スイカズラのお話(花物語 スイカズラ;連れてこられた花嫁はそれでも幸せになりました - ジノ。)を読んでからご覧いただくとよろしいかと。
とうとうアサマイチモンジがうちの庭で産卵してくれました。チョウを育てるためにスイカズラを採ってきて,そこで根付いたスイカズラにチョウが飛んでくる。一つの大循環が完成したと一人ほくそ笑んでおりました。
このまま我が家がアサマイチモンジの大発生地になったらうれしいなとか思いながら,産み付けられた6個の卵を大きくなれよふゅふゅふゅと言いながら見ておりました。
ところが。
この最初の産卵は,チョウにも私にも失敗だったようです。卵は数日後に次々と孵化したのですが,生まれた一齢幼虫はみな翌日には姿を消していました。ふつう幼虫は卵を産み付けられたその葉の先端部に移動して食べ始めるので,消えたのは自発的移動とは考え難い。おそらく捕食されたのでしょう。多くの昆虫では,孵化直後の死亡率が非常に高い。ましてやうちのスイカズラ,あらゆる虫に好かれまくって茎のてっぺんから根の先までバトルロワイヤル状態。何の芸もないアサマイチモンジの幼虫なぞ,さながらヘビー級タイトルマッチに放り込まれた私みたいなものだったと思います。
こりはイカン。大発生どころか大虐殺の現場だ。そこで次に産み付けられた3個の卵は,私が室内飼育することにしました。四十年ぶりのアサマイチモンジ飼育だ。
一齢幼虫。全長2ミリありません。
これは何かというと,一齢幼虫が二齢に脱皮した時の頭部のカラだあ。
二齢幼虫,脱皮直後。
二齢幼虫,脱皮直前。
三齢・四齢を飛ばして五齢(終齢)幼虫の前蛹。
そして蛹。
羽化直前の蛹を庭のスイカズラに付けてやりました。なるべく自然状態で羽化するように。ヒトに慣れないように。
羽化しました。
これが日本の本州特産種,アサマイチモンジ。浅間一文字と書きます。里山のチョウです。最近減少しています。
1頭は残念ながら羽化失敗で死んでしまいましたが,残り2頭は無事に空のかなたへ飛び去って行きました。こんな市街地に戻らなくていいから,どうか子孫を残すまで生き抜いてください。
こうして,本来死ぬはずだった2個体を野に放ってしまいました。そのことがどんな影響を及ぼすのか。生態系のみならず,世界の気候や国際政治にまで変化を与えてしまった可能性があります。おお,これぞバタフライ効果。因果が因果を産んで世界核戦争が起こったら面白いのに。←こらこら
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