8月21日水曜日。研修とお盆休みと昨日までの北陸巡検(別記事予定)で,久しぶりの出勤です。グダグダに疲れてます。そこに1本の電話が。
「ああやっといましたね。総火演のチケット取れましたよ。次の土曜です」
… そうかえん?
「陸自の富士総合火力演習ですよ。去年行きたいって言ってたじゃないですか」
陸自…… 富士…… 総合火力……
ええええっ
「厳密には前日のリハーサルですが,内容は本番と同じだし,駐車場券まで取れましたから」
いや,わし今疲れてるし…… そんな,急に…… 心の準備が……
「なに小娘みたいなこと言ってるんですか。チケットなかなか取れないってのは知ってるでしょう。渋滞キライなのは知ってますが,運転やりますから。そうだ,金曜に出かけて前泊しましょう。今から「じゃらん」見てみます。お金のほう,よろしく」
ミもフタもないご配慮ありがとう。相手は仕事上の付き合いのある若い人ですが,何かと気に掛けてくれてます。行きたいのはご本人かと思うけど,サイフ役くらいなら引き受けましょう。私には最初で最後の機会になるかもしれないし。
そう渋滞。コウガイビルよりオオスズメバチより渋滞が大キライ。渋滞するような場所やイベントに自ら行くことは 絶対にない。運転手付きで総火演なんて,もう最後の審判の日までチャンスはないでしょう。ここは腹を決めるしかない。
で,宿は取れるわ金曜午後の休みは取れるわ,すべてがトントン拍子に進んでしまいました。先日解いたばかりの旅装をまた引っ張り出すという面倒はありましたが1泊旅行の準備なんて5分で済むし。15時過ぎに出発して常磐道→圏央道→東名と,遠回りだけど首都高を避けて進みます。東北道,関越道,中央道との各ジャンクションで案の定渋滞しながらも20時に御殿場着。よさげな宿でしたが風呂入って寝て,翌朝朝飯も食わずに出ねばなりません。ああこんな余裕の無い旅イヤだ。
で翌朝。駐車場に着く前から,ど―ん と 練習の弾着音が轟きます。行くのを渋っていたけれど,この音を聞くと気分は盛り上がります。
駐車場からシャトルバス乗り込み。このあたりの話は他の方のブログに詳しいのでそちらをご参照ください。バスを降りてからの登りが大変なんて記事もありますが,少なくとも私たちにはどうということのない道でした。
で,富士山と演習会場。見たか晴れ男パワー。もっとも,富士の山頂まで見えたのはこの時だけでしたけど。
自走砲が待機していた。
シート席とスタンド席があって,私たちはシート席。早く来たので前から3列目くらい。リハで入場してきた自走砲が目の前をぐあーっと通ります。かぶり付きだあ。
しかもモニターの真ん前。たまたまだけどいい席だと思う。ちなみに今日は予行演習の日なのでスタンド席は自衛隊の隊員さんや関係者らしいです。
おお,大集結してます戦闘服公務員。これ見たら狂喜乱舞するような友人がいるぞ。…… 真面目なお話として,この人たちがいざ有事には本当に命を賭してくれることを,大震災を体験した私は知っています。
偉いさんの挨拶とかなしに始まり始まり。
どこーん。自走砲が撃つ。
どこーん。りゅう弾砲が撃つ。
新型自走りゅう弾砲が …… 撃たない。まだ配備されたばっかりだって。
自走砲とりゅう弾砲の155ミリファミリーが撃ちまくる。
ぼこぼこ弾着するのは二段山,三段山と呼ばれるあたり。距離3000メートルほど。これらの砲の射程からすればかなり近いので,弱装弾で撃っているのでしょう,音は控えめです。
このあとはこんな天気。雲が低くなって,もう富士山は見えません。よく他の方の感想で死ぬほど暑かったとか肌寒かったとか雨に降られたとかあるのですが,今日はそれ一切なし。暑からず寒からず降ることもなく,涼風が吹いて快適そのものでした。
風についてはラッキーもう一つ。ずっとビハインドの風向きだったので,爆煙硝煙土煙すべて向こうに流れます。これも快適でした。
とはいえやっぱり富士の総火演。背景に富士山欲しいなあ,なんて考える間に目の前100メートル,タイヤの
どっごおおん
ぐわあああっっ 耳に来るのは当然として,ハラにも響いたあ。視界がブレるうう。
どっごおおん
これは装輪つまりタイヤの付いた戦車「機動戦闘車」。戦車砲は本気の装薬だあ。
どっごおおん
10式戦車にもやられた。すごいよ戦車砲。
重機関銃たったかたー。
びしばし着弾。
対空機関銃も打ちまくる。
ヘリ部隊もやってきて
そのスキにチヌークが
ぼろぼろと即応部隊を下ろして敵上陸部隊の制圧開始です。
誘導弾1発。
もう1発。まあお高いのに。…… いえ,もっと撃ちまくっていいんですよ。
ぼこぼこ着弾。
装甲車が駆け回り
水陸両用車も駆け回り
建機リースの散水車も駆け回り
困ったのは雲高の低さ。F2支援戦闘機からの爆撃です,とアナウンスは入るのですが飛行機は雲の上。精密誘導弾がいきなり着弾します。
なんとドローンも自衛隊の装備。専任のチームが敵情視察。まさか自衛隊入ってドローンの操縦を担当するとは思わなかったろうなあ。
で敵上陸部隊を排除して無事演習は終わりです。シート席の皆さんはすぐお帰りの人も多いのですが
かなりの人がこのあとの装備品展示を待ってます。
戦車砲3兄弟。
90式戦車。
なんとこれも陸自の装備品。危険物除去担当らしい。
装備品展示は1時間。もう帰りましょう。水戸は遠い。
新兵,いや新隊員さんたちはみな見に来させられるのかな。いっぱいおられました。
戦い済んで。
少し雲高が上がって愛鷹山は見えましたが,富士山は結局朝方のみ。いい1日でしたから文句はありません。
ただひたすら人のお世話になったイベントでした。真面目に生きてると,たまにはいいことあるものです。神さまありがとう。