ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

孔雀石を拾いましたよええ他人が捨てたものですが

 

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 先日の久慈川メノウの話(久慈川メノウ,今日は当たりました - ジノ。)と同日のことなのですが。


 さあメノウ拾うぞと車を降りて河原を見回すその視野の隅に,見慣れぬコバルトグリーンの光が見えました。


            

 

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 視界のすみっこ,枯草の中に砕かれたふうの石がひと山。緑色が目を引きます。


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 ペンキの色かと思ったけど,…… ホントに緑色の石。緑青ろくしょうの色,銅イオンの色。銅の緑色の石と言えば…… まさか,まさか孔雀石!?


 孔雀石くじゃくいしというのは銅鉱床ふきんによく見られる銅の二次鉱物,つまりいったん水に溶けた銅が黄銅鉱や水晶の周りに再結晶したもので,断面が美しい緑の縞模様になることで知られます。柔らかいので硬度7以上が条件の「宝石」ではありませんが,飾り石として人気があります。それがこんな場所に。


 腑に落ちない点がいくつか。まずこれはここの石ではない。久慈川の河原の石ではありません。川に流れて削られた様子がまるでない。そもそも久慈川沿いに銅の鉱床があるなんて聞いたことがない。明らかに人の手で運ばれ,人の手で砕かれたものです。元はかなり大きな岩のかたまり,それはたぶん山から運んできたもの。それをわざわざ久慈川の河原で砕いて捨てていったその残骸と思われます。誰が? なんで?


 ここからは推論です。この近所,久慈川からほど近いところにけっこうマニアックな鉱物趣味の人がいる。先日も遠征してどこぞの銅山のズリから孔雀石を含む大きな岩塊を採取してきた。本当はそのまま宝物にしたかったけど,当然奥様は大非難。アンタまたこんなもの拾ってきて,と。そこで泣く泣く小さく砕いて,標本として美しい部分だけを手元に残すことに。そしてそれ以外は,河原の石になってしまえと久慈川に捨てにきた……


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 悲しいおじさんの物語を想像してしまった。やめよう,人の人生を追うのは。


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 改めて捨てられたかけらを観察。中央の濃い色が孔雀石。周辺の水色はひょっとすると少し成分の違う硅孔雀石けいくじゃくいしかも知れません。いずれにせよ,きれいだなあ。水に濡らして色を出してみます。

 

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 おお…… これはたまらん。


 …… おい待て。ちょっと待て。これは誰かが捨てたものだぞ。


 いやいやいや,「落ちてたから」とか言うな。ホントに落ち穂拾いだぞ。ゴミ山漁るようなもんだぞ? 他人の食べたカップラーメンのツユをすするような行為だぞ? お前にはプライドってもんが……

 


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     ない。ないね,まったく。


 そんな腹の足しにならんもん,最初から持ち合わせてないわい。はい孔雀石ゲットぉ。


 さあ得意のマクロ撮影で,この貴石をたっぷりと堪能しましょう。


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 小さな水晶が無数に。岩の隙間に水晶がびっしりと生えた「晶洞」という構造です。


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 そこに銅が流れ込んで水晶の表面を覆ってます。


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 仏頭状構造。

 

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 光る水晶。青い銅。色の対比が絶妙です。

 

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 水晶も色や形やさまざまに。


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 こうして鉱石の表面をマクロレンズで辿っていくと,なんだか別の太陽系で惑星探検しているような気分になります。


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 宇宙のどこかの,青い光に包まれた忘却の惑星。


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 普通の人にはただの路傍の石。でも見方を変えるだけで私には異界めぐりの入口になります。

 


 遠く旅に出るのは嫌いではありません。美食三昧に腹のみならず精神が喜ぶことだってあります。でも私にはそれと同列に,身近な自然に新たな発見をすることで心満たされる瞬間があったりします。

 


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 久慈川は今日も私の心を養ってくれました。また来るからね。

 

 

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