ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

磨く。

 

 にんげんみんな きんのたまごー
 みがけばひかる きーんのたまー


 バブル期、を憶えている人も少なくなったけどそのバブル期、正規社員なんかにならず、必要に応じてバイトをしながら生きていくのがかっこいい、そんな価値観が世に流布されました。もちろん企業からすればその方が都合よかったからです。バイト情報誌も売れまくり、盛んにTVCMを流しておりました。冒頭のはそのCMソングね。


 人間何か光るもんがあるのだから、いろんなバイトで自分を磨こうよ。そういうことなんでしょう。金は磨かなくても光るよ、なんてツッ込みしなくてもこれが危ない言説なのは自明のこと。そもそも誰もが習得できるバイト仕事なぞ、向き不向きの判定にもスキルアップにも、何の役にも立ちません。…… いかんまた説教癖が出た。今日の本題は海岸メノウです。

 


 海のメノウをはじめとする拾いもんは外皮の損傷が激しいので、人にお見せするときには磨きをかけるのが最近の習いでございます。

 


 バットにゴムを敷いて水を張り、そこに石を置きます。水ペーパーでひたすらシャコシャコするのです。売り物みたいにピカピカつるつるにしたければ機械を使うのが常道で、実際にそうして磨き上げた石を公開なさっている方も多いのですけど、私は自分の手の中で時間をかけて石に光が宿っていくのを見るのが好きです。ほれ、アナログ人間だしー。

 


 過去に仕上げたものから、黒海ヘイハイと号したもの。磨くほどに黒メノウと白い水晶の色の対比が映えて、イイ感じになりました。

 


 混沌と名付けたもの。黒メノウの面白さが詰まってます。全身ひどい打撃痕だらけで白茶けていましたが、磨くことで青く黒光りする景色が現れました。機械を使って完全に傷を削ってしまったなら、この味も失われるような気がします。

 


 オルソクォーツァイト! いつぞやの記事にしたものです。その後も磨き続けていたら、使い込んだ海泡石(メシャム)のパイプのような風合いになりました。

 


 機械で磨いてピカピカにしたものが貴石として売られていたりします。が、私はこの程度で十分。手のひらにすっぽり収まる大きさも石英の冷たい感触もお気に入り。

 


 オルソ、海岸で拾ったときはこんなザラザラしたものです。

 


 構成する石英の粒が見て取れます。

 


 海岸で大きいものをよく見かけます。いつもはぐっと我慢するのですが、大きくて形がいいのをつい拾ってしまった。

 


 磨いてみたのですが、光沢は出ても質感が荒いままです。石英の粒が大きい。

 


 こちらは最近の記事でも紹介したもの。石英が細粒で、美しい色合いになりました。

 


 並べるとこんな。

 


 磨いてわかるのは、同じ種類の石であってもそれぞれに個性があること。同じ働きかけをしても、みな違う姿を返してきます。ヒトに似てる、と思います。

 


 この石は磨くという作為にどう応えてくれるのか。輝きを放ってくれるのか。磨いてみなきゃわからない、では話になりません。目利き、という問題になります。

 


 こんなのもあった。メノウじゃないな。ジャスパー系? 流紋岩?

 


 ジャスパーの赤系は潮に濡れて輝くのをつい拾ってしまいます。乾いたのちのざらついた姿でいつも後悔します。

 


 挑戦してみよう。左は以前に磨いたもの。

 


 う~ん、黒の模様はいい感じに入っているのですが、ざらつき感が取れません。

 


 以前のもの。よく見るとヤスリで付いた傷がありありですが、それでも光沢が出てます。

 


 今回のもの。黒い部分は緻密で光沢も出ました。赤い部分はいまいち。

 


 ずいぶん海岸で選別したんですけどねえ。

 


 これは黄色というか黄土色のジャスパー。赤にも増して傷だらけ。

 


 でも磨いたらちょっと不思議な魅力が出ました。

 


 さあ正体不明のこの石、わかっているのは恐ろしく緻密で固いということ。たぶんジャスパー系でしょう。足の裏に見えるので仏足石と呼んでます。打撃痕だらけなのに美しいツヤが出ました。

 


 長さ9センチほどです。すべすべでとても握り心地がいいのだ。

 


 黒メノウの素のまま(左)と磨いたもの。これも石によるのですが、磨くことで青い光が宿るものも。…… 読者さまからのコメントで、黒メノウの拾える磯崎が「黒の海岸」というかっこいい名で呼ばれるていると知りました。その語で Google 検索してみたら1番目に表示されたのが私の記事で、その上にAIによる要約が表示されて、かつて自分が「模様が消えてしまうので黒メノウ鑑賞は素のままが基本」なんて書いていたことを知ってうわあ冷や汗。訂正しなくては。

 


 テカリ三兄弟。

 


 そろそろシメに掛かりましょう。少し前の記事でご紹介した黒メノウ、長辺 14 センチ。仏頭状構造が削れた面白い景色をしていて、これは磨けば光ると直感しました。

 


 うおお、白水晶と黒化玉髄のコントラスト、これぞ茨城の黒メノウ。

 


 黒の部分が特に緻密で、見事な光沢になりました。深淵の黒から放たれるまばゆい光。

 


 よく見るとこの写真では水晶も遊色効果で虹の光を発しています。キレイだなあ。


 なーんて成功作ばかりではないのです。私はそう大した目利きではないようで。

 


 これ、海岸ではただの茶色い石に見えました。でも目が留まった。こいつはなんかおかしい。ひょっとして被膜を被った黒メノウではないのか。…… じつはこの点では我が慧眼けいがん恐るべし、なるほどこれは黒メノウだったのでした。しかし。

 


 磨いて磨いて、落胆しました。何とかツヤは出ましたが、不純物の多い黒メノウで決して鑑賞に値するものにはなりませんでした。

 


 磨けば光るとは限らない。うーむろくでもない結論になったぞ。この場合私の側の「目利き」の問題です。石の本質を見抜けなかった。こいつは光ると見極め、ヤスリやら労力やらのリソースを投下して、目論みの外れたことを知る。事は石に限りません。

 


 幅広い層から愛される女優の綾瀬はるかさん。元はグラビアアイドルでした。明らかにサイズ違いの極小ビキニなんか着せられてた。ところがその写真集を見たある人が、こいつは演技の才能があると見抜いて声をかけた。未来の人気女優誕生の瞬間でした。すごい目利きがいたもんです。あ、これ綾瀬さんのグラビア時代の経歴が消されているので確認が取れない話ですから、転載はご遠慮くださいね、ふふふ。

 

 


↓「黒海」初出。

↓「黒海」修行中。

↓ オルソクォーツァイト。

↓ 石の楽しみ。 

 

啓蟄に石も動く

 

 二十四節気の三つめ、啓蟄になりました。低気圧が通い、雨が降る。季節が動き始めたところで良い知らせと悪い知らせがあります。さてどちらから参りましょう。

 


 ざざーん。鹿島灘で発達した低気圧が大波を生み、強風を吹き寄せました。おおおこれは海岸メノウ拾いの好機、引き潮に合わせて出てみます。波浪注意報発令中を知ってて海岸に出るんだからなんのための注意報かわかりません、ふふ。

 


 期待通りハマの小石が一新されてます。

 


 赤玉髄。

 


 ぎゃああナニこれナニこれ。

 


 どうやら海藻のねじくれてヨタったものらしいですが、こういうのも嵐のあとの楽しさです。

 


 貝が穴をうがった砂岩。面白いとは思うけど、拾いません。

 


 今回興味を引いたのがこれ。コンクリではなく礫岩れきがんです。問題はその礫に黒メノウが含まれていること。ええええ、とびっくり。さてこれは黒メノウが堆積して礫岩になったのか、礫岩になった後で黒化したのか。

 


 黒メノウは玉髄/メノウが数億年単位で放射線に晒されて黒化したものです。この地の黒メノウの来歴は、私が考える以上に複雑で多様なのかも知れません。

 


 面白かったのがこれ。黒メノウの仏頭状構造が削れ、すっごく愉快な景色を見せています。どれだけの時間と試練を経てこの姿に至ったか、私が好きなのはこういう「物語」を背負った者なのです。これは磨いてみたいぞ。いずれ完成品をお見せしますね。

 


 さて困った、コレはなんだ。丸くずっしりと重く、びっしりと細かい縞模様からできてます。黒化してます。でもメノウじゃない。

 


 年輪? 木目? これはもしや珪化木では。持ち帰ろうかと思いましたがかなり大きくて、すでに収穫物で荷物が重い。目印を付けて埋めておきました。いずれまた。


 それなりに戦果があったので、調子に乗って日立のシーグラスも見に行きました …… が、これがどうもよくありませんでした。

 


 凄まじい大波が打ち付けています。先程の黒メノウ海岸と同じ太平洋とは思えない。

 


 初崎海岸に隣接する海水浴場が、その大波に削られていました。

 


 これはもう海水浴場とは呼べません。昨年重機を入れて整備していましたが元の木阿弥です。

 


 強風に泡立つ海。こういう絵って冬の日本海だけだと思っていました。…… そしてさあ初崎海岸です。かの浜を知る人は、覚悟してご覧ください。

 


 どわああ、砂が、砂がないぃぃ。干潮時間のはずなのに、堤防の下まで波が寄せてます。そしてこれまで一度も見たことのなかった基盤の岩が露出してます。2019 年から通い詰めた浜ですが、「浜」じゃなくなっていました。

 


 今回の嵐が砂も小石もシーグラスもすべて洗い去ってしまいました。ここ数年衰退する一方だった初崎海岸、でも多くの人が訪れ続けていました。しかし色味多様な美しいガラスの拾えた海岸は、その復活を望まれながら文字通り消失してしまいました。…… ごめんなさい、つまりはこれが悪いお知らせです。

 


 初めてこの地を訪れた時に迎えてくれた黄色のカタバミだけが変わらぬ姿でありました。

 


 わずかな希望を抱いて他の場所も歩いてみましたが、「アリス海岸」はただ波が泡立つばかり。

 


 最後の希望「ルミネ海岸」も浜が削られていました。

 


 ただここは下の層までシーグラスが含まれていたので、わずかな名残りが。

 


 私が偏愛する赤・青・黄のガラスも1個ずつ拾えました。どれか蛍光するといいな。

 


 とまあ残念なこともあった海ですが、この日は元気に車を飛ばし久慈川水系も見てきました。雨の影響はあったろうか。石は動いたろうか。…… 玉川の一か所、まだ増水したままで、濁ってもいましたが

 


 たちまちいくつも拾い出しました。石が動き出しています。あと何回かの雨を経ないと面白いものは出ませんが、川の光りものに関しては期待が持てそう。はい、これが良いお知らせです。

 


 久慈川本流も一か所。こちらもメノウが拾えました。まだ冬の泥汚れ、ヌル汚れが残っていますので、やはり雨は待たねばなりません。

 


 とはいえ石動く。来たれ春の慈雨よ。

 

 


 富岡橋の堤防工事は遅々として進まず、メノウ教聖地の一時移動を本気で考えてます。いえ単に置きメノウするだけですけど。一度だけ、GW前の休日に山方宿の神奉地の河原を考えております。それなりの量がありますのでお近くの方、お手伝い願えますか。エラそうに聞こえたらごめんなさい、良い機会になるかな、なんて。

 

 


↓ つい1か月前と比べても激変。

↓ 次の復活はあるのでしょうか。

↓ 昨年のこれ以来まとまった雨がありませんでした。

↓ 今年も春の慈雨に期待します。

ラ・マンチャの男

 

 新聞もテレビも、世界の混乱を報じています。現実こそ狂気。それをただ傍観するしかない私たち。

 

 いにしえの中国には、乱世の現実を離れ竹林で清談にふける賢人たちがおりました。私たちもそのひそみに倣い、夢に生きた男 ドン・キホーテ の物語などいかがでしょう。


 ドン・キホーテ。セルバンテスの手になるこのスペインの大ロマンは、岩波文庫で正続全十巻に及ぶ冗長さやら、まるでストーリーと関係のない劇中劇が語られるやらとにかく読みにくい。そこでその核心である夢に生きることの大切さを切り出し、一編のミュージカルに仕立てたのが「ラ・マンチャの男」です。

 

 その映画版(1972)をベースに文字に起こしてみました。


登場人物

 セルバンテス / キハーナ老人 / ドン・キホーテ
 召使い / サンチョ・パンサ
 囚人の女 / アルドンサ / ドゥルシネーア
 牢名主 / 宿屋のあるじ
 侯爵 / カラスコ医師
 アントニア、刑吏、ほか
 ♪(楽曲名)

 


 貴族の身分を持ちながら零落し、今は旅芸人に身をやつすセルバンテス。上演した劇の内容が教会への冒涜とみなされ、召使いと共に捕縛される。


 有罪なら火あぶり、その宗教裁判までの待機場所として堕とされたのは古城の地下牢。そこには重罪を犯し、今は刑の執行に怯える囚人たちがひしめいていた。


 身分だけは高貴なセルバンテスをいいなぐさみものと考えた牢名主は、この場でも彼を被告に裁判を開くという。そこでセルバンテスは、書き上げたドン・キホーテの物語を囚人たちに役を当てた劇に仕立て、自らの身の潔白を証明すると提案する。


 私は!ある男になります。名前は、アロンソ・キハーナ。
 もはや若くはない田舎紳士、隠居して読書三昧の毎日。昼となく夜となく古今の書物をひも解き親しむうちにその影響少なからず、やがてこの世の乱れに対して義憤を禁じ得なくなった。
 何たることだ! 今の世の中を見ろ。まさに悪は栄え驕り、善は滅びる一方だ。偽善と欺瞞がはびこり、真実と誠実はその陰に隠れる。彼は思い煩い思い悩み、悩んで悩んで悩みぬいた挙句、ついにその思考は行き詰った。
 そこで彼は、正気なるが故の苦しみを捨てた。そして途方もない計画を考えついたのだ!
 つまり!遍歴の騎士となり、諸国武者修行の旅に出る。冒険に挑み、悪しき者を正し、強きをくじいて、弱きを助けよ! これが使命だ、いざゆかん!
 供はサンチョ・パンサ。近所の小作人で、正直者だ。暮らしは極めて貧しいが、心根は卑しくない。あいつを従者にしよう。馬は年老いた荷馬車馬、これをロシナンテと呼べば立派な騎士の馬だ。古い甲冑も念入りに埃払って身に着けてみれば気持ちが引き締まる。もはや田舎紳士のアロンソ・キハーナではない! 恐れを知らぬ花の騎士、ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャだ!
 ♪ 我はドン・キホーテ

↓ 全部英語です、ごめんなさい。ドン・キホーテの狂気っぷりは伝わります。関連動画が次々と再生されるので、2つ目の「我はドン・キホーテ」が終わったら戻ってきてください。

 

(城と思い込んだ宿屋で)
 おお…… これは、この方こそ……
 姫君、麗しき乙女…… まばゆいばかりの美しさ、まともにお顔を見ては、この目が盲いてしまいます。
 …… ワイン持ってくるから。
 姫君、あなた様が給仕女の真似などなさらなくても。それより、お名前を。
 アルドンサよ。
 何をまたご冗談を。
 アルドンサ!
 しかしそんなメイドのような名前では似つかわしくございません、あなたには。
 だけど本名よ。さぁさどいてどいて! 仕事の邪魔だよ仕事の!
 …… 姫君はわたくしをお試しになっている。わたくしの忠誠心を問うのならば、身も心も捧げましょう。悔いはござらん。
 ♪ ドゥルシネーア


(宿屋の中庭での独白)
 さあて、のちの世の賢人がこの歴史的な一夜を描写するとなればさしずめこうだな。
 久しく輝いた太陽も今や引きこもり、ラ・マンチャの城門城壁は闇に沈んでいる。
 ドン・キホーテは気高きその横顔を見せ、巨大な城の中庭でその夜不寝番に立っていた。
 …… ああ、何という自慢たらしいことを。よりによってこの私が自惚れるとは!
 ドン・キホーテは一つ大きな息をして、人生いかにに生くべきかを考えた。
 おのれの魂に呼びかけ 良心に従い 今のみならず未来のおのれも愛すべし
 楽しみ喜びを追うなかれ 追えば往々にして災難も不意打ちがある
 常に先を見よ! 去年の鳥の巣を覗いても 今年の鳥の姿はない
 すべての男に公正に すべての女に優しく
 行け! かの姫の面影を胸に抱いて武勲を立てよ!
 ドゥルシネーア……
 立ちなさいよ! 立って!
 これは姫君……
(被るように)なんで姫、姫って言うのよ。
 姫君ではございませんか。
 あたしはアルドンサよ。
 あなたはよく存じ上げています。
 ウソおっしゃい、知るもんですか。
 いいえ前から存じてます。その清らかなお心も、姫はわたくしの胸の中におられました。
 胸の中なんて、そんなのアテにならないわ。
 いいえ! 確かなものでございます。女は男の命です。その輝きが行く手を照らします。女性こそ、光なのです。
 何をしろっていうの?
 何も。
 嘘。
 お願いがございます。叱責は覚悟の上です。
(被るように)ほら見ろ! 
 お仕えすることをお許しください。面影を胸に抱いて戦います。勝利の栄光はあなた様に捧げ、負け戦には励ましをいただき、ついに命を落とす時は聖なるドゥルシネーアの名のもとに潔く散ります。
 …… もう行くわ、ペドロが待ってる。…… ね、どうしてそんなことするの?
 そんな、とは?
 バカなマネばっかりしてるじゃない!
 私は鉄の世の中を変えて、黄金の世界にしたいのです。
 この世は腐っている。あたしたちはその中のウジ虫よ。
 滅相な。心にもないことをおっしゃいますな。
 心にも大あり。そう思ってるから言ったまでよ。ドン・キホーテさんとやら、バカやっていると命を縮めるわよあんた。
 恐れはしません。
 どうして?
 クエストさえできれば本望です。
(ペッ)まだそんなことを!(行きかけて)…… なんなんだいそれ、クエストって。
 騎士の冒険の旅です。使命です。いや…… 特権なのです。
 ♪ 見果てぬ夢


(刑吏たちが降りてくる。セルバンテスの呼び出しかと思われたが、別の囚人が連れ去られる)
 …… まあ良かったな。しかし現実と幻想の間には違いがあることがわかったろう。早い話が、ここの囚人と、芝居の人物の間だって。
 ところが幻想の方がずっと真実に迫っていたりする。
 結局同じだっていうのか。なんで詩人はそうまで変わり者が好きなんだ。
 相通ずるところがあるからだ。
 人生に背を向けているからだ。
 違う! 好きなところだけを取り上げるのだ。
 あるがままの人生を受け入れるのが人の道だ。
 …… あるがままの人生か。私は四十年以上それを見てきたんだよ。人生の、あるがままを。…… 苦しみ、悲惨、残酷。万物の霊長の嘆きを、ありとあらゆる声を聞いてきた。

 街にはボロをまとった人々の呻きが溢れている。私は兵隊であり、奴隷でもあった。戦友は戦死したりあるいはムチ打ちの刑でじわじわ殺された、アフリカでのことだが。そういう者はみんな人生のあるがままを受け入れたのだ。文句も言わず、そして絶望して死んだ。手柄も立てず、勇ましいいまわのきわの言葉もなく、その目にはただ、戸惑いのみがあった。なぜだと問いかけていた。その疑問も、なぜ死ぬのだでは決してなかった。なぜ人間らしく生きられなかったかだ。

 この世の中まともなことなどあるもんか異常なことばかりではないか。それならいっそ夢に身を委ねて生きるのが利口ってもんじゃないのか。妙に突っ張って正気で通そうとするやつこそ異常だ、正気の沙汰じゃない! それに常軌を逸しているほうが、型に押し込められずよっぽどあるがままの人生を送っているよ!
 ♪ 我はドン・キホーテ


 舞台代わって、ラ・マンチャのある農家…… 明かりを! その屋の一室、そこにドン・キホーテと称した男が、横たわり、今やもう、生死の境を彷徨っている。


(目覚めたキハーナ老人が遺言を記録させていると表から騒ぐ声が)
 何です、何ごとなの!
 あれは宿屋のアバズレだ!
 あの人に会わせてよ!
 面会謝絶だ!
 よい、通せ!
 こんな女に会っちゃいけません!
 私の家だ、そんな無礼は許さんっ
 …… こっちへ来るがよい。
 何の用かな?
 見覚えがない?
 誰かな?
 アルドンサよ。
 …… 申し訳ないが、その名前には思い当たるところがない。
 騎士どの、思い出して!
 どういうことだね、騎士どのとは。
 あなたはドン・キホーテです。
 ドン・キホーテ…… あなたには悪いが、夢やら幻想やらがごっちゃになってな。おそらく、あなたにも会っているのだろうが、思い出せん。
 さあこっちへ。
 お願い、思い出して!
 それほど、大事なことかな。
 大事です。命と同じくらい。あの時のあなたは、違ってましたわ。話しぶりも…
 あなたと話したのか。
 あたしを見つめて、別の名前で呼んでくれましたわ。ドゥルシネーアと。
 ♪ドゥルシネーア
  …… するとあれは、夢ではなかったのか……
 夢のことも言いました。夢は、クエストだと。
 クエスト?
 冒険の旅だとか。戦いに勝とうと負けようと構わない、ただその、クエストさえできればと。
 他に、何と言ったのだ。教えてくれ……
(「見果てぬ夢」を語りかけるアルドンサ)
 夢を、見果てぬ夢を追い …… あなたの言葉ですよ?
 強敵に、敢えて挑む …… 憶えていません?
 耐えがたい、哀しみにも耐え …… 憶えているはずです!
 往こう、勇者も避ける道を
 正せ、正せぬ悪を、正せ
 …… そう!
 清く、純なるものを愛し
 …… そう!
 両の腕疲れ果てようともなお、届かぬ星を目指し手を差し伸べよ!
 …… 思い出してくれたのね……
 姫君、あなたがひざまずいてはいけません、ささ立って。
 でもあなたはご病気でしょ?
 病気? 遍歴の騎士が病などに負けるものか! 私は無敵だ! たとえ倒れてもすぐさま立ち上がり、正義の刃かざして悪と戦うのだ! …… サンチョお!
 はいっ! 控えております!
 剣を持て! 馬引けぇ!
 また冒険をやるんですか。
 冒険だ! 諸国遍歴だ!
 ♪ 我はドン・キホーテ(3人で)
 (歌の途中でくずおれるドン・キホーテ)
 旦那さま!
 騎士どの……

 

(門前。キハーナの騎士道本が次々と運び出され火にくべられている)
 亡くなられた。わしの旦那様が……
 人は死ぬのよ。いい人らしいけど、あたしは知らないわ。
 でも会ったじゃないか。
 ドン・キホーテは死んでない。これだけは信じて。信じるのよ……!
 駄目だよ、アルドンサ。
 …… ドゥルシネーアよ。 (歩み去る)

 

 

(轟音と共に降りてくる吊り階段が舞台装置を押しつぶす。重々しい足取りで降りてくる刑吏たち)
 宗教裁判所の権限を持って、カトリック教会に対し冒涜の罪を犯したかどにより、次に読み上げる姓名の者を、宗教裁判の責に於いて裁くものとする。ドン・ミゲール・デ・セルバンテス!
 …… どうだ、売れっ子の被告だろう。ここの裁判の告脈もつかないうちに、もうお呼び出しが掛かった。さて、ここの判決は、どうかな?
(牢名主、左右を見回し、皆が頷くのを確かめて)
 まあな。大体のことはわかった。あの中身な、(セルバンテスの原稿を手に取り)…… フーテン騎士の、一代記だな?
 書けるだけは書いてみたが。
 堂々と読んでやれ、ここでやったようにな。そうすりゃ無罪だ。
 私も火あぶりになるつもりはない。
(去りかけるセルバンテスと召使い)
 セルバンテス! …… さしずめドン・キホーテは、お前さんの兄弟分だな。(帽子を脱いで一礼する)
 いかにもそうだ。ふたりともラ・マンチャの男だからな。…… 私だけのためにドン・キホーテは生まれた。私の分身だった。だが諸君にゆずる。…… では行こうか。


 (湧き上がる「見果てぬ夢」の歌声の中、階段を登っていくセルバンテス)


     終幕

 

 

 

冬さんぽ

 


 もう 10 年は走っている茨城交通ガルパン2号車、まだ現役です。

 


 明治時代の銀行の建て物が修復され、左右に美術館とカフェを並べた文化施設になりました。

 


 で、そのカフェを覗いたら …… 店内が女の人だらけで、軽く悲鳴を上げて撤退してしまいました。私はそんな怖い空間に入り込めません。

 


 いつにも増して低温だったこの冬の朝7時に家を出る「駅までさんぽ」、暦が小寒から大寒に移るころには最低気温がマイナス6度の日もありました。今日は暖かいなというのがマイナス2度だなんて、この自分の適応力が怖い

 


 そんな中でも図書館の入場に行列ができます。1月の共通テスト後は多くが受験生。頑張ってほしいなあ。

 


 図書館前では真っ先に紅梅が咲きました。

 


 今回ただひとつの虫ネタお許しください。水戸の東西に伸びる台地の北側斜面は、植物の種類がちと変わるくらいに寒くなります。そこをいつもより遠くまで歩いてみました。

 


 歩道にはシラカシのどんぐりがおびただしく、よく見るとその中に緑の粒が垣間見えます。はて何かと思ったら

 


 カメムシだあ。南方系のツヤアオカメムシです。従来茨城県では見られなかった種類ですが、気温とともに北上してここ数年大発生していました。

 


 そうかそうか、南国生まれに水戸のマイナス6度はキツかったか。

 


 ツバキの実の間にも。セミと同じ仲間なので、足を閉じているのは命が尽きているということでしょう。

 


 とにかくすごい数です。カメムシがこんなにいたのかと驚きます。…… はい、虫ネタここまでね。

 


 大学裏まで足を伸ばして、十代の頃によくお参りに来ていた神社です …… 何かおかしい。風景が違う。もっと鬱蒼とした杜であったはずなのに。

 


 境内を丸のみにしていたスダジイの巨木が伐られていたのでした。うわあ、思い出の場所がまたひとつ消えたー。

 


 生物ですからいつかは寿命が来るものです。とはいえ心にある風景が消滅してしまうのは悲しいなあ。切り株の中心にくくれたウロから実生株が育ってますが、これが木陰をつくる頃には私の寿命が尽きてます、ううう。

 


 東武館裏の「小澤の坂」を下ると現れる「小澤の滝」、と言ってもいまは湧き水を湛えた池があるだけですが、極寒の中に湯気がたってました。湧き水は暖かい。

 


 冬至から日も経ち、陽射しは暖かくなりました。その陽射しと湧き水の中でセリが育ってます。雪のない水戸の天地は、緩やかに季節を進めます。

 


 駅ビルのキッチンのカルビ丼が美味いことを知ってしまった。

 


 台地の南側にあるのが千波湖。手前は桜川。

 


 デカいコイがいるのよ。

 


 その水中からいきなり飛び出すのがカワウマイティ号スカイワンか、と言っても 99 %の人にはわからないよなあ。昭和特撮少年よ永遠なれ。

 


 アーケードが最後に残った南町三丁目で、そのアーケードの撤去が進みました。

 


 スッキリはしたんだけど、寂しいのう。

 


 2月半ば、梅が満開になり、そこにロウバイも開き始めました。なんて季節の便りは書けるのですが

 


 さすがにこのさんぽも4年続けると歩く道のバリエーションも尽きて、道すがらの新しいものがないなあ。

 

 
 でもシャッターは切る。思わず撮ってしまった何気ない交差点風景、肉眼ではこのワンフレームの中が赤い光の奔流に見えました。赤は乳児が最初に認識する色、人間の色覚で特別な意味を持つ光です。光をただ記録するカメラの撮像素子では切り取れないヒトの感覚。

 

     
 これは記事にしましたっけ。東照宮の石段。何となくこういう消失点のある風景は好きなのです。

 


 ああ、あのらせん階段を昇り降りしたい。周囲の朽ち具合との一体感がステキです。こういうのなら水戸市内にまだまだあります。

 

       
 あああああ、学生時代にスポーツ自転車を買い、パーツでもさんざんお世話になった自転車屋さんが閉店してた。

 


 2月末、陽光はいよいよ力強く

 


 ミモザが咲き始めました。次のおさんぽ記事は花だよりにできそうです。

 

 


↓ 水戸の気候と植物について。

 

ブローチと勾玉と

 

 うっうっうっ、お母さんに会えてよかったねマルコ ……


 いきなりすいません。BSでやっていた「 母を訪ねて三千里 」が最終回だったもので。こういう泣かせにくる良作アニメを最近見かけないなあ。

 


 というつかみは軽く無視して。

 


 読者の皆さまは、ご自身の物欲をどう制御しておられますか。私はやれ車だカメラだ蓄電池だと、10 年に一度デカい買い物はしますが、日常的には世捨て人のナチュラリスト、大した消費をしてません。それでも衝動買いの誘惑に負けての失敗、逆に買い損ねての後悔を歳相応に経験しております。今回はその買い損ねの件で。

 


 ブローチです。飛行機の絵、上にあるロシア語のキリル文字の最後にCCCP(ソビエト連邦)とあります。БИ-1 は英語のアルファベットなら「BI-1」。下に 1941 の年号。ひと目見てうおおと唸ってしまいました。このビーアイというのは世界初のロケット戦闘機、初飛行は厳密には 1942 年ですがそれを記念した旧ソ連製のブローチなんです。うおおお欲しいぞお。


 描かれた飛行機そのものがマニアにしかわからない超レアもの、そんなもんがブローチになっていようとは。千五百円ほどでしたから買えばよかったのですが、この時はクリスマスプレゼントを物色してる最中で他のことに気が回りません。衝動買いの危険を感じました。よし次に来た時に買ってやるぜと、お店の人に許可を得て写真に収めました。こんなもん買うのは自分だけ、と一種の自惚れがありました。でも次に覗いたら売れてしまっていた。ぐああやられたー。後悔することしきりでありました。


 お店によると、旧共産圏の古いブローチをプロの職人が修復した商品のひとつとのこと。もとがノミの市とかでまとめ買いしたゴミの山から拾い出されたものでしょうから、同じものが再入荷することは望み薄です。いや手に入れたからといって私の生活がどう変わるものでもない、純粋に物欲、所有欲のお話ではあるのですけど。

 


 かなわぬ物欲ネタ、もうひとついいですか。

 

 


 県東部・鉾田市の廃校になった小学校、今は公民館として使われています。ここで勾玉が展示されているというので見て参りました。

 


 わあ。地元・玉川産のメノウが使われた古代のお宝です。古墳時代には交易品として全国に流通して、そういえば東京で開かれた勾玉展でも原料として玉川のメノウ原石が展示されてましたっけ。

 

         


 中学生時代、なぜか考古学にハマって土器拾いに熱中していた時期がありました。その時分に欲しくて欲しくてたまらなかったのがメノウの勾玉。古墳の石室に収められるものですからそこらの畑では拾えません。博物館のショップに行けばブラジル産の着色メノウを勾玉型にしたものを売っていますが、もちろんそれでは納得できません。本物を自分で拾わなければ意味はないのです …… かなわぬ夢でした。

 


 ちなみに、この勾玉のような富の所有・偏在や階級分化がみられるのは弥生時代からで、縄文の遺跡には認められません。そのあたりが「物欲」の起源でしょうか。

 


 金次郎さんにも物欲ってあったのかな。

 


 さて、このブログにもしばし登場する近くの MEGAドン・キホーテ。売り場は広壮な2階建て、平面駐車場に立体駐車場まで備えます。この市街地によくもまあという広い敷地、実は町なかに残された畑でした。開業当初は1階がスーパーの長崎屋、2階に電機量販店やら本屋やらベビー用品店、そしてドン・キホーテのブランド品。当初はこぎれいなショッピングタウンを目指したようです。でもこの土地の地域性をリサーチしきれてなかった。戦後のバラックがいまだ残っているような場末なんです。かくして店内の上品な店からひとつまたひとつと撤退していき、そこをドン・キホーテの売り場が埋めていき、ついには食品売り場までがドンキになりました。廉価な商品を床から天井まで積み上げ、派手で巧みなポップを林立させて物欲を煽る …… これ、ほめているんですよ。この土地の住民にマッチした見事な商法、アッパレと称えたい。ヒトというものを正しく理解してこそです、良くも悪くも。

 


 結局、物欲ってなんなんでしょうね。モチベーションか、リビドーか。古墳に埋められた古代の首長はそれを冥界にまで持って行きたかったようです。

 

 

 

↓ そういえば拾った土器はどうしたろう。

光はここに

 

     


 ひとつ前の記事での海岸メノウとシーグラス、まとめて写真にしました。あーまたかとか言わずに。こんなんでも撮影に三日かけて撮りに撮ったり 200 枚、それなりに工夫を凝らし、キレイに撮れたのだけ厳選して皆さまのご機嫌を窺おうという趣向でございます。いざ。

 


 シーグラスはこんだけ。アリス海岸では大きいのがありましたが初崎海岸では1個も拾えず、ルミネ海岸も人が入ったあとでした。以前の写真と比べるとわかるのですが、この地を特徴づける青い色のものがありません。海の動きが低調なのです。初崎にシーグラスの戻る日は来るのだろうか。…… オレンジに光るのが1個だけあります。さあどれかな。

 

 

 


 これね。右下にかすかに赤いのはサンショウガイ。

 


 色に濃淡があるので、案外面白い照明器具の一部だったのかも知れません。

 


 サンショウガイと2ショット、あらきれい。

 


 海岸メノウには特に傑出したものもないのだけど、さあここからどんな画を引き出せるかな。

 


 まずはメノウではなくオルソクォーツァイト。この独特の半透明感と柔らかな肌触りは上等な大福餅だぜ …… ごめんなさい今甘いものが食べたくて。

 


 透過光で見たメノウ/玉髄は打撃痕だらけ。海底で波に煽られていつ果てるともなく互いを打ち付け合い傷付け合う石たちを哀れと思うのは、おのが身に重ねるからか。

 


 目玉付き。「目玉」はメノウの中心にある「晶洞」です。

 


 蛍光するものもあります。

 


 仏頭状構造を持つものも。砕ける前はどんなメノウだったんだろう。

 


 当地の海岸メノウは、白や褐色の被膜をまとうものが多いのです。それが複雑な景色をつくります。

 


 半透明の内部が透けて見えるのも。

 


 被膜が茶色の場合、私は「柿渋」と呼んでます。

 


 こういう小粒のものもそれぞれに見どころはあって、例えば

 


 白装束のこれ。白いのは被膜で内部は透明、透過光で露わに。

 


 全長3センチながら晶洞に仏頭と微結晶、

 


 裏には結晶の「型押し」構造。歪んだ複雑な全形といい、玉川由来としか思えない。

 


 仏頭を光らせたり

 


 晶洞の微結晶を接写したり。たっぷり楽しませてくれました。

 


 これも全長3センチ。見事な柿渋色に染まり、写真左側には晶洞があります。

 


 どーん。知らない人に見せたら何だと思うだろう。

 


 以上の3個を除いた残りのオハジキ大のもの。きりがないからお見せしませんが、接写すればそれぞれに面白い景色が現れます。

 


 霧をひと吹き、それだけで色が変わるのも楽しみ方です。

 


 ご当地名物黒メノウ。これはちょうど手のひら大のすべすべお肌、握るのが楽しいという一品。

 


 玉のお肌を接写した。

 


 これも黒メノウらしい風情があります。手前は晶洞部分でその上に同心円のブドウ模様。これは仏頭状構造の削れたものです。

 


 リシャット構造って検索してみてください。北アフリカ・モーリタニアにある宇宙から見なきゃわからないサイズの目玉模様のことなんですが、これとそっくりです。いく層にもなるドーム構造が平らに削れてできたという、その成因が一緒です。かたや直径 50 キロ、かたや8ミリ。大なるも小なるも、ともに同じ法則でそこにあるという同じ宇宙での出来事でした。

 


 怪しの光を放つ黒メノウ。曇りなき透明なひとみが黒化し、さらに赤や青の光をまとう過程が観察できます。何があったというのだろう。

 


 透過光を当てれば、奥底に潜むメノウだったころの縞模様が現れました。長径4センチの中に深淵なる精神世界が内在する、石の不思議よ。

 


 ジャスパー系の皆さん。まあこの色味はキライじゃありません。

 


 その中の1個、形も大きさもオハジキみたいな、どうやらこれはジャスパーではなく、特に濃く被膜をまとったメノウです。真ん中にある模様が、熱射病で倒れる寸前に見たウチの家人みたいだ。

 


 あんたぁどおしたのぉぉぉ とか言ってきてます。おおこわ。

 

 


 とまあ、光のかもす情景をご覧いただきました。ああ珍しいもん見た、くらいの感想を持たれたなら幸いです。

 

 

 

↓ 関連記事です。

エネループあれこれ

 

※ モノ狂い記事で、しかもビンボ臭いこと言ってます。適当に流してください。


 …… と前置きしたうえで、責任として以前の記事への補足を書かせていただきます。

 



続・防災幻想 旅へのいざない - ジノ。 (リンク)

 ↑ という記事で絶賛したエネループ充電器/給電器であるこの パナソニック BQ-CC87 ですが、重大な不具合が露呈しました。

 


 なんと「給電」機能を2回使ったら、切り替えスイッチが抜けたというか戻らなくなってしまいました。

 


 原因は分解してすぐ判明しました。スイッチを押してそれがすぐ戻る、この機構がバネではなく、ボディに作り付けのごく細いプラスチック部品のその剛性に拠っていたんです。これが2回押しただけでぽっきり折れてました。瞬間接着剤で補修できたので良かったけど、再発が怖くて以後この機能を使用しておりません。ネットで検索してみましたが、個人ブログでは広告収入目当てにメーカーカタログをコピペしたものばかりで、実際の使用レビューなんかないんだよなあ。この個体だけなのかなあ。まあ皆さま、購入のさいはお気をつけください。

 


 さてエネループ。今は亡き三洋電機株式会社の偉大な遺産にして、私のステキな文化生活の大切なパートナーです。パナソニックに身売りされてからもしばらくはこの美しいパッケージが引き継がれていましたが、今は紙袋入りになってしまいました。


 で、古参の読者さまはよくご存じのこと、私はエネループの大ファンなのです。たぶん購入本数は二百本に達しているかと。その狂気の度合いは過去記事を読んでいただくとして、かつては1本四百円であったものがいつしか税込で六百円を超えるようになっていくのを悲しく見ておりました。その高騰した価格をもって、店頭で見るたびにはやる気持ちを抑えていたのでした。いいか落ち着け、もっと安く買ったものが家に売るほどあるのだぞ、と。

 


 それがさあ、8本パックで 3648 円だよ。1本あたり 456 円。買わないわけにはいかないでしょーがあ。わかってー。


 すいません落ち着きます。ケーズデンキ水戸本店でカード会員限定のセールをやっていたのです。なんとなんと電池まで対象だという。エ、エネループもですかあ。…… で買ってしまったのでした。ちょうどある器具に4本使用することになって、フリー使用分の手持ちがなくなるタイミングだった、と言い訳しておきます。

 


 こちらはエネループ保存箱。いつかくるその日のためのストック百本。年2回のうちの冬の充電期が来ましたので、太陽光が使える晴れた日を選んで充電器をフル稼働させる予定です。必ず役に立つんだと自分に言い聞かせながら、私のこういうところをからかう家人の目を盗んでのひみつ作業です、うふふふ。

 


 最後にひと声。上記のエネループを買ったあとでメガドンキを覗いたら、さらに安く1本 408 円で売っていました。 おのれエエエエっ

 

                    

 


↓ エネループが好き。

↓ いつかくるその日のために。