ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

それすらもおそらくは平穏の日々

 

 午前5時台に目が覚めました。覚めたことが悲しくなるような,いい夢を見てました。


 13日ぶりの休日の朝。先週土曜日からの一週間,特別な仕事で緊張した日々で,毎朝4時台に起きてました。どうやら精神的にも解放されたようです。さて久しぶりの約束のない一日,今日は何をしよう。

 

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 足元をジャングルブーツで固め,カメラとメモ帳,そして雨具を「死なずのバッグ」に入れて出撃します。アレをやろう。ここから県立図書館まで歩いていこう。地平のかなた知の迷宮,バビロンまでは何マイル? いやせいぜい4キロほどなんですが。


 もう今から来年の「毎日が日曜日」が楽しみで仕方ありません。私の職場は年度切り替えなので3月までは勤めねばなりません。今回の仕事がそうであったように若い人に頼られるのも悪い気はしない。…… でも,もう十分に働きました。結果も残した(と思う)。約束のない日々を自由に生きようかと思います。


 で,今から「取らぬ狸」でいろいろ考えているのだ。その一つが「週3回図書館に歩いて通う」なのです。運動と読書を兼ねた習慣を作ろうというわけです。わあ楽しみ,でも歩けるかな。距離的にはちょっとした山歩きにも及ばないのだけど,街中を歩くのだしな。つまらなかったり嫌なものが見えたりしたら習慣にするのは辛いしな。とにかく一度歩いてみよう。

 

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 渋滞したり信号で止められたりする車をしり目に,すいすいと歩きます。ああ二本の足が有難い。

 

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 この後は水戸の旧市街の表通りを歩いて行ったのですが…… 人通りが少ないのに驚きました。土曜日なのに。

 

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 これは以前にご紹介した「メガネのプリンス」のビル。最上階にプラネタリウム,屋上に天文台を設置したバブル経済の頂点,その残骸。外壁が崩れ始めてます。当時は商品を定価で売る個人商店が消費の中心で,街の表通りは栄えてました。特にメガネは高級品で,いくらでも利潤が出せたのでしょう。でもそれも市内に「メガネドラッグ」が開店したその日まで。以後は郊外に薄利多売の量販店があらゆる商材に現れて,町の社長さんの時代は終わりを告げました。

 

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 モータリゼーションをはじめとする時代の流れを見誤った水戸の中心街。そこにとどめを刺すようにコロナ禍が襲いました。図書館まで歩く道のりは,さながら廃墟探訪です。


 で,図書館に着いたらば

 

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 7月まで。カフェ整備って,全館休館にするほどのことなんですか。


 図書館というのも,時々利用者からは理不尽と思われる長期休業をしますよね。蔵書整理とか言ってぜんぜん職員が出勤してなかったり。ああせっかく読みたい本をリストアップしてきたのに。

 

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 まあとにかく48分で歩けました。道すじも多少悲しかったけど時間経過を感じられたりして退屈ではありませんでした。習慣にはできそうです。


 ちなみに県立図書館があるのは水戸城の址です。周囲を空堀と土塁に囲まれてます。そこに明治時代に県庁と議事堂が建てられました。どちらも今は郊外に移り,旧議事堂が改装されて新図書館になりました。私はかつての手狭でカビ臭い旧図書館も好きでしたけどね。

 

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 これが旧県庁舎。あれ,と思った方も多いのでは。そう,同じような建物が日本中にある,またはあったはずです。昭和十年前後に県庁舎のデザインとして大流行した意匠で,神奈川県をはじめとしていまだに現役の庁舎として使われているものも多いのです。茨城県では某知事が郊外移転を計画し,それが贈収賄事件になったり。県の恥なのでそれくらいにしとこう。

 

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 建物の中はまさに昭和レトロ。ああたまらん。

 

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 せっかくなのでさらに周囲をひと巡り。これは明治時代(だっけ?)の水道塔。右後ろの緑の屋根は個人住宅なのであしからず。

 

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 土塁の上には割と自然の植生が茂ります。

 

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 昔は散策路が通じていたのですが今は。面倒臭くなったらすぐ閉鎖。すぐ立ち入り禁止。本当にお役人ってのは。

 


 一年後の約束のない日々に私は,自分にも町にも自然にも公平に過ぎていった「時間」を目撃することになるでしょう。自分を見誤らないためにも,それは大事なことかと。

 


 ここで今回の記事は終わるのですが,この日は合わせて10キロ以上歩くことになりました。歩くというのはヒトに神さまが与えた偉大な能力であるわけで,期待した以上にいろいろなものを見ることになりました。それも順次記事にしていきますので,お待ちください。

 

 

 

↓ 記事で言及したお話はこちら 

魔法のジャングルブーツ 回鍋肉からトパーズまで - ジノ。

発掘,あさりよしとお淡水魚館ディズニーランド - ジノ。

死なずのバッグをてにいれた - ジノ。

 

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