先日の花園行でご紹介したスミナガシの幼虫ですが,実は連れ帰ってました。どうしてもあの蛹が見たくて。
これは成虫。独特の渋い柄ですが,これに宮中の優雅な遊び「墨流し」の名を与えた先人のセンスに瞠目させられます。
幼虫。リアル赤き死の仮面。この恐ろし気なツノをぶんぶん振って威嚇します。
奇妙で,それでいて美しい。自然の造形にはかなわないことを痛感させられます。
2頭連れてきて,食草のアワブキを与えたのですが
翌日には前蛹,つまり蛹の前駆状態になってしまいました。もっと鑑賞したかったのに。
そして翌日。… 刮目せよ,これが蛹だ。
角度を変えて見ても擬態は崩れません。
なんでしょうこの形。いやわかりますよ,枯れ葉への擬態です。枯れ残り朽ちかけた葉そのもの。驚くのはどうしてここまでの「似せる」進化が可能だったのかということ。葉脈や虫食い穴まで再現しているんです。越冬態もこの蛹なんですが,完璧な擬態はヒトの目も欺きます。以前,秋の終わりに終齢幼虫が何頭もいるのを確認したアワブキの木とその周囲を,冬になってから徹底的に探し回ったのですが見つけられなかった。
自然って,やっぱりすごい。私はあんぐりと口を開けた間抜け面のまま,そう再認識するのです。