永く生物屋をやってきて,最も驚いたというか愕然としたこと。
茨城にはトノサマガエルがいない!
この事実を知ったのは,30を越えてから。いい大人じゃないか。何気なく読んだ本にそう書いてあったのです。関東平野と仙台平野にはトノサマガエルがいないと。
関東平野にはトノサマガエルが分布していないだとう? じゃあ子供のころ田んぼで遊んだ,ここでいう遊んだとは爆竹で吹っ飛ばしたことも含みますが,あの遊び相手だった緑まだらのあのカエルは?
トウキョウダルマガエルう? 誰だソレは。聞いたことないぞコラ。だいたい何だそのいかにもこなれてない名前は。
……しばらくあらがったのですが諦めました。そして受け入れました。自分の知っているあれはトウキョウダルマガエルだと。
トノサマガエルはもっと大きくて,オスは繁殖期には黄金色の婚姻色をまとうのだとか。金ピカ趣味の殿様か。なるほどだからトノサマガエルなのか。
というわけで,私はトノサマガエルを見たことがありません。見てみたいです。水辺の生き物を見るとなるとそれなりの装備も必要で,ひょいというわけにはいきませんが,これを今夏の目標にしようかな。ただカエルは思うよりも敏感で敏捷で,大の大人が追い掛け回すのは一苦労なのですが。
なんてことを言いだしたのは昔の写真をたまたま見たから。それは2年前の6月末,県南の自然公園に行ったときに,保護されているせいかあまり逃げないトウキョウダルマガエルの個体群に出会って,たっぷり撮らせてもらったものです。ああこいつがトウキョウダルマか。久しぶり,と言うべきか。あだ名で呼んでた友達に大人になって再会したようで,ちょっと呼び名に困りました。
たまには田んぼのカエルと遊んでみようかな。
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