ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

カヤランクモランへの6番

 

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 ああ,とうとう使ってしまったこのタイトル。台風のせいだと言わせてください。


 台風12号,まるで私を避けるかのようにカクっと曲がって行ってしまいました。我ながら恐るべき天候力(造語)です。進路に当たっちゃった皆さんごめんなさい。本気にしないでね。


 台風ですよ。ここらもそれなりの風雨でしたよ。行かねばなりませんね,への6号フィールドへ。前出(カヤランクモラン - ジノ。)をご参考にどうぞ。そう,ここは着生ランを拾えるんです。風・雨・雪の後は。


 もう採取はしない,というのは前述の通り。ただ路上に落ちたものが車に踏みつぶされるのが不憫だし,珍しいものではあるので見てみたいし,発生状況を確認したいし。ここのところ不作だったので,行かねばならないという義務感がありました。アレを見たければあそこに行けばいいという引き出しがあることは,ナチュラリストの強みです。それにへの6号フィールドは冬虫夏草の産地でもあります。まあ期待しないで行きましょう。

 

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 路上にミズカマキリ。むかし学校のプールによくいました。雨が上がるとすぐ水場を探して飛んでくるんでしょうね。さすがに水たまりに獲物はいないよ。

 

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 さっそく幼体ではありますがカヤラン。よし,ちゃんと生育してるな。ほっとします。

 

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 何があったのだろう,ヒキガエルが亡骸をさらしてました。立派な成体です。ここまで成長するのに10年? それ以上? 前のめりの姿に,この個体が歩んだ人生を想います。

 

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 びっくり。半径1メートルほどの範囲にまとめて落ちてました。集めてみましたが,ざっとカヤラン4,クモラン8ほど。もっとあるかな。

 

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 カヤランの幼体はスギの球果に付いているものが多い。足掛かりになりやすいとか水分が保持されやすいとかあるのでしょう。

 

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 クモランもいっぱい。こんなにまとめて採れることは滅多にありません。

 

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 これかわいい。ああ,連れ帰りたい。

 

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 まだ雨がぱらついています。森の中は滝ごうごう。

 

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 空中湿度の高い森です。シダ植物のマメヅタが至る所に。

 

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 水たまり。映る森はただの逆像? いいえ,逆さにしても現実の正像にはなりません。水たまりの中だけの虚像。

 

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 で,でたあ。コウガイビル。いつ見てもどう見ても気持ち悪いよお。合目的な運動のできる多細胞動物ではもっとも原始的な「扁形動物」の仲間,わかりやすく言うとプラナリアの同族。こんなですが肉食です。照葉樹の森にはもっとすごいオオミスジコウガイビルというのがいて,もはや絶叫ものです。「へんないきもの」でも取り上げられていましたね。

 

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 お花は今回はこれだけ,ハグロソウ。水玉きれい。

 

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 カヤランクモランぞくぞく。ようやくカヤランの成体も見つけました。結実しているものも。

 

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 葉に白く地衣類が付き始めたカヤラン。落ちて日が経っているのでしょう。カヤランもクモランも,地に落ちたらそこまで。それだけの環境変化で弱り,覆われ,食われて消えていきます。かくもはかない生命も,この世にはあるのです。

 

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 最後に成体のカヤランを見つけて今日の探索はおしまい。見つけたのはすべて踏まれない場所に置いてやりましたが,何をしても地上では生きていけません。儚いものたち。

 


 この日このあと,お葬式に行ってきました。21歳の男の子。大学生で我が世の春を謳歌していました。事故で突然に。ご両親にかける言葉が見つかりませんでした。

 


 かくの如きか。人も,野の花も。 

 

 

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