ふたご座流星群見逃した。よりにもよって忘年会の当日でした。
翌日,悔しいので星だけでも見てやろうかと庭へ。市街地なので2等星以上しか見えません。
こういう時は写真で楽しむべきなのですが,前回の星空の写真があまりにもしょーもなかった。いえ天体写真はシロートなんですけど,もう少し人に晒せるような写真にならないものかと,手持ちのレンズで一番明るいのを選んで自宅から再挑戦してみました。
結論から言うとやっぱりシロート写真にしかならなかったんだけどね。
絞り開放で撮ったら,レンズの「収差」で星像がデロデロのオリオン座になりました。
ベテルギウスです。超新星爆発直前の星だそうですが,……爆発失敗だなこりゃ。「収差」とはレンズを光が透過するときに生じるズレゆがみのことで,「絞りアイリス」を絞ることで解消しますが画面が暗くなります。
二段階絞ってようやく見られるレベルに。ああ暗い。スマホで見てくれてる皆さん,画面真っ黒でしょう。
あとから気づいたんだけど,カメラのISO感度がオートのままだったのが失敗でした。ISOとはフィルムやセンサーが光に反応する感度のことで,数値が大きいほど弱い光を写し取ります。ただしその分画質が悪くなる。一般的なデジタルカメラのISOは100から200に設定してあるらしいのですが,天体写真のプロの人たちは1600あたりにセットするそうです。仮にオートを200とすると,1600はその8倍の感度。よくネット上で天の川が写りこんでいる夜景写真を見かけますが,そういうことか。次に月が暗い夜に再挑戦してみます。
それにしても。
「ふたご座」とか「おうし座」とかの「星座」って,何なんでしょ。
夜空にバラバラとランダムに散った星々を線でつなげ,そこに理不尽としか思えない様々な事物の形が見えると強弁して物語を当てはめる。もはやイカれているとしか思えないものすごい想像力いや創造力です。この宇宙には我々のような知的生物はいくらでもいるはずですが,夜空を荒唐無稽な絵物語のキャンバスにするなんてことやったのは古代ギリシャの連中だけでは。もちろん私たち東洋人も方角を知り暦を作るために星を利用し,便宜的に「星宿」を定めましたが,星座のそれとは根本的に違うものだと思います。
「星座」がいかに我々の感覚からぶっ飛んでいるか。例えば,あなたは夜空を指さしていったいいくつの星座を言えますか? オリオン,カシオペア,それから? 言っときますが「北斗七星」は星座名ではありませんよ。やぎ座,おひつじ座のあなた,自分の星座を見たことありますか? そう,現実の夜空と星座のイメージがあまりに乖離しているのです。
広角で撮った南東の空。
実はこれだけの星座が見えてます。
南西の方角。
北東。
実質的に星2つでこいぬ座とかりょうけん座とか,いい度胸としか思えません。何だこじし座って。誰も知らんぞ。
……なんてこと言う楽しみがあるのが「星座」なんですよね。いや大好きですよ,星座の物語。
黄道12星座を代表して,今日はかに座をご紹介しておきます。星座物語上での役割は……詳しくはご自分でググってくださいませ。勇者ヘラクレスに瞬殺,名乗るいとまも無かったという,なんかすごく可哀そうな役回りのカニさんなんです。
カニの甲羅に当たる四角形の中がほんのりと明るく見えるのが「プレセペ星団」。双眼鏡で覗いたときの,宝石箱のような美しさが印象的な散開星団です。中国では死者の魂が集まる場所と考えられたとか。宝石のように輝く魂たちが集い,ゆるやかに語らうアタラクシア。宇宙にはそんな空域もあるのです。
ところで,おうし座のヒヤデスからプレアデスにかけて撮ったら,何か見慣れないものが写ってました。これひょっとして……
彗星だ! 彗星だよこれ。天文ニュースなんかチェックしてないから無駄に驚いてしまいました。ウィルタネン彗星というのが来ていたんですね。
アンドロメダ座β星ミラクの右にほんのりと,アンドロメダ銀河。いや私の世代には「アンドロメダ大星雲」の名のほうが郷愁を感じさせてくれます。思えば徐々に悪くなった私の視力,4等星ほどの明るさのこの大銀河が肉眼で見えなくなったのが小5の頃でした。夜空の星々の間に浮かぶ,少し悲しい私の思い出です。
NASAのHPより,アンドロメダ銀阿。ハッブルの写真にはかなわない,なんて言っても詮無いことではありますが。