久しぶりに夜空が晴れ上がり,月齢10の月が出ていました。これこそ本当に久しぶりの月。前に夜空が晴れたのは8月初旬の新月の頃,生まれたばかりの月齢1の月でした。
台風一過の晴れ上がった中天に浮かぶ月は本当に美しいものでした。ただ,蒸し暑い中ではどうも情緒に欠ける。月見は秋に限ります。そもそも夏という季節に飽きました。はよ終われ。
月と言えば思い出すのが,大学時代に手に取った本「月の魔力」。タイトルにぐっときて,中身も確かめずに買ってしまいました。
読み始めてしばし,何かこの本はオカしいと気づきました。どうやら満月の晩には交通事故や殺人事件が増えるという類のことを主張したいようなのですが,引いてあるデータがデタラメ。というか,そのデータからは絶対読み取れないような結論を持ってくるのです。例えば殺人事件の日ごとの件数のグラフがあります。そこには月の満ち欠けとの相関性はまるでない。著者は言います。このグラフでははっきりしないが,殺人事件は満月の晩に多いのだ,と。…… データの読み方を知らないというか,データを無視して結論を出すスタイルの本でした。まず結論ありき。官僚が作った第三者会議の資料みたいなバカバカしさ。
あ,こりゃキチ〇イだ,イカれた本だとそこで読むのをやめたことをご理解頂けますか。これでも理系です。こんな読んでも害にしかならない,およそ科学性とか論理性とか実証性とかの欠け落ちた読み物は遠ざけるに限ります。幸いというか何というか,友人(文系)に貸したら気に入ったのか返してもらえず,そのままになってしまいました。いまこうして記事にするに当たって,内容を再確認できないのを今更ですが悔やんでますけど。ちなみに山本弘さんの本でトンデモ本と紹介されているのを見ました。やっぱりね。
月の魔力を科学で語ろうというのが間違いなのです。月光のかもす心の波動,白い光に秘められた力は,日々刻々と変容する月の姿に沿ってその性質を変えていきます。そしてそれは人それぞれに異なる作用を及ぼすと私は考えます。月の魔力を数値化しよう,法則性を導びこうなど,ヒトの浅知恵,科学の傲慢に過ぎません。月は黙して見上げよ。月をただ感じよ。
そもそも人の一生で,月を見上げている時間などいくらもありません。その程度で月光の秘密を解き明かそうなどとは何と浅薄な。
というわけで,来月涼しくなった頃の月夜の晩に,庭にリクライニング椅子を出してしばし月を見てみようかな。そう,月光浴。自分が変容することなど期待せず,ただ秋の虫たちと共に月光の下で夢を見てみよう。
カメラが長時間露光中なのを気づかずに動かしたらお馬鹿写真が撮れてしまいました。でもこういうのもキライじゃありません。
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