庭の菜園が盛況です。
私はノータッチなのですが,我が家の食卓に上がる野菜の大部分はここから収穫されてます。家人は毎週NHKの野菜番組で勉強し,土作りから熱心に取り組んでます。もちろん無農薬です。ちゃんと連作障害まで考慮して作物を選ぶのだから大したものです。おかげで,例えば自分でわざわざ買うことのないソラマメなんて珍味を楽しむことができました。ナス,トマト,サヤエンドウ,インゲン,キュウリ,タマネギ,キャベツ,ハクサイ,レタス。もうすぐカボチャやスイカ,ゴーヤも収穫できそうです。イチゴ類は何度も自慢させていただきました。都会や集合住宅にお住まいの方には申し訳ないけど,庭(家の敷地)面積が日本一の茨城県に住まうヨロコビってやつなのだ。
しかし無農薬ということは,あらゆる生き物が住まうということで
土の表面。ミミズのフンだらけ。土が生きている証拠です。同じ土中にはオケラも住んでます。この市街地ではすごいと思う。
ラディッシュ(二十日大根)の葉がぼろぼろ。私に出動命令が下りました。
犯人確保。カブラハバチ類の幼虫です。肉食のイメージが強いハチ(膜翅目)の類ですが,その原初形は実は草食なんです。ビロード状の皮膚が不気味な黒いイモムシ。揺らすとぽろぽろと落下して逃げるので手を焼きました。
続いてジャガイモから被害報告が。こりゃひどい。黄色い毛虫がいる,あれはきっと恐ろしい毒虫だから駆除せよと,なんだか既視感のある指令が下ります。
犯人確認。なるほど,シロウトが見たら戦慄するであろう容姿ですが実は無毒,これはテントウムシの幼虫なんです。これまた例外的な草食のテントウムシ,もちろん害虫である。
見るからに悪そうな虫ですねえ。近似の2種類があってそのどちらかなのですが,この時はちょうどジャガイモが収穫期で,種類の確認をしないまま土に埋めてしまいました。
と思ったらすぐに成虫がトマトに付きました。今度は駆除します。近似の2種と言いましたが驚くべし,両種が一緒にいました。オオニジュウヤホシテントウとニジュウヤホシテントウ,ともにナス科作物の大害虫です。
どーん。いるわいるわごそごそと。
左がニジュウ,右がオオニジュウ。ニジュウの方は南方系で,年平均気温14℃以上の土地に現れます。え? 水戸は13.6℃のはずじゃあ…… 調べ直したら,気象庁最新データで最近30年間の平均気温が14.1℃になってました。おいおいいつの間に。これも温暖化ってやつか。気候の境界線とともに,害虫も北上するんですね。
独特の食べあとを残すのですぐ所在が知れます。これからはこいつとも戦うことになるのか。
この庭の構成メンバーが増えたことを喜んでいる自分がいたりして,少し複雑な気分です。何しろ,この土地の作物を食べて生きる者どうしです。同じ血肉を持つ者,なんて大げさに過ぎますか。…… 漫画家・漆原友紀の代表作「蟲師」に,産土うぶすなというものが出てきます。その土地の土に含まれ,作物に吸収され,その土地に生まれた者に生命力を賦活する形のない生命体です。人は産土があって初めて健康に暮らすことができます。
同じ産土に生かされる者。このささやかな庭,私の小さな王国は同じ命を共有する共同体であると私は思ってます。でも害虫は駆除ね。
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