ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

久慈川擾乱、メノウ動く

 

 5月第3週初め、珍しく大雨が降りました。水戸も常陸大宮も 50 ミリ。那珂川久慈川も大増水。そして浅ましきメノウ拾いの私は思うのです。ぐふふ、メノウは動いたかな。

 


 やって来ましたこの河原。人の出入りが多くて、四駆のワダチだらけの、これまで私は大戦果と言うほどの経験がない場所です。陽射しは強く、気温も 30 ℃近く、でも心地良い東風が吹く茨城の初夏はフィールドに出る幸せを感じさせてくれます。

 


 河原や海岸を走り回る人というのは、群れを成すのが好きで、しかし常識的な会話がなかなか成立しない困った方々、というのが私のイメージですが、今ここを毎日のようにかき回しているのはシルバーのジムニーに乗った老人です。ひょっとして七十を超えているような、農業キャップ被って畑耕しているか孫に囲まれてニコニコしてるのが似合いそうな痩せた老人がたった一人で毎日、河原から水の中まで無言で駆け回っています。寂しい人なのかも知れません。今日も私が河原に降り立った後で現れて、かたわらで水しぶきを上げ始めました。因縁つけてくるわけでもないのが不気味。まあこの地の地縛霊みたいなもんと考えましょう。さてメノウだ。

 


 そのワダチにさっそく第一号。

 


 あまり上物ではありませんがレモンイエローがきれい。とにかくメノウが動いてます。今日はここでは拾わないつもりだったのですけど、何だかジムニーに踏み割られそうな気がしてなあ。聖地のお供物にします。

 


 わあ赤いの。ちゃんとメノウです。

 


 次々と。そうか先手を取れば拾える場所だったんだ。信徒の皆さんごめんなさい、ぜんぶ拾っちゃいました。聖地の河原でお会いしましょう。それに、ここでもきっと目こぼしがありますよー。

 


 珪化木もありました。

 


 さてメノウが動いていると知れましたので、今日はもう一か所、こちらは本当に信徒の皆さんに迷惑の掛からない人外魔境、冬に大ナタ振るって大原野を踏破した先にあった久慈川番外地です。既に葦やらイラクサやらが繁茂を始めて、もう次の冬まで来ることはないと思っておりましたが、小冒険をしたくなって大ナタを腰に据えました。いや今日はもう駅までさんぽ往復8キロこなしているんですけどね。我ながら元気だ。

 


 きたぞー。

 


 あるわあるわ

 


 久慈川メノウ入れ食いです。あ、ちゃんと聖地に還元しますからね。

 


 そして…… なんかある。

 


 赤い。

 


 そしてデカい。

 


 わああ、こんなカーネリアン久しぶりです。久慈川の神さま、今日は汗に報いてくださいました。ごめんなさいこれだけは手許に置かせていただきます。

 


 というわけで久慈川水系、大雨が不精なメノウたちを動かしてくれたようです。週末に間に合わせるつもりのこの記事、すいません寝落ちしてしまいましたけど、ここから拾い物のチャンスかと存じます。…… なんて言われてもすぐ駆け付けられる人なんて限られますよねえ。遠方でいつも記事だけ読んでため息をつかれている皆さま、久慈川が茨城にしかないことを申し訳なく思います。せめては川を渡る風のにおいを少しでも感じていただければ。…… いつか私がフィールドに出られなくなる日が来たら、メルカリで盛大に「ジノ。のお店」を開いてすべての石を放逐するつもりです。どうか気長にお待ちください。

 

     
 午後5時の時報が有線のスピーカーから流れ始めました。久慈川は今日も静かに流れ続けます。

 

 

 

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葬送帰りの俗人が

 


 3日間お葬式で和歌山まで行っておりました。コメントへのお返事が遅れたのはそういうことです。ご迷惑お掛けしました。


 心配だったのは、画面の最後にボタンのあるランキングサイト「にほんブログ村」での私の順位が落ちること。いえ、そんなつまらないことに拘泥する気はハナからありませんがこの順位、「自分アクセス」でなんぼでも上げられるんです。なので上位にあるのは異常なポイント数の、記事を面白くするよりも自分アクセスに血道を上げる方々。なぜそうわかるかというと、病気か旅行か酒飲みか、アクセスの手を抜くとがくりと順位が落ちる時があるから。今回の私も、いきなり順位が落ちてああこいつやっぱり自分でやっていたのかと思われるのが嫌だなあと、そんなことを考えていたのでした。取りあえず一日1回はチェックのため自分アクセスしていたので。…… でも杞憂でした。3日間空けても順位は変わっていませんでした。このブログは本当に読者の皆さまに支えられているのだと実感しました。いつもボタンを押してくださる皆さま、感謝しております。つまらないことなんて恰好付けましたけど、やっぱりうれしいんです。もうすぐ 36 万アクセス達成します。


 とはいえお葬式、疲れました。「さっき死んだ、通夜は明日、告別式は明後日、すぐ手伝いに来い」なんて連絡が深夜に入ったんですから。水戸から和歌山ですよ。JR乗車距離 750 キロ、最短で5時間半、片道料金2万円(新幹線・特急料金含む)。遠方への配慮を一切欠いた召喚でありました。まあこちらも、ツレの仕事の関係もあって通夜の途中に到着し、式が終わったところで辞去するという適切な対応でお返ししましたけど。

 


     旅姿ジノ。


 人界の喧噪を離れ、この世の輪廻を外れた立ち位置で好きなことだけして暮らす。そんな超俗の日々を送っているつもりでしたが、結局浮世の業から一歩も離れることはなかったんですね。

 


 さて帰郷した翌日は、ぐったりした身体を引きずって「茨城生物の会」の観察会。私はお客さんの立場ではありますが、まあ本調子ではありません。でもとにかくフィールドで深呼吸いたしましょう。気合いを入れるために、撮影に手間のかかるタムロン 90 ミリレンズをカメラに装着しています。

 


 ハルジオンでも花は花。

 


 松の切り株にマツオウジ。これでも食用キノコです。

 


 コンロンソウの群落がありました。

 

       
 カラスビシャク。別名半夏はんげ。夏の季語です。薬草であり「へそくり」の由来。

 


 スミレが咲き残ってました。

 


 コナラの葉上にチビタマムシの一種。体長2ミリ。これでも必死に生きてます。

 


 ニガナ。ああ、こういう写真ばかり撮るようになってしまった。

 


 キンラン。決して希少なものではないけれど。

 


 おなじみカヤランの群落がありました。けど、

 


 花がボクの知っているのとなんか違う。

 


 カヤランの花ってこうだよね。日照が足りないせいか何なのか、これは謎のまま。

 


 ランが続きます、これはササバギンラン。ぴしっと目線くれた娘にピントを合わせて。

 


 少年の指から離れないウラギンヒョウモン。観察会の参加者にお子さんが増えました。私に会うのを楽しみにしてくれる子もいて、老人会みたいだった頃と比べると随分雰囲気が変わりました。このまま老人サロンになって消滅するかと心配していたのでまあ良かった。


 ここで参加者のご婦人から耳寄りな情報が。御岩神社にクマガイソウが咲いているというのです。たぶん植栽でしょうけど、神社にご無沙汰もしているのでこれは行かねば。観察会からそのまま御岩山へと向かいます。

 

 


 鳥居下、足洗い場のクリンソウ

 


 同じくミズバショウ。えらい小さくて遅い開花です。たぶん上流の植栽地から流れてきた種由来の、まだ幼い個体なのでしょう。

 


 春の御岩神社と言えばコミヤマスミレ。もう図鑑みたいな写真は撮らず、好きにアングルを選びました。

 

      
 緑陰の小径に例の貧相なミヤコワスレ…… と思ったら数を増やしていました。おおお、よくぞこんな場所で。これまでのいきさつはカテゴリー「御岩神社」でご覧いただければ幸いです。

 


 生きること。生き残ること。それが神から与えられた生物の存在目的。

 


 コケもこんな写真を撮ってしまう。さて本殿でお参りを済ませて、クマガイソウを探しましょう。

 


 あった。思ったより広い範囲に、自然な感じで群落を作っていました。

 


 山から掘り盗られたのが百姓家の庭で咲いているのは見たことがありますが、こんな本来の環境下では初めてです。もともと杉林や竹林に生えるものとか。メノウ採りに行く玉川で仲良くなった農家のご老人とよくお話をさせていたきますが、昔はそこらへんになんぼでもあったのが皆盗られてしまった、なんて話をしていたなあ。

 


 美しいというよりグロテスク。ご覧の皆さまの脳裏にもさまざまな感慨が沸き起こることでしょう。これを熊谷直実くまがいなおざねの背負った矢避けの母衣ほろになぞらえた昔の人は何と雅であったことか。

 


 最後にひとりフィールドを歩き珍しいものを写真に収め、何とかひと心地ついた気がします。浮世の業は続くけど、ひとつ山越えひとつ峠越え、切り抜けていこうと思います。

 

 

 

 

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花々と日々

 

 王国の花々、平穏なる日々を。

 


 グリーンカーテンミツバアケビを大剪定したら、咲いた花がみな雌花でした。何事か危機を感じたらしい。

 


 駆除しても駆除しても侵入を繰り返すセイヨウタンポポ。気づけば実を散らしてます。

 


 クレマチステッセンは大して世話もしないのに良く花を付けます。すぐ散ります。

 


 オランダイチゴは無事色付きました。仇敵のハクビシンは居なくなったようです。

 


 ついにニッコウキスゲゼンテイカが咲きました。貴重な遺伝子を守っていきます。

 

  
 オキナグサはその名の由来、白髪のように結実しました。

 


 風にそよぐさまはまさに老爺の頭。

 


 チョウジソウも開花。好む湿地環境ではないので色つやがもう一つ。

 


 その根元に突如現れました、これは外来の園芸種オオアマナ。いったいどこから。

 


 王国は穏やかな春を迎えました。今年は何があるのかな。平穏を喜ぶ一方で、イレギュラーな事態にも期待してしまう、私の一番身近にあるフィールドです。

 

 

 

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聖なる森にひとり咲く

 

 春は心が休まりません。だって次から次へと野山の花が咲いては散るのです。家に籠ってなどいられない。ああ、仕事をしていた頃は年で一番多忙な時期で、どれだけ悔しい思いをしてきたことか。もう誰にも迷惑はかかりません、さあかつてのフィールドを巡ろう。

 

       
 で、今日のここは本当に三十数年ぶりに足を踏み入れる冷温帯の原生林。自然観察者にはそれなりに知られた場所でしたが、手前の民家まで舗装された道には一面にカエデの花が散っています。ヒトの踏み跡もタイヤ痕もありません。とうに人跡は絶え、ヒトの生活は消えているようです。

 


 森を潤す沢の入り口にはマダケやコクサギが茂り、かつてここで暮らす人が行き来した道はありません。本当に、誰も訪れない森になっているようです。

 


 でもやぶを迂回してみればそこはかつてのままの静謐な森でした。さあ進みましょう。

 

        
 かすかな道の痕跡を辿ります。当初はウワバミソウが目立ちましたが

 


 やがて林床は一面にバイケイソウで覆われて、そこにエンレイソウ類が混じるようになりました。

 


 類と書きましたが、少なくとも花を付けているのはムラサキエンレイソウばかり。これはミヤマエンレイソウ(シロバナエンレイソウの一品種だとか。

 


 ただし実はミヤマの朽ちかけたものだという説もあって私にはよくわかりません。ただかつては普通のエンレイソウとミヤマエンレイソウの混生地でした。

 

    
 やがて現れる折れた巨木。これは覚えてます、トチノキです。大量に落とす実がこのあたりのアカネズミたちの貴重な冬の食糧でした。転がる太い幹はすでに朽ちかけて、寿命を終えたのはだいぶ昔のようです。この地の生態系の中心にあった木。ネズミたちはどうなってしまったろう。

 

       
 さらに緑の回廊を進みます。かつての道は途切れつつも久しい訪問者を導き

 


 突如林床に黄色いひと群れの花。ヤマブキソウが現れました。

 


 人里ではすぐに盗掘されてしまうので見かけなくなりました。いよいよ森の深みに入ったようです。他の花々も目に付くようになります。

 


 ルイヨウボタン

 


 フタバアオイ
 花はこれから。

 


 カタクリは実を結んでました。もうすぐ地上部を枯らして永い眠りに就きます。

 


 ツクバネソウ。いずれも珍しいものではありませんが、明らかに林相が変わりました。

 


 やがて前方にただ一点の丸く白いもの。え、いやまさかまさか


  

           ヤマシャクヤクだあ。

 

  
 まだ固く閉じていますが、まごうことなきヤマシャクヤクです。野生のものを初めて見ました。うわあえらいこっちゃ。県指定絶滅危惧Ⅱ類環境省でも全国で準絶滅危惧になっていて、実際に東京都と千葉県では野生絶滅しました。園芸ジジイや山野草業者、最近のメルカリ野郎に見つかったら最後です。

 


 私がかつてこの森を訪れたのはまだ若い頃、チョウにしか興味のなかった時代ですけど、この地の生物相を理解するだけの知識を持たず、森の深さを知る感覚もなく、そもそも入り口近くで用は足りたのでこんな深みに来ることはなかった。こんな深いふところの森とは気付けなかった。ここにはまだ知らぬ何かがある、と思わせます。

 


 さらに奥を目指します。…… さっきまで雲に覆われていた空が、何かが変わったかのように晴れ上がって森に陽が射します。

 


 やがて彼方に巨大な影が現れました。

 

 
 ケヤキです。それも一種異形な、根元から何本もの太い幹を株立ちさせた姿。こんな樹形のケヤキは見たことがありません。樹齢も何百年に達するか想像もつきません。間違いなくこの森の主です。思わず手を合わせます。

 


 たぶん昔から地元の人にもそう思われてきたのでしょう。この森の、この沢の守り神として、あるいは何かの境界の目印として残されてきたのだと思います。欅太郎、なんて名付けられていたかも知れない。ふもとから人が消えても、木はここで役目を果たし続けます。

 

          
 年古る幹に着生するシダ。いったいどれだけの生き物がこの古木を拠り所としているのか想像もつきません。

 


 大ケヤキを過ぎたらたちまちスギの植林地になりました。ヌシはともかく、境界の目印だったのは間違いありません。植林地では生物相も貧相です。これ以上進んでも意味はない。ここから引き返しました。

 


 そしてあのヤマシャクヤク、びっくり。陽を浴びたことで開いています。

 


 全開とはいきませんが、恥ずかしそうに御簾を半開にする姿がかえってよろしい。

 


 花は半開を看 酒は微酔に飲む この中に大いに佳趣あり   洪自誠「菜根譚

 


 全開になるのを待つのも無粋です。ここはこの姿のままで、そうだ接写しておこう。

 


 ああ佳いものを見た。秘すれば花、という言葉もあります。この場所は秘密にさせてください。そもそも1本しかないのだから、とても楽観はできません。

 


 今回、特に無欲というか何も目標を定めずにフィールド入りしましたが、この出合いで欲が出ました。この森はまだ何かを隠している。レッドデータで1ランク上、ベニバナヤマシャクヤクはここにないだろうか。日本全国で絶滅危惧、理由はただ一つ、園芸採取。豪奢で美しい花がジジイどもの標的になり身近な里山から姿を消しました。でもこの森ならどこかにかくまわれているかも知れません。なんて考える私は、恥ずかしながらこの森の持つ深みに囚われてしまったようです。そうまで思わせる、間違いなくここは私の探し求める「聖なる森」です。

 

 


 方舟と言おうか、シャングリ・ラと呼ぶか。近年そんな場所を求めて県内のフィールドを歩いています。御岩神社のように人々の営為で守られている聖地もありますが、基本的には人界と隔絶されることで原生の自然が守られ、精霊の宿る森です。そして今日、また一つリストに加える禁足地ができました。観光地化され車で横付けできる「自然」が人気を集める一方で、山びとが減ることで人界から忘れられる場所が増え、結果として私の好きな場所は保全レベルが上がっていて、私には喜ばしい。自然すら経済活動の対象と考える方々には許しがたいことでしょうけど、私には、そして本来自然を敬い、自然と共生して生きてきた日本人の血を継ぐ人々には、こういう考えも意味があることと思うのです。

 

 

 

 

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そしてメノウは囁いた

 


 タイトルは勢いで付けました。ただのメノウ写真の記事です。リリカルな要素も文学的情緒もありませんので悪しからず。ああぶつぶつが楽しいな。

 


 やはり赤いのを拾えると嬉しいです。

 


 カーネリアン(紅玉髄)に

 


 アゲート(縞瑪瑙)

 


 今回のはみんな久慈川本流の、まず他の方が入らない河原のものです。拾える場所が限られるので玉川に行くのは遠慮してます。このGWにおいでになる信徒の皆さま、存分にどうぞ。

 


 ブラックライトを手に入れたのは偶然でしたが、思わぬ楽しみになりました。

 


 同じものを異なる位相で視る、この異界感。

 


 ただの白い石と玉髄オパールの違いもわかるようになりました。

 


 このオパール、晶洞の微結晶も見事。

 


 いばらきオールスターズより、球児くん。

 


 日が暮れてもボールを待ってます。

 


 配達係の「負けない田中」さん。負けません。

 


 悪の組織の支配人、今日も正義のヒーローが来るのを待ってます。

 


 受難のミカちゃん、注文のテーブルを探し回る日々。

 


 いろんなもんに襲われます。がんばれミカちゃん。

 


 永遠の夏休みを存分に楽しむジャリーズたち。

 


 とまあこんな感じで、すいません遊びが過ぎました。オールスターズの身長は1センチ内外、結構な接写をしてます。申し上げたいのは、マクロに見てもミクロで見てもメノウは楽しく、美しいものであることです。そこが私の専門の生物分野と重なります。こんなブログを見て下さっているあなたも、きっと同じ視点をお持ちなのでしょう。自然の造形物をただ愛でる、私もあなたも野に立つ自然愛好者、ナチュラリストです。

 

 


 久慈川メノウを愛するすべての人に。

 

 

 

 

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花にそっと

 

オオシマザクラ


 四月初め三太の湯の駐車場にて。ぽわんとした甘い香りに、花の季節が来たことを知りました。


オキナグサ


 わが貧相な庭に種をまいて二度目の春。何が気に入ったんだか、立派な大株になりました。


クサボケ


 クサボケの薬酒 - ジノ。を見ていただければ、その数奇な来歴をおわかりいただけるかと思います。毎年春を告げ続けてくれています。


ヘビイチゴ


 これも記事にしました。太陽のような花と生命を象徴する赤い実。


ゼンテイカニッコウキスゲ


 びっくり、2年目で花芽を付けてしまいました。いつ消滅するかわからない水戸の野生個体群の遺伝子を伝えるものです。このまま居付いてくれるとうれしいな。


チゴユリ


 水戸の七ツ洞公園にて。ありふれたものを変に撮る。美しい花を接写して不気味に撮ってしまうのは、我ながら困った性癖だと思ってます。でもこういう絵が浮かんでしまうんだからしょうがない。花を通して見る異次元の風景と言い切ってしまいましょうか。


フデリンドウ


 ありふれた花の異次元。私の言う異次元とはつまり、花の構造に隠された植物の生理機能、遺伝原理、進化戦略、そして彼らが過ごした長い長い時間のことです。花にはそのすべてが内包されてます。


ヒメハギ


 こんな風に。この面妖な構造の意味は彼らにしかわかりません。


イチリンソウ


 里山ホットスポットと仮に呼ぶ特異点にて。この地の赤いイチリンソウはただ美しい。


コンロンソウ


 水の森にて。


ヤマハコベ


 花弁は5枚。


タニギキョウ


 以前ならこんな写真撮りませんでした。図鑑写真ではなく、自分の感性で。


ウワバミソウ              誤り訂正しました。守衛さまありがとうございます。


 はいこれは接写大失敗。接写映えと言いますか、接写向きの花とそうでないものがあるんです。え?おマエの腕次第だろうって?


ヒイラギソウ


 昨年に見つけてひたすら花期を待ちました。ついに。


 顕微鏡で花の構造を仔細に点検すれば花の美しさが消滅するという考えは偏見である、と物理学者寺田寅彦は言いました。花の美しさはかえってそのために深められるのだと。顕微鏡を操作し、ルーペを覗き込み、あるいは肉眼でも、それぞれのやり方で自然を観察するひとにはみな得心がゆく言葉だと思います。マクロで見てもミクロで見ても、自然の驚異が減ずることはありません。

 


 山里に見つけた風景、モモとヤマザクラ。春の心はのどけからまし、か。

 


 ヒトから見れば小さな植物の一器官に過ぎませんが、彼らにとっては一族の存亡を掛け知恵の限りを尽くして精緻に周到に作り上げたもの。花にそっと目を近づけて咲く喜びと散る哀れを感じるのも、私たち自然観察者の特権なのです。

 

 

 

 

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銀の一文字

 

          【虫回】でーす。


 かねてから狙っていた河原がありました。あ、メノウ拾いの方でね。少し水面を渡らねばなりませんが、あそこなら真っ赤なメノウががっぽがっぽ拾えるに違いない、信徒の皆さまを驚かせ悔しがらせようじゃないかぐへへへ。


 はいもちろん、こんなヨコシマな発想を久慈川の神さまがお許しになるはずはありません。そっと、葦の切り杭で私の長靴に穴を開けておいででした。気付かずに入った久慈川本流で、右足がどぼぼぼーっと水に浸かるハメに。長靴の中が水面と同じ高さまで清らかな久慈川の聖水で満たされました。川の中でひぎいいいと叫ぶ教祖の姿をご想像ください。神罰でございます。

 


 それでも歯を食いしばって手にしたのはこれだけ。大して拾える場所でもなかったんです。ああいいオチを付けてくださいました。もうここには来ません。

 


 車は離れた場所に停めてあります。ガボガボ言う右長靴を踏みしめながら、なんてひでえ一日なのかと愚痴りながら、とぼとぼと帰る道すがら。堤防の道はどこまでも悲しく遠く、まるでいいことが何一つなかった我が人生のようです。うううう。

 


 と、視界の端を何かがちろちろと動きました。え、と見返すとまたちろちろと、今度ははっきり見えました。チョウです。芽生えたばかりのチガヤが広がる草地の上を、こげ茶色の小さなチョウが飛んで、すぐ草間に消えます。あの色あの大きさ、もしや。


 昨年の春から夏にかけて、おさんぽの帰り道に那珂川沿いを通る時は必ず探しているものがありました。40 年前には間違いなくいたものです。小さな小さなセセリチョウです。ススキやチガヤといったありふれた草を食草として、どこにでもいる普通種でした。それがこの数十年の間に県指定の絶滅危惧Ⅱ類に成りあがってやがったんです。馴染みの者として一度とっちめてやらねば、なんて感覚でした。でも水戸ではとうとう見つけられなかった。少し寂しく感じました。それがこんな久慈川の河原で。どこだどこだ。

 


 いたあ。間違いありません、あいつです。大急ぎで車に取って帰り、長靴をサンダルに履き替え、最近いつでも積んである 90 ミリマクロ付きミラーレスを手に現場に戻ります。

 


 ギンイチモンジセセリ。本当に 40 年ぶりの再会です。環境省の分類でも準絶滅危惧。

 


 名の由来はもちろんこの白線。何だか目立つデザインに見えますが

 


 トラの模様と同様、草むらではこれが良い擬態なんです。2頭いるのわかりますか。

 


 小さくて不活発なこともあり、足元にいても気づかなかったりします。堤防のごく狭い範囲にそれなりの数が群れてました。こんな所で生き残ってたんだ。

 

      
 ここは特異な場所なのでしょうか、もう一つ珍しいものも。これはキバネツノトンボ。ウスバカゲロウに近いものです。

 


 生息地では群生するのでレッドデータにはなっていませんが、どこにでもいる虫ではありません。

 


 同じ環境が続く堤防の中でただ一か所、珍種がひっそりと息づく特異点がありました。何がどう作用するのかわかりませんが、こういう気難しい生き物ってあるんです。

 

 珍しいものを写真に収めて、さっきまでの悲しい気持ちを忘れました。うん、久慈川の神さまありがとう。しゃがみこんで撮っていたので、通りすがりのご婦人と連れの柴犬にすごく警戒されたけど。

 


 こんな奴に挨拶されて、そりゃあ嫌だったろうなあ。うひひひ、今日はいい日だ。

 


 帰宅したら老父 96 歳が転んでケガしていて、慌てて病院に連れて行きました。左の肋骨1本にヒビが入ってましたがそれよりも顔の左半分が腫れあがっていたのが見た目重症で、さらにお医者さんや受付のお姉さんが妙によそよそしかったのが気になりました。あとで気づきました、私が暴力を振るったと思われたのではないかと。…… ああ、手放しで何もない日ってないものでしょうか。

 

 

 

 

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