茨城は地震が多いんです。
地震と言っても震度1とか2とか小さなものばかりなのですが,とにかく有感地震が多い。
他県が震源のもらい地震もありますが,茨城県下での発生もそれなりに。試しに最近100 回の国内有感地震の場所別発生回数を調べてみたら,
おいおいおいおい
また2番かよ。農業出荷額やら道路の総延長やら霞ケ浦の面積やら,やたら2番の統計の多い茨城県。まさかこんなものまで。…… いやそういうことじゃなく。
この三県で国内地震の4割をマークしました。長野・岐阜が多いのはわかります。長野県中部地震,あるいはかつての濃尾地震を引き合いに出すまでもなく,もともと地震が多く,それによる災禍を受け続けた地域です。なんといっても造山運動継続中の日本アルプスに火山まであるんですから。
不思議なのは茨城県。
関東の都県で唯一「活断層」がありません。火山もありません。
震源はすべて「茨城県沖」か「茨城県南部」。沖合に日本海溝の端っこがあって東日本大震災でも少し動いたのでしょうがない。たぶん宮城や福島沖で今も続く余震の類でしょう。南部は南関東地震帯にかかってしまうので,霞ケ浦より南では過去にM7クラスの地震も起こってます。
でもとにかく人が死なない。
関東大震災というと関東地方が全滅したようなイメージがあるでしょうが,それは東京や横浜でのこと。茨城県内の死者は5人です。こう言っては申し訳ないけど,どこにも運の悪い人っているもんですから。
記録を見ると,県内最大の人的被害は江戸時代の1677(延宝2)年,津波が押し寄せて36人が亡くなったもの。1895(明治28)年のM 7.2 の地震でも圧死4人のみ。東日本大震災では計24人が亡くなってます。津波が6人,東海村の発電所の高さ220メートルの煙突で作業していて振り落とされた4人,北浦をまたぐ橋を渡っていて橋ごと車ごと落ちた人もいたなあ。他県では三ケタ以上の被害が出ている地震でも,茨城県内ではこれくらいの犠牲で済んでます。
なぜ?
ここからは素人である私の勝手な推論です。他県から来て茨城の地震に驚いている人にこう説明しています。
そもそも地震とは,プレートの動きによるひずみが地殻に少しずつ溜まっていって,とうとう耐えきれずに岩盤が崩壊・移動して起こるもの。ひずみのエネルギーがどれだけ溜まったか,どれだけ岩盤が壊れたかが地震の大きさです。
これが茨城では溜まらない。
ひずみのエネルギーが少し溜まるとすぐに岩盤が動く。ちょっと押されればすぐ揺れる。これが茨城で頻発する小地震。エネルギーが蓄積されることなく小刻みに放出されるので,大地震にならない。
専門家が聞いたらそんな単純なものではないと怒り出しそうですが,そんなもんじゃないの? 少なくとも一般の人たちはこの説明で納得してくれます。東日本の時には揺れたじゃねえかと文句言われましたが,あれは地震が大きすぎたんだってば。
東京・神奈川にこの1か月震源地震はありませんでした。静岡から高知・宮崎,すなわち南海トラフ沿岸も地震活動はごくわずかでした。それで安心できますか。…… 本当に,常在戦場の心構えで備えていてください。
さて。
どうです? 地震で死にたくない方,茨城に住みたくなりましたか。でもお勧めしません。だって東海第2原発があるから。
地震だけに限りません。某国や某国や某国のミサイルの標的でもあるんです。これがどうにかなれば,国内最大規模の避難民が発生します。故郷を離れ,遠い遠いところで骨を埋めることになります。私も,多くの県民も,それを覚悟しながら生活しているのです。
結局,日本に安全な場所はない。覚悟と備えを忘れずに。…… ということでしょう。
過去の地震の県別被害統計をお知りになりたければ,「日本の地震地図 決定新版」岡田義光 東京書籍 をご参照ください。ちょっとした図書館なら置いてあるはずです。