ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

イカリソウの別名は淫羊藿と言います

 

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 「藿」が文字化けしそうなので画像でお見せしました。


 よもや「淫」の字で始まる記事を書くことになろうとは。

 

 

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 イカリソウは,メギ科に属する草本です。高さ20~30センチ,3回3出複葉という特徴ある葉,何より船の錨のような独特の花。十分個性的なのですが,とにかく森の中で目立たない。見えるようになるまでこちらが目を慣らさないと出現してくれません。その意味で希少なものです。


 水戸にも記録があるのですが見たこと,というか気づいたことがありません。薬草を集めていた頃どうしても欲しくて,県北山地でようやく群生地を見つけました。GW頃が開花期で,その花期の地上部全草(全体)が薬効部位なのですがすべて刈り取るには忍びなく,3出複葉の3分の1,小葉1つだけを切り取って集めました。


 薬効は何だって? 淫羊藿という名前からなにがしかは伝わりますか。どうぞ各自でググってください。そおいう薬になるのだ。体質次第だけど,本当に効くのだ。


 いえここで言いたいのは淫靡で怪しげな薬効のことではなく,イカリソウの生育状態を確かめに行ったというお話をしたかったのです。


 役職を降りたこと,コロナで仕事が減ったこと。おかげで驚くほど身も心も軽くなりました。積んであった未読の本の山が少し低くなりました。録り貯めたビデオを見返すことができました。庭の手入れができました。パソコンのデータが整理されました。書斎を少し片づけることができました。きっと給料は減ることになるでしょうが,もともと大した消費はしていないので,さほど気になりません。


 何よりも,あちこちずっと気になっていたフィールドに行けて,確かめたかった事を確かめられた。それだけで少し幸せな気分を味わってます。コロナ禍で大変な人が大勢おられるというのに,本当に世の流れから外れたところで生きてます。ごめんなさい。


 イカリソウ云々もその一環です。最後に見たのが2003年。苦労して見つけた生育地の雑木林の林床に点々と生えて,奇天烈な花をぶらさげていました。あの場所はどうなっているのだろう。ずっと気になっていた遠い記憶。花期は過ぎてますが,ようやく確かめに行けました。

 

 

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 で,ちゃんと彼らは生き残っていました。このとおり,豆に例えられた実のさやを付けて。ただ群落としてはかなり衰退していました。開花の跡があるのはせいぜい一割ほど。多くは他の下草に埋もれて貧相な姿,息も絶え絶えという感じです。数も減っています。


 原因はおそらく,雑木林の木々が成長したこと。コナラやシデが大きく育って濃く葉を茂らせ,おこぼれの光で生きる林床の者たちへの分け前が減ったのです。ヒトが里山を利用して雑木が間引かれていれば,イカリソウも穏やかに暮らせていたことでしょう。人の暮らしが遠ざかり,里山の生物も衰退の一途です。自然のままにすることで弱っていく自然もあるのです。

 

 

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 林のふちにまろび出て光を得,新葉を広げた個体。でもこの後やってくる夏には,日向の雑草との苛烈な戦いが待っています。生き残れるのでしょうか。

 

 

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