説明を要するタイトルかと思います。
ヒガンバナがフォトジェニック,今の言葉で言う「写真映え」する対象であることは皆さまにもご理解頂けるものと認識いたします。ただしこれが難敵,強敵なのです。
深すぎる赤が闇のイメージを掻き立てるこの上ない深紅の花弁と花芯。それが細く弧を描いて天を指し宙空に延べ,周囲の空間を身のうちに取り込んで咲き誇る。半端な撮り手では手に負えません。かくいう私も毎年挑んでは自己嫌悪を繰り返しております。どうやったらあの赤を印象通りに切り取ることができるんだ。
さてここは水戸市内某所。道沿いにヒガンバナが咲く丘です。私の知る限り,県内にヒガンバナの名所と喧伝されるところはありません。有名な場所は国内各地にあるようですが,天然ならともかく,人寄せのためにこの有毒植物を何万本も植えるってどうなんだろう。もともと群生するものだし,私は身近なもので十分です。要は撮り方… って,それが難しいんですけどね。
能書きはここまで。今年の写真はどんなもんでしょう。ちなみに今年は露骨に「彼岸の花 = あの世の花」というテーマでシャッター切っておりますので,基本的にダークな絵ヅラの写真が多いことをご了承くださいませ。さあヒガンバナさん勝負です。
明るめに撮るとこんなもの。次は少し露出を押さえて。
ヒガンバナをわざわざ植えた即席名所では,赤ばかりではつまらないとでも思ったのでしょうか,黄色や白のを混ぜて咲かせたりしているようです。知らないなら言っとくがそれヒガンバナじゃないからね。別種だからね。
赤,青,緑。図らずも光の三原色が揃った。ぜんぶ混ぜると白になるのか。
いつぞやのホタルブクロでやったように,美しい花を不気味に撮るのもキライじゃないんです,私。
この花のつぼみを描いた日本画の名品があって,私もつぼみに注意を払うようになりました。もちろん遠く及びません。
彼岸の暗い空の下で一面に咲いているのでしょうか,こんな風に。…… 自分で撮っておいて自分で怖いぞこれ。
あの世にもキアゲハはいるのかな。
以前の記事でもご紹介しました,ヒガンバナの特異な生活史。花は実を生すことなく枯れて溶け落ちます。そのあとこの根もとから細長い葉が出てきて,冬の間だけ光合成をします。他人と争うことを嫌うマイペースの平和主義者なんです,意外にも。
今年はなんとかそれっぽい赤を撮ることができました。いえ,まだまだですよ。
↓ 前出記事です。
ヒガンバナのマイペースライフ/「冬植物」の平和な日々 - ジノ。
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