燥する水戸の冬をひとり乗り切ります。

 


 こいつも。右のほうに写る白いやつ。

 


 ウラギンシジミです。こんな薄っぺらい体でどうやって冬を過ごすのか。

 


 虫なんていつも同じように見えるでしょうけど、彼らは知ってます。10月は冬に向かう季節、滅びの始まる季節。誰よりも敏感に自分の季節が終わったことを悟り、青空の下、終わりに向かう始まりの歌を口ずさみます。

 

 


 広場の外、道路沿いの植え込みにもエノキは生えていて

 


 アカボシゴマダラの卵を見つけてしまった。冬までに成長できるのだろうか。

 


 その一方でこちらは終齢幼虫どーん。デカいのはいいけど、この姿では越冬できません。彼らが越冬できるのは上記のような中齢幼虫の時だけ。これから冬までに蛹になり、蝶に変身し、相手を見つけて、卵を産み、それが中齢幼虫にまで大きくならねばこいつの子孫は残りません。やっちまったな。

 


 これは同じ道ぎわで見つけたアカボシゴマダラの蛹の殻。ちゃんとこの街中で繁殖してるってだけで偉いことなんです。

 


 同じ街区にタブノキが植えてあって

 


 見えてしまうのよ。

 


 アオスジアゲハの終齢幼虫。あああ可愛いなあ。このあと蛹になって冬を迎えます。あの夏空を切り裂くような青い光は封印です。

 


 こんな人工物の谷間にも、昆虫たちの生はあるんです。

 

 


 さんぽの帰路は、風が心地良い那珂川の堤防を歩くようになりました。

 


 堤防の道のど真ん中にトノサマバッタのでかいのがいて、近づく私にあたふたするのですが逃げません。ぎりぎりまで来てようやく飛び去りました。なんだかお尻を路面につけてましたが、はてこの場所に何が。

 


 アスファルトの割れ目に掘り跡。…… 産卵してた! えええ、なぜアスファルトに。周囲にいくらでも土の地面があるのに、よりにもよってこんな冬の乾燥や低温もろ被りの場所をほじって卵を産み付けてました。トノサマバッタの越冬態はこの卵です。母親なら我が子らが少しでも生き延びられそうな場所を選ぶものでしょうに、ここはデメリットしか思い浮かびません。ばったは何を考えたのでしょう。ばったの考えることですから、わからなくてもしょうがない。

 


 同日おなじ路上で、蚊柱のような羽虫の群れに巻かれました。服にもびっしり取りついてくるのをよく見たらアリ。オスの羽アリです。アリやミツバチは年に一度、巣に待機していた雌雄が一斉に飛び立つ「結婚飛行」を行います。オスはメスと交尾できたごく一部の者も含めて、エサを食べることなくすぐに死に絶えます。要するにこの一匹一匹が精子みたいなもんです。次世代に命を繋げるためのアダ花の群れです。これもまた冬支度。

 


 メスのツチバチ。地に潜ってコガネムシの幼虫に産卵します。メスだけ成虫越冬するらしい。ああオスって。

 


 ヒメマイマイカブリ。成虫越冬。そろそろ冬のねぐらを探す時期でしょうか。

 


 ヒメアカタテハは成虫でも幼虫でも越冬できるのが強み。その適応力と抜群の飛翔力・繁殖力で世界中に分布を広げたチョウです。

 

 


 つくば植物園にて。ハギの一種に盛んに産卵するチョウがいました。ウラナミシジミです。霜の降りる土地では越冬できず、関東では房総半島・三浦半島伊豆半島が越冬地。春になると代を重ねながら分布を広げて秋には北海道に達します。そして一炊の夢が終わります。

 


 やがてこの母蝶も、産み付けられた卵も、そこから孵化した幼虫もすべて死に絶えます。でも蝶はそれが徒労だったとは思わないでしょう。皆が前進することで、いつかどこかで実が結ばれる。昆虫はそうやってこの過酷な世界を生き延びてきました。私にはそれが、何より尊い生命の有りようと思えます。

 


 進め、小さき者たち。 進め、命。

 運命は歩む意志を持つ者を先導し、意志なき者を力ずくで引き立てる。

 

 

 

 

 

↓ あかぼしごまだら中国生まれ。

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長月のことども

 

      
       風が気持ちいい季節です。あの炎暑はどこ行った。

 


 「長月」は旧暦九月の呼び名ですが、今年の暦に合わせると10月15日から11月12日に当たります。おおむね重なっていると解釈して、この長月の、ことどもを。

 


 月1回、町内会の早朝清掃に参加してます。この市内中に組織されたはずの自治会活動も老齢化と単身化、よそ者化が進み、あちこちで解散してます。この近辺でも活動してるのはうちくらい。町内会長は80歳。さすがにこりゃまずいと、次世代役員候補として私を含め若手5人ほどに声が掛かりましたが、自分を主張することしかできない団塊の世代に人を説得するなんて無理でした。全員に断られ、その中で清掃活動に出てくるのは私だけです。あまり熱心にやるとまた目を付けられるので、力加減が難しい。本来は市の仕事なんだから、任せちゃっていいんじゃない? もっともその市もやる気なくて、町内会のない街区は道沿いが草ぼうぼうです。

 


 早朝清掃も元町内会長の父の顔を立てての参加ですが、どんな仕事も楽しんでしまえば勝ちですうふふ。草抜きがこの季節の主な仕事なので、こいつをターゲットにしてしまえ。コニシキソウ。そうです私の好きな雑草です。歩道ではほったらかしにされて1本が手の平をはるかに超える大きさに丸く広がっています。もう微細な種をまき散らしているので駆除の意味は薄いのですが、要するに私が楽しければいいのだ。

 


 引っこ抜く。以前の記事に書きましたが、どれだけ大きくなろうが根が1本しかないのがこいつの弱点なのだ。うまい具合に抜けた根がゴボウのように太かったりするとうれしいな。

 


 今年も柿をいただきました。じゅくじゅくに熟させて

 


 スプーンでいただく熟柿じゅくし。美味しゅうございました。

 

  
 自然博物館の地衣展を見てきました。毎度おなじみ巨大模型がお出迎え。

 


 平日はいつも子供の団体さんが来ています。地衣といっても何だかわからないだろうけど、わからないなりに感じるものがあればいいのだ。いやむしろもっと積極的に、ここに投網かけて何人か捕まえて、監禁のうえ私が生物学の英才教育を施して世に放ち環境問題を解決…… とまで考えて、それって普通に誘拐だと気付きました。ううむ。

 


 今日もダイオウイカがのたくってました。


 情報ひとつ。


 今年も常陸大宮市の「集中曝涼」が開催されるようです。昨年と違う公開物もあるし、重要文化財の骨壺「いずみちゃん」もまた見たいし、紅葉の養浩園はキレイだし、また行ってみましょうかね。

 


 昨年の養浩園。ここの紅葉と高部の街並みは一見の価値あり。お近くの方、ぜひ。

 


 我が第二の心臓、ジャングルブーツ。6月アタマから履き始めたのが、もうガタがきました。いつも同じ場所から痛みます。

 


 左足側面に亀裂が入り

 


 右足底のブロックがひとつ抜けます。いえ中田商店が悪いんじゃなくて、それだけの距離を私が歩いたということです。5か月で400キロ強、くらいかな。また二足注文しました。早く届かないかなー。

 


 10月22日はおおいそがし。朝に久慈川のふだん入れない場所でメノウ拾って…… 小さいのばかりだな。

 


 その後茨城生物の会のきのこ観察会に参加して

 


 そのあとで昨年見つけたキウイの谷へ。来週採りに来るその下見のつもりでした。去年は野生化したキウイが一面に鈴なりだったのが、今年は隔年現象か猛暑のせいか、大ハズレです。実を付けてるのが一、二本。ちょっとがっかり。

 


 でもサルナシは大豊作。ひと房いただきです。

 


 一日追熟させて食べました。美味でした。

 


 中田商店からジャングルブーツ届いた。今回もおまけの「粗品」が。

 


 ヘリコンテックスのキーホルダー! ちょっとうれしい。ありがとさんです。

 

      
 10月27日は「長月」の十三日。今宵の月はそう、満月に少し足りない十三番目の月。十三夜です。母からススキを採ってくるよう申しつけられました。ちょうどお散歩の日だったので那珂川の堤防を帰る道すがらに一仕事。ススキを手に堤防を行くおっさんひとり。

 


 フジバカマに庭のアケビを添えて。

 


 夕刻北に見えた積乱雲は北隣の市にひょうを降らせつつ海に抜け

 


 月の出。ああ写るのは電線ばかり。

 


 庭にカメラとススキを持って出ました。佳き夜でした。

 


 写真は死んでいく時ときの記録、と篠山紀信は言いました。私はそこまで達観できないけど、こうして日々の個人的体験を写しまとめてみると、確かに失われた瞬間がここにあります。なるほどこれが備忘録か。皆さんお付き合いありがとうございました。

 

 

 

 

 

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筑波実験植物園きのこ展

 

 つくば植物園に来ました。目的は「きのこ展」と秋の花。

 


 いつ来ても壮大な施設に圧倒されます。「国立科学博物館筑波実験植物園」が正式名称。なんたって日本最高の博物学の殿堂の、その野外施設です。面白くないわけがない。

 


 入園口でいきなり業者さんの臨時売店がありました。

 


 うわああああ。欲しい、ぜんぶ欲しいよお。

 


 結局マグカップを買ってしまった。…… こちらはなんと菌類に特化した書籍やグッズの通信販売専門店のようです。そんな商売が成り立つんだ。秋は全国のきのこ展を回っているらしい。頑張って稼いでください。

 


 さてきのこ展。屋内できのこ研究の歴史、研究者紹介ときのこ画の展示。屋外でナマきのこ展示と実際に園内に生えているきのこの紹介。じつはこちらの園長さんが菌類の専門家なのです。残念ながら期間は一週間のみ、29日まで。

 


 ひとつだけ苦言。きのこ展の感想アンケート、QRコードから回答入力だって。回答するとこのポストカードがもらえるんだって。…… ガラケー持ちの私は最初から拒絶されちゃいました。何だその学生が考えたみたいな配慮のなさは。最近こういうことが多くてなあ。

 


 さて気を取り直して、これは屋外テントでのナマきのこ展示。

 


 おおおベニテングタケ。茨城にあるのか、と見たら北海道のものだと。

 


 栽培きのこ。これはタモギタケ。野生品もこんな色で、北海道で食べられてます。

 


 トキイロヒラタケだって。何とたおやかな、まさに朱鷺色。

 


 きのこをハーバリウムにしたものも。さすがにこの重さと体積では、自分もやってみようとは思えないなあ。


 園内の林地でもきのこを探してみました。

 


 しばらく雨が降らないので、あまり数はなかった。

 


 本当は秋の花もゆっくり撮り歩くつもりでしたが、きのこ展の展示だけでおなか一杯になってしまいました。

 


 タコノアシが実になってました。この穂の形から付いた名が「蛸の足」。

 


 接写。ふーんこんな形だったんだ。

 


 ゴンズイも実がきれいです。

 


 ずっと写真が欲しかったカリガネソウ。花期は終わりでした。

 


 というわけで今回はシンプルに「行ってきました」記事です。個人的にはあの業者さんの売店だけで来た甲斐がありました。へへへ。

 

 

 

 

↓ いつ来ても見るものはありますが、お薦めはクレマチス展と絶滅危惧植物展。

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石の光はすべて夢

 

 毎度おなじみメノウ撮影記録でーす。テキトーに流してくださいませ。

 

 


 久慈川系メノウと言えば赤縞メノウ。

 


 最近困っているのは、赤くないただの玉髄でも「仏頭状構造」があれば拾ってしまうこと。ブラックライトを当てれば必ず蛍光を発することを知ったから。さあこの二皿からピックアップしてご覧いただきましょう。

 


 珪化木は基本的に拾わないようにしております。キリがないから。

 


 でもこれはあまりにも年輪が見事で、何か教材にでもならないかなって。

 


 拡大したらなんと細胞一個一個まで形が残ってました。太古の昔に存在した、木をも石化する魔術です。

 

 


 ああっ仏頭です、ぶつぶつです。た、たまらんのう。← 変態

 


 ほら紫外光で光った。

 


 でもやっぱりぶつぶつが好き。

 

 


 次のもぶつぶつです。

 


 ああっぶつぶつの上にぶつぶつが。螺髪じゃ、仏さまじゃ、ご来迎じゃあ。

 


 ね、光るでしょ。

 

 


 仏頭状構造ってどうしてできるのか。数多く見てきた経験からして、たぶん幾通りかあると思います。例えばこの玉髄のぶつぶつ。実はこの玉髄、裏側が「型押し」で、つまり他の鉱物の水晶みたいなとがった結晶の上を覆うように固化してできたものです。突き出た結晶の先端にロウのように石英が塗り重ねられ、このぼこぼこ形になりました。さらに写真右上の部分は下からガスが上がって来てまだ柔らかい部分を膨らませたようです。これ以外にも、どう見ても鍾乳石のように上から垂れ固まったものもあります。おそらくは、これらの成因が複合してさまざまな「仏頭」を作るのでしょう。それゆえにこの構造は実に多様で、二つとして同じものがありません。私が惹かれる理由です。

 


 そして仏頭状構造が作られる場所は、マグマが徐々に冷えていって融点の高い鉱物から順に固化していき、最後に残った「熱水」がこれも最後に残った空間に固化する「晶洞」です。その熱水には微量のウランが溶けていることが多く、これが蛍光の原因になります。この玉髄のように。

 

 


 これ怖い。

 

 


 本当に多様です。

 

 


 もちろん必ず上塗りが起こるわけではなく、微結晶が晶洞に残るものも。

 

 


 熱水に最後まで石英が残り晶洞を埋めたのが縞メノウです。このメノウ、外光ではきれいですが

 


 内側から発光させたら洗浄しきれなかった汚れが目立ってしまった。不覚。

 

 


 こいつは自己主張が強い。大丈夫、分け隔てなく愛でてあげよう、うふふ。← 変態

 


 蛍光も強烈です。

 

 


 今回のラインナップで一番きれい、と私が思うもの。私の言葉で言う久慈川本流系で、玉川メノウのような二次的な染色ではなく、マグマから生まれたままの色です。

 


 複雑な文様と間を埋める結晶のバランスがよろしい。

 


 蛍光はこんなもん。

 

 


 よそのメノウを知らないのでエラそうには言えませんが、玉川メノウの大きな特徴は「型押し」の存在ではないかと思います。晶洞の中に一度他の鉱物が結晶を作り、そこに再び熱水が入り込んで結晶を覆う。できたメノウの背には結晶の形が雌型として残り、鉱物の方は母岩の崩壊とともに消滅する。玉川メノウの「型」になった鉱物は重晶石である、という論文を書いた方もおられるので、当地独特のものと考えていいのかな。ということでこのメノウ、上も下もびっしりと型押し構造になってます。

 


 斜めに照明すると、今は無き結晶の形が光と影になって現れます。衛星から撮った大山脈にも見えます。石の印象はそれぞれにさまざま。それがいい。

 


 こんな風に、石が発する光の粒のかもす形象を楽しんで、ついでにヤクタイもない屁理屈を楽しみます。海岸の石でも楽しめます。変な趣味なのは自覚してます。お付き合いありがとうございました。

 

 

 

 

☆ 他の石記事は右上のカテゴリー「石の名前」でご覧ください。

 

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聖地わらしべ

 

 1か月ぶり、石記事です。

 


 ようやく熱波が去り、雨が降るようになりました。久慈川も何度か増水し、河原の石が刷新されています。信徒の皆さま、メノウ拾いの好機でございます、うふふふ。 教祖はなるべく皆さまとカブらない場所を細々と巡り、落穂拾いのように何かを拾っております。

 


 というわけでここはいつぞや記事にした、迷宮のような秘密の回廊を通らねば至れぬ河原。この季節は一面にタデ類が繁茂します。2・3種類ありそうですが、タデなぞ真面目に検索しようと思わないのが私の不徳の致すところ

 


 オオイヌタデ。これくらいなら。

 


 で、やっぱりメノウがないのがこの河原。ようやくこれ1個。軽く流されやすいメノウは、堆積する条件が限られます。メノウ拾いの極意は場所選びです。

 


 先の日曜日、一日大雨でした。玉川も大増水。ここはいつもご紹介する場所で、たぶんこの週末が取り頃でしょう。何だか作物の収穫みたいな口ぶりだな。

 


 その上流の、同じ人が川の流路が変わるほどに掘りまくっているところ。遭遇すると厄介なのですが…… 以前ほど荒れてはいないな。少し歩いてみようかな。

 


 わあ。

 


 この場所でこんなに拾えたのは初めてです。タイミングも大事だなあ。

 


 河岸を変えながら玉川を歩いていると、巨大なモクズガニ。挟まれたらさぞ痛いであろう大バサミですが、ツンツンしても大人しい。どうやら弱っているか、もしくは脱皮前後のようです。

 


 本当は手に乗せた写真を撮るつもりでした。でも力なくのそのそと逃げ続け、こんな目で見てくるんです。一切抵抗をしません。何だか弱い者いじめをしているようでいたたまれなくなってしまったので、遊んでくれた礼を言ってお別れしました。

 


 路傍にヤマハッカ

 


 ひっつき虫やりたいほうだい。

 


 沢も歩いてみます。

 


 すでにどなたかが入った場所でした。このように川石の上にメノウを乗せるそのメッセージを「ぐへへへ、もうここにはこんなのしか残ってねーよ」と取るか「これは私には不要のものですがよろしければどうぞ」と取るかで人間の器が試されます。ぐぬぬ

 


 メノウに限らずとも、面白いものはいくらでも。これは植物化石かなあ。

 


 デカい石炭のカタマリ。うわあ持ち帰りたい、でもデカすぎて持ち帰れない。木材にケイ酸が沁み込んだ珪化木があれば、同じ木材が炭化した石炭もあります。以前に玉川で拾った石炭が黄鉄鉱を吹いて以来石炭にも興味を持つようになりました。でも久慈川流域に石炭は希少です。

 


 また置きメノウが…… え。 上のは腐ったメノウのようですが、下のはひょっとして

 


 石炭だあ。これを置いてくれたのがどのような方か存じませんが、アニキと呼ばせてください。アニキ、これは私がいただきます。ありがとうございます。

 

      
 なんてことで日々を費やしておりますが、今日の本題はここから。きっとここまで読んでくださるのは信徒の皆さまだけでしょうから。富岡橋に、毎週何かしらは置いてます。私個人にとっては、家に増えたメノウを処分するのが目的のただの偽善でございます。これを「わらしべイベント」にまで昇華してくださったメノウ教信徒がおられて、今の流れになりました。

 


 ある日の内容。晶洞や仏頭構造のあるものもありますが、基本は不要品処分です。期待しないでください。自力で探して戦果がなかったときに、手ぶらで帰らなくても済むように。それだけです。

 


 赤縞のもあります。手にした方が喜んでくれるといいなあ。


 最初にここを紹介したその責任を感じております。それが置きメノウの発端。本当は人が押し寄せる場所はとっとと見切りを付けるのが私の流儀です。ところが思った以上に情報が拡散し、今は二次的な紹介でここを訪れる方も多いようです。もちろんほとんど拾えません。特に他県からお子様連れでおいでの方に落胆させるには忍びなくて、続けております。賛同して協力してくださる「久慈川メノウ教大神官」がおられるのが本当に心強い。


 小さなものはそのまま河原にばらまきますが、大き目のは


 石で囲んで

 


 積み上げて隠します。

 


 こんなわざとらしい石積みにご注意くださいね。

 


 取りあえず教祖を名乗っているんで、ルールみたいなものをお示ししてもよろしいでしょうか。


① お手持ちのメノウを置く際は、多少とも手にした人に喜んでもらえるレベルのものを。
② 車に踏まれない植物のかげなど適地を選び、丁寧にわざとらしく石積みに隠すこと。
③ 石積みから持っていくときは、上に積まれていた石は丁寧にどかしておくこと。
④ 石積みの中のものが意に沿わぬ時は、また丁寧に積んでおくこと。


 これからもこの聖地が信徒の皆さまの交流の場であらんことを。

 


 先日、こんないたずらをしました。

 


 聖地の河原、一か所だけケイトウが群れています。

 


 鶏頭の 十四五本も ありぬべし 正岡子規

 


 あまりに良い風情なので、石積みにメノウを隠したその上に、大きな巻貝を乗せてみました。以前に波崎海岸で拾ったトカシオリイレです。よしこれでケイトウに負けない絵になったぞ。なにが勝ち負けなんだか。

 

   


 次の週に来てみたら、貝殻だけ無くなってました。メノウはそのまま。いたずら心以上のものはなかったくせに、うふふ狙いどおり、なんてつぶやいている自分がいたりして。これもまあ、人生の楽しみ方のひとつだと思うのです。

 

 

 

 

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10月はたそがれの園

 

 10月初めの深夜アニメ新番組チェックも一段落し、秋の野に出てみました。

 

 


 市街地近く、猫がいました。猫には好かれないタチですが、こいつは声を掛けたら寄ってきました。

 


 寄っては来ますが、初対面の人間にまとわりつくような無礼もいたしません。飼い猫かどうかわかりません。ただ人との正しい距離感を知ってます。

 


 立派な栗の木があって、実がたくさん落ちていておお、とか言っていたら

 


 近所の老人が現れて、私の姿を見ると慌てて木の下に駈け寄って栗を拾い始めました。オレの栗だ、と。…… 図書館で、床屋で、こういうみっともない年寄りによく遭遇します。とにかく走って追い越して得しようという、団塊の世代ってこんな人ばかりです。昔のような年相応の器を備えた大人たいじんはいません。こちらも親切にしてやる価値はないと割り切れるので問題はありません。


 それにこの世代、下手に話しかけるとこちらの素性を知ろうとぶしつけな質問を畳みかけて来るのでこれも不快。今日のこの老人もそうでした。猫の方がなんぼかマシだな

 


 失礼しました。どうも今日は人間の相手は無理のようです。秋の野に専念しよう。

 

 


 カントウヨメナ。野菊の種類が多い西日本と違って、このあたりでは紫の野菊と言えばノコンギクかこれです。

 


 見分け点は葉。裏をさわってざらついたらノコンギク、違えばカントウヨメナ

 


 秋の野に野菊は欠かせません。こんな変な写真見せといて何言うか。

 


 キツネノマゴ。あぜ道を埋め尽くす雑草にこんな顔があることを知る人は少ないでしょう。

 


 やぶの中にホトトギス。このあたりに野生はなかったと思うので、どこからか逃げ出したものです。

 


 ミズヒキといえば暗い林下に赤い砂を散らしたように咲いているのが風情ですが、花の一つを拡大すればさながら紅玉です。

 


 山の方に視点を移します。と言っても市内ですけど。おがくずから群生するのはベニヒダタケ。そういえば次の日曜はキノコ観察会であった。

 


 キタテハどーこだ。

 


 完璧なる保護色の翅裏。この姿で過酷な冬をやり過ごします。猛暑のあとには厳寒の冬、となんとなく経験則で考えてますがじっさいどうなるんだろう。

 


 セイタカアワダチソウもひとり立てば秋の彩り。そういえば花が愛でられるキリンソウの仲間でした。何事も群れると価値が下がります。

 


 ヤマハッカにアブが訪れました。

 


 香気はさほどではない、と図鑑は言うのですが、この接写のために近づいたら漂う芳香に一瞬現世を忘れました。

 


 ヒヨドリバナがそちこち咲く中に、見事なピンク色のがありました。ヒヨドリバナは旅する舞姫アサギマダラの好む花です。

 


 代わりに、というわけではなかろうけど、というかかなり勘違いがあるようだけど、この異形の虫はブドウトリバという蛾です。骸骨のような翅、トゲだらけの長い肢、西洋の死神みたいで不気味です。花とマッチしません。観音さまを置くべきところにガーゴイルを置いたような違和感。そう言われても困るだろうけど。こいつはどうやって冬を越すのかな。

 


 コシオガマが咲いてます。小さな半寄生植物です。

 


 カラスウリって真っ赤だな、という感覚を共有できるのは決して日本全土ではありません。このブログがどこで見られているかわからないので、片寄った季節感を押し付けないように気は遣ってます。南島や北辺の皆さま、あら水戸ではそうなのね、くらいでお願いします。

 


 瞬く間に日が傾きます。季節は進み、やがて山野から色彩が失われて行きます。冬至まで2か月、10月のここはたそがれの国、たそがれの園。

 

 

 

 


↓ 昨年も同じような記事を書いてました。進歩ないなあ。

カラスウリ

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