御岩神社おいわじんじゃに行ってきました。いえ,今日はお参りが主目的ではありません。数年前,偶然ここにオウレンがあることに気付いたのです。
オウレン。強力なアルカロイドを駆使するキンポウゲ科の一員で,漢方で「黄連」として知られる薬草です。本人は「毒」のつもりでせっせと作った物質も,人間には「薬」になっちゃうのね。恐るべし人類。薬効は胃痛とか下痢とか結膜炎とかいろいろですが,たぶん私の体質に合わないので採取しようと思ったことはありません。
私にはこれがかなり深山にあるというイメージで,かつては北茨城・花園山の奥に撮影に行きました。少しでも時期が遅れると花の中から無粋な緑色のさやがにょきにょき出てきてしまうので,タイミングの難しい花です。まあ野生の花はみんなそうですが。
御岩神社。いつ来ても森閑として霊験あらたかです。パワースポットとしてのご紹介はもう少しお待ちを。
植えられたザゼンソウ,まだ仏炎苞が残ってます。ここがまだ人影まばらだった頃,ご神職が神域内にさまざまな花を植栽なさいました。ミズバショウ,クリンソウ,イカリソウ,シャクナゲ…… 企業努力と言っては失礼かもしれないけど,こういう努力が今の興隆につながっているのでしょう。
コケがものすごく豊富なのもここの境内の特徴。参拝路が沢沿いにあって空中湿度がいつも高いためです。コケも真面目に研究しようするとかなり奥が深いので,手を出せずにいます。こんなのの名前がぱっと言えたらかっこいいだろうなあ。
空中湿度が高いとこんなものも。カヤランです。もちろん神域のものは採ってはいけません。
で,これがオウレン。コセリバオウレンというタイプです。
どアップで。口の悪い人にオマエの写真はどアップばかりだなと言われますが,好きなんだからしょうがないでしょ。
じつはオウレン,雌雄異株なのですが撮った写真がほとんど雄の花なのに帰ってから気づきました。これが唯一の雌花の写真。
コケやショウジョウバカマに囲まれて。
キンポウゲ科と言えば毒とともに花の美しさで有名。アネモネ,ラナンキュラス,クレマチス,トリカブト,ニリンソウ,前にご紹介したスハマソウ。こういう錚々たる同類と比べると地味で小さい花です。それがいいんです。
また一人,もの言わぬ使者が春の到来を告げに来てくれました。仕事も忙しくなる季節だけど,たおやかな春のメッセージは見落としたくないと思っています。
↓ いつもすいません。よろしければ。