にんげんみんな きんのたまごー
みがけばひかる きーんのたまー
バブル期、を憶えている人も少なくなったけどそのバブル期、正規社員なんかにならず、必要に応じてバイトをしながら生きていくのがかっこいい、そんな価値観が世に流布されました。もちろん企業からすればその方が都合よかったからです。バイト情報誌も売れまくり、盛んにTVCMを流しておりました。冒頭のはそのCMソングね。
人間何か光るもんがあるのだから、いろんなバイトで自分を磨こうよ。そういうことなんでしょう。金は磨かなくても光るよ、なんてツッ込みしなくてもこれが危ない言説なのは自明のこと。そもそも誰もが習得できるバイト仕事なぞ、向き不向きの判定にもスキルアップにも、何の役にも立ちません。…… いかんまた説教癖が出た。今日の本題は海岸メノウです。
海のメノウをはじめとする拾いもんは外皮の損傷が激しいので、人にお見せするときには磨きをかけるのが最近の習いでございます。

バットにゴムを敷いて水を張り、そこに石を置きます。水ペーパーでひたすらシャコシャコするのです。売り物みたいにピカピカつるつるにしたければ機械を使うのが常道で、実際にそうして磨き上げた石を公開なさっている方も多いのですけど、私は自分の手の中で時間をかけて石に光が宿っていくのを見るのが好きです。ほれ、アナログ人間だしー。

過去に仕上げたものから、黒海ヘイハイと号したもの。磨くほどに黒メノウと白い水晶の色の対比が映えて、イイ感じになりました。

混沌と名付けたもの。黒メノウの面白さが詰まってます。全身ひどい打撃痕だらけで白茶けていましたが、磨くことで青く黒光りする景色が現れました。機械を使って完全に傷を削ってしまったなら、この味も失われるような気がします。

オルソクォーツァイト! いつぞやの記事にしたものです。その後も磨き続けていたら、使い込んだ海泡石(メシャム)のパイプのような風合いになりました。

機械で磨いてピカピカにしたものが貴石として売られていたりします。が、私はこの程度で十分。手のひらにすっぽり収まる大きさも石英の冷たい感触もお気に入り。

オルソ、海岸で拾ったときはこんなザラザラしたものです。

構成する石英の粒が見て取れます。

海岸で大きいものをよく見かけます。いつもはぐっと我慢するのですが、大きくて形がいいのをつい拾ってしまった。

磨いてみたのですが、光沢は出ても質感が荒いままです。石英の粒が大きい。

こちらは最近の記事でも紹介したもの。石英が細粒で、美しい色合いになりました。

並べるとこんな。

磨いてわかるのは、同じ種類の石であってもそれぞれに個性があること。同じ働きかけをしても、みな違う姿を返してきます。ヒトに似てる、と思います。

この石は磨くという作為にどう応えてくれるのか。輝きを放ってくれるのか。磨いてみなきゃわからない、では話になりません。目利き、という問題になります。

こんなのもあった。メノウじゃないな。ジャスパー系? 流紋岩?

ジャスパーの赤系は潮に濡れて輝くのをつい拾ってしまいます。乾いたのちのざらついた姿でいつも後悔します。

挑戦してみよう。左は以前に磨いたもの。

う~ん、黒の模様はいい感じに入っているのですが、ざらつき感が取れません。

以前のもの。よく見るとヤスリで付いた傷がありありですが、それでも光沢が出てます。

今回のもの。黒い部分は緻密で光沢も出ました。赤い部分はいまいち。

ずいぶん海岸で選別したんですけどねえ。

これは黄色というか黄土色のジャスパー。赤にも増して傷だらけ。



でも磨いたらちょっと不思議な魅力が出ました。

さあ正体不明のこの石、わかっているのは恐ろしく緻密で固いということ。たぶんジャスパー系でしょう。足の裏に見えるので仏足石笑と呼んでます。打撃痕だらけなのに美しいツヤが出ました。

長さ9センチほどです。すべすべでとても握り心地がいいのだ。

黒メノウの素のまま(左)と磨いたもの。これも石によるのですが、磨くことで青い光が宿るものも。…… 読者さまからのコメントで、黒メノウの拾える磯崎が「黒の海岸」というかっこいい名で呼ばれるていると知りました。その語で Google 検索してみたら1番目に表示されたのが私の記事で、その上にAIによる要約が表示されて、かつて自分が「模様が消えてしまうので黒メノウ鑑賞は素のままが基本」なんて書いていたことを知ってうわあ冷や汗。訂正しなくては。

テカリ三兄弟。


そろそろシメに掛かりましょう。少し前の記事でご紹介した黒メノウ、長辺 14 センチ。仏頭状構造が削れた面白い景色をしていて、これは磨けば光ると直感しました。


うおお、白水晶と黒化玉髄のコントラスト、これぞ茨城の黒メノウ。


黒の部分が特に緻密で、見事な光沢になりました。深淵の黒から放たれるまばゆい光。

よく見るとこの写真では水晶も遊色効果で虹の光を発しています。キレイだなあ。
なーんて成功作ばかりではないのです。私はそう大した目利きではないようで。

これ、海岸ではただの茶色い石に見えました。でも目が留まった。こいつはなんかおかしい。ひょっとして被膜を被った黒メノウではないのか。…… じつはこの点では我が慧眼けいがん恐るべし、なるほどこれは黒メノウだったのでした。しかし。

磨いて磨いて、落胆しました。何とかツヤは出ましたが、不純物の多い黒メノウで決して鑑賞に値するものにはなりませんでした。
磨けば光るとは限らない。うーむろくでもない結論になったぞ。この場合私の側の「目利き」の問題です。石の本質を見抜けなかった。こいつは光ると見極め、ヤスリやら労力やらのリソースを投下して、目論みの外れたことを知る。事は石に限りません。
幅広い層から愛される女優の綾瀬はるかさん。元はグラビアアイドルでした。明らかにサイズ違いの極小ビキニなんか着せられてた。ところがその写真集を見たある人が、こいつは演技の才能があると見抜いて声をかけた。未来の人気女優誕生の瞬間でした。すごい目利きがいたもんです。あ、これ綾瀬さんのグラビア時代の経歴が消されているので確認が取れない話笑 ですから、転載はご遠慮くださいね、ふふふ。
↓「黒海」初出。
↓「黒海」修行中。
↓ オルソクォーツァイト。
↓ 石の楽しみ。
















































































































