4月4日清明のその日,沢を歩いていて光の差し掛かる緑野に出ました。
テニスコート三面ほどの広さ。一面に草が芽吹き,朝霧のようなかそけき花々が微風にふるふると揺れています。
ここは「良い」場所だ。
不思議な感覚です。
たぶん読者の皆さんからは引かれているのだろうけど,ときどきオカルトな物言いをします。私自身,科学を学んだ理系の者として良くないなとは思うのです。でも感じるものは感じる。もう半世紀近く自然の山河に分け入る生活をしています。その中で身につけた感覚というものが確かに私の中にあるのです。魂の奥底に告げられるような,とてもプリミティブな感覚。攻殻機動隊に言う「ゴーストが囁く」というのが一番近いと思います。
で,そのゴーストから告げられました。ここはとても良い場所だと。
そういう場所というのは,必ず多くの花々が健全に育っています。
春の野と言えばタチツボスミレ。日本のスミレ。
これがよくわからない。葉から判断するとコスミレの白花かな。
単子葉植物は自信ないけど,スズメノヤリでしょうか。イグサ科。
ミミガタテンナンショウ。この季節,至る所で見かけます。
ノゲシ。ちょっとピンぼけしました。
カテンソウ。
花はまだです,アズマイチゲ。
ヤマエンゴサク。いつ見ても奇天烈な花。
ユリワサビ。
カキドオシ。
キランソウ,別名ジゴクノカマノフタ。
ジンガサゴケ,だっけ。
手持ちのカメラが万能の権三さんことリコーWG-40だけだったので思うような写真にはなりませんでしたけど,ふと行き着いた緑野の穏やかな雰囲気,伝わりましたでしょうか。
世はコロナウイルスの流行で,不要不急の外出は控えろと。でも私はと言えば自家用車で自然の中に分け入って,また家に帰るだけ。オフでの感染のリスクがほぼありません。人ごみや居酒屋やパチンコ屋やライブハウスに行かずにはいられない人を本当に気の毒に思います。私は山小屋で疫病も戦争も知らずに生活できたらいいなあなんて本気で思っているくらい。実際に,天文台に籠って研究を続けていて,日本が戦争していることを知らなかった天文学者というのがいたらしい。かくありたいものです。
夢ですよ。私も仕事では何百人も相手にしなければなりません。さあ月曜日だ。