ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

旅立って熊のうんこを踏んだこと

 

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 2日続けてずっと頭の中にももクロの「労働賛歌」が鳴り響いています。イヤーワーム,またはディラン効果という現象です。ごていねいにコール付きで,ももクロ働こ!働こ!と歌うたびに野太い声でオイ!オイ!と合いの手が入ります。かなり重症です。働きすぎに違いない。旅に出なければ。


 で思い切ってじゃらんで宿を取ってしまいました。一人で2泊3日というのは最近の私にしては大長征です。しかも平日,渋滞も人ごみも怖くないぜ。行先は裏磐梯。安宿でも文句は言わない。ひたすら歩いてみよう。


 常磐道を北に向かうほど,磐越道を西に向かうほどに紅葉の色が濃くなっていくのがわかります。裏磐梯の紅葉に間に合うだろうか。


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 猪苗代磐梯高原ICで降りてすぐの道の駅で車を降りて…… ぐわあああ,さぶいいい。

 

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 磐梯山をはじめ猪苗代湖を囲む山々が雪で白い。知らなかった。11月半ばで雪なんですね,ここは。

 

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 明日は登ろうと思っていた西吾妻山がキョーレツに私を拒んでいます。私の装備と経験で立ち向かうのは自殺行為であります。さっそく予定変更,幸先いいぜ。

 

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 白鳥がもう来ている。茨城と季節が違いすぎる。1か月は違う。ここは本当に隣県なのでしょうか。こんなことで驚けるのも旅に出た効能です。そもそもここは火山地帯。周囲の山はすべて最近まで活動した火山,もしくはその噴出物でできてます。茨城にない環境です。いろいろ違って不思議じゃない。ああ旅に出て良かった。この先,何が待っているのでしょうか。


 とりあえず今日の第1ストップ,猪苗代湖北西岸の「流れ山地形」を目指します。5万年前に磐梯山の山体が崩落した現場です。ここは地形図上で見るからに怪しい地形で,雲仙岳の前の海底地形みたいだなあ,と以前から思ってました。どんな場所か歩いてみたかったんです。変な趣向だという自覚は十分にありますのでほっといて。

 

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 迷った。どこだここは。

 

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 なんか偉そうな異人さんがモミジに映えてます。

 

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 有栖川宮の旧別邸「天鏡閣」を目標にしていたのですが入り口を通り過ぎてしまったようです。地元の人に大丈夫,通れますと言われた山道を車で駆け上がると…… おお。

 

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 迷ったのも神の配剤か。気づけばさっきは低い雲で覆われていた空もいつの間にか快晴です。この紅葉,空からの贈り物と考えましょう。

 

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 これが天鏡閣。明治の昔にこの地をいたく気に入った有栖川宮が,猪苗代湖を見下ろす丘の上に建てた別邸です。有料で当時の内装が復元された邸内を見学できるのですが…… 良かった。ちょっと高揚いたしました。昔の建築が大好きな私のツボでした。この旅行記内では紹介するのがもったいないのでまた項を改めて。

 

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 天鏡閣の周囲には散策路が整備されているようです。落ち葉を踏みながらぶらぶらしてみます。何ということのない雑木林なのですが木がデカい。茨城の私の周囲にない大木が林を作ってます。宮様のお屋敷のまわりだというので保全されていたのかな。

 

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 これも当時の建物,それを整備して福島県の迎賓館として使っているそうです。

 

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 門前に何げなく生えた大木,よく見たら見慣れぬ樹形のプラタナス。森の中ではこんな形に育つんだ。3種あるプラタナスのうち一番多いモミジバスズカケノキですがあまりにも唐突に生えてます。案外古い因縁でここに在るのかも知れません。

 

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 散策路はまだまだ続きます。1キロ先に展望台があるというので濡れた落ち葉を踏みしめていくと…… ん?

 

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 熊のふん。


 いるんだ。こんな観光客が出歩く場所に。これが福島か。いえ今回はちゃんと熊よけ鈴を持ってきているのですが,まさかここでの遭遇は予期していなかったので車の中です。いかん,撤退。


 ああびっくり,と車に戻って次のストップに向けて出発したのですが…… なんか車内に異臭が。むわーんと。これ,以前にも経験したことがあります。踏んだ。靴の底に付いてる。

 

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 左のブーツで踏んでました。先の道の駅に戻ってきれいにしました。どうやら視認したほかにもあったようです。くまさんがどんだけの密度だ。というか大丈夫か周辺住民。

 

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 すっかり快晴,見たか晴れ男パワー。ウンを踏んで運気も好転,あれをやらねば。

 

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 福島パンニングだあ。まだ火山地帯でパン皿回したことがなかったので地図上で何か所か目をつけて楽しみにしてきました。まずここは地質図で玄武岩がある場所です。大子の玄武岩ざくろ石を大量に見つけたので期待して。

 

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 期待して…… おい何も採れないぞ。


 期待外れでした。探し方が悪かったのかなあ。どこでもざくろ石は採れる,なんて漠然と思っていたのですが。とりあえず砂粒は持ち帰って精査してみます。

 

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 宿へ向かう途中で磐梯山の絶景。立派なお山です。成層火山の優美な山体がかもす「静」と爆裂火口がもたらす「動」が見事なバランスで,いくら見てても飽きません。

 

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 今あの頂きに立つ人はいるのでしょうか。私はそこから見る光景を夢想します。

 

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 宿はまあ取り立てて言うほどもない民宿です。壁もドアも安アパートみたいで,若い人で満室だったらさぞや賑やかで寝られなかったと思いますがなんと今日の客は私一人。風呂も食堂も貸し切りです。紅葉とスキー,二つの繁忙期のはざまのエアポケットみたいなタイミング。私にはそのどちらも動機になり得ないので今日の旅行となりました。食事が私には豪華過ぎです。


 実は泊まりたかった宿がありました。いつぞやご紹介した「山の湯」に行くならこの機会しかないと思ったんです。じゃらんとかに加盟してないようなので直接電話したのですが,電話口のおかみさんに一人ですと告げたとたん「すいませんねえ今一人客はコロナ関係でお断りしてんですよお」とぞんざいに言われました。ちょっとショックでした。いつか行くぞと楽しみにしていたのに,一人はコロナでだめだなどとワケのわからない理由で断られて。もう二度と行くものかと思いました。


 山梨方面そのものがもはや行く気になれず,少し土地勘のある福島で探したらGOTOが使える民宿で「一人旅パック」とやらを謳うこの宿を見つけたのでした。まあ結果オーライと言っておきます。


 夜,宿の庭に防寒装備を固めて出てみました。私の写真機材では星の写真が撮れないことが分かっていたので,今宵のお供は双眼鏡です。満天の星。そんな月並みの表現しか浮かばない文句なしの星空でした。茨城では見られないような明るい天の川。すべての星が明るすぎて1等星や2等星が紛れてしまい,夏の大三角とか逆に分かりづらいくらい。ちょうどアンドロメダ銀河が天頂に在って,250万年前の姿が双眼鏡にほのかに浮かびました。


 ああ,出かけて良かったなあ。

 

 

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