雌花と雄花がセットで咲きます。
雌花。
柱頭。ちょっとグロテスク。よく見ると実になった時の縫合線というかあの割れる線がもう確認できます。
雄花。
花粉出してます。
なぜうちにあるのか,その由来を誰も知りません。たぶん死んだ祖父が山取りしてきたんだと思います。鉢に入ったまま放置され数十年いじけてました。毎年わずかにつるを伸ばし,ちょっとだけ花を付け,でも結実することもなく。いつの間にか2本に分裂して。
そしてスイカズラと同じような運命を辿ることになります。私が実家へ帰還した際に大鉢に移されるとそれまでのうっぷんを晴らすかのように大喜びで繁茂して、ついでにアケビコノハという愉快な虫まで呼び寄せました。それを喜んだ私は改めて地植えにしてラティス(格子)に絡めてやるという破格の待遇を与えることに。結果はご覧の通りです。
ただ,アケビのくせにしばらくは実を付けませんでした。理由は簡単,アケビは自家不稔性じかふねんせいといって自分の花粉では受精しないように出来ているんです,多様な子孫を残すために。よくできてるなあ。2本あるとはいえもともと分裂したもの,いわばクローンで遺伝子が同じだから受精しません。
そこである年,山で開花している雄花を採ってきてその花粉をうちの雌花に受粉してみました。人工授粉。効果はてきめん,その年の秋は大きなミツバアケビの実を大収穫。自家製アケビ,美味かったなあ。文字通り味を占めたわけですがいちいち山で雄花を採ってくるのも面倒くさい。そこで秋にホームセンターでミツバアケビ(アケビではなくミツバアケビ,と強調したらちゃんと届いた)を買い込んで元の2本の間に植えたら,次の春には開花し,その秋には見事なアケビの実が生ったのです。
この記事を書いていて気付いた。毎年たわわに実るアケビの実の写真が一枚もない。収穫の時には収穫しか頭にないんですね。生物屋どうしでよく言うには,撮影と採集は両立しない,と。人間てほんとに不器用。
今年の秋には,必ず撮影してこのブログでご披露します。それはそれは見事な,アケビより大きなミツバアケビの実を。毎年虫や鳥と取り合いになる秋の風物を。
空へ! つる植物のこの向上心というかエネルギーあふれる姿にはいつも勇気付けられます。
庭で食べてぷぷぷと吹いたタネから芽生えたヤツ。去年からグリーンカーテン担当に昇格。アケビってこういう用途には向いてないんだけどなあ。
↓ スイカズラの物語。
↓ アケビコノハってこういうやつ。虫閲覧注意ですごめんなさい。
↓ アケビの実。
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