メノウのために雨乞いを、と言ったら皆さん本当にやってくれたんですね。記事にそう書いた五日後の金・土に大雨になりました。人柱にされた信者がいなければいいのですが。
そして雨の上がった日曜日。まだ増水したままであろうけど様子を見に玉川へ、そしてびっくり。胴長着けてもう川に入っている人がいる。しかもあちこちに、一人や二人ではなく。なんなんだこの人たちは。
いくら三連休の中日とはいえ、多すぎるし早すぎるし危険だし、何より濁流で水の中が見えないでしょうに。とにかく人の機先を制したいんでしょう、採られてたまるかと。すごいなあこの執念。お金が絡んでる人もいるのかなあ。
まあ人それぞれです。私はというと、目つきの悪い人たちに囲まれてのメノウ拾いなんて楽しくないし、私を勝手にライバル認定して競ってくる人というのもうっとうしい。そういう「他人」が基準の人とは話が合いません。私はその日その場の水の巡り、気の流れに従う生き方をしたい。そして今日の玉川はよろしくないというのが素直な感想。この日は遠慮して、翌日春分の日に長靴持って見参いたしました。さあ玉川は微笑んでくれるでしょうか。
まだ水が多く濁った玉川でまず覗いたのがここ。いつぞや記事にした、溝やら穴やらが縦横に穿たれた、おそらく玉川でいちばん掘られている場所です。
もう溝だらけ穴だらけ。きのう一日でどれだけの人が入ったのか。
ところが面白いもので
ヒトのすることには必ず目こぼしがある。掘り出された石の中にこんなのが残ってました。
大きな晶洞があって、赤い縞模様もある。何より形が面白い。こんなのが見過ごされちゃうんだ。わざと捨てた?だとするとかなりの手練れです。私は喜んで収得させていただきます。
ちょっと晶洞探検。
ダイサギ先輩こんにちは。
次のポイントは、先の記事でご紹介した、同じ人が川の流れが変わるほどに掘り続けておられる場所です。今日も増水した玉川でいそしんでおられました。見つからないように身を低くして、おこぼれを探します。
ちゃんとあった。
特にこれ。小さいけれどサイケデリックな色合いが美しい、これぞ玉川メノウと言えそうな一品です。
他人のシマを荒らすのはここまで。ほんのいたずら心でした、ごめんなさい。本来の私に戻って、水の流れを読みながらのんびり川沿いを歩きます。
途中でお見かけしたのが、同じ玉川沿いを車で移動しながらメノウを探し歩くお二人。渉猟しょうりょうというのでしょうか。堤防の上に停めては川に降りて、長い棒で川底を探っています。ひょっとしてアレはジョレンとかいうハマグリ採りで使う道具か。おお何て効率的な。時間が限られるときでも大漁が狙えるんじゃないかな。
いえいいんです、私は私。自分が一番楽しいやり方で。
街でも野でも何を求めるときでも、安全で迷惑にならず目立たない場所に車を停め、てくてくと何キロでも歩いて探し物をします。メノウ採りとしてはかなり効率が悪いけど、途中で虫や花を見ながら歩くのが幸せなんです。車で移動してはつまらない。何よりその日その時の川の流れを読むことができません。
お?
うわあ何だこれ。立派というより変なのを見つけてしまった。もちろんこういうのが好きなんです。
もう一つ、縞模様の出たメノウらしいメノウ。
これ以外に、形の面白い珪化木もいくつか拾っておきました。先日富岡橋でお声を掛けたご家族のお父さんが、メノウよりも珪化木に興味をお持ちだったのに適当なものを差し上げられませんでした。次の機会にはそんな方のリクエストに応えたいので。
まあこれくらいにしておきましょう。気の早い方々につられて川に入ったけれども、もっと水が引いたあたりでのんびり探すのが自分のスタイルだと思うので、なんてね。
と思いきや。
帰り道でこんなの拾ってしまった。
変化の楽しい、さっきのものと同様に私の好きな景色のメノウです。さあこれがどこにあったと思いますか。
こんなとこ。
川に沿った土手の土の中から覗いていたんです。わあびっくり。
こういうのが玉川メノウの産状だとは知ってましたが、目の当たりにするのは珍しい。こんなのが川に落ちて流れてくるんです。もちろん場所は限られます。もちろん内緒。先の方々にこんな場所がばれたら、堤防やあぜ道まで崩されかねません。
そしてそれよりも強調したいこと。フィールドを自分の足で歩き、その匂いを嗅ぎ、気脈の流れとしか言いようのないものを感じる。そうして初めて見えてくるものがあります。数十年歩き続けた私なりの、フィールド哲学みたいなものです。他業種の格言に「現場百遍」というのがありますが、きっと同じことを言っているのだと思います。
歩いて歩いて、今日も面白いものが見られました。この先もかくありたいと切に願います。
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