ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

隠滅、いやタマシイの焚火

 

       


 昔住んでいたのが今は亡き「常澄村つねずみむら」の川のほとり、船宿の離れでした。窓を開ければ下2メートルに川面があって、室内にカニが上がってきたりするわが生涯でも最高のワンダーハウス。夏でも海風のおかげで扇風機すら不要、冬は陽が入って暖かい、そんな快適な住まいで日々を楽しんでいたのですが、一つ困ったことがありました。


 ゴミ収集がない。


 常澄村は大洗街道沿いの小さな自治体で、燃えるゴミは各家庭で焼却せよという今ではあり得ない制度を維持していました。大家さんは自家のゴミと一緒に河原で焼却するから出してくれと言ってくれますが、う~ん生活の中身を見られるのは嫌だなあ。そこで。

 


 月に一度、海岸に出ます。いくらでもある流木を櫓に組み、火を点けます。燃え盛ったところでゴミ袋を放り込むと、それはそれはきれいに燃えてくれました。夕方に始まって暗くなるころにクライマックスを迎えると、潮騒の中に立ち上がる炎が波打ち際に映えて、原住民の打つ太鼓の音が聞こえるような光景です。ああ綺麗だったなあ。


 もちろん今はやってませんよ。私は街中の暮らしですし、常澄村も水戸市に吸収合併されてちゃんとゴミ収集があるはずです。でもあれ以来海岸での焚火が常習になったのは確かです。わし火属性だし。

 

 さて。


 4月よりこっち、時間ができたので少しずつ古いものの整理をしています。ここ数年知人の死にいくつも巡り会って、自分も予期せぬ最期というものを意識する必要を感じました。あ、超絶健康体です私。でもそう称して突然旅立つ人もいました。年齢や健康は脇に置いて、とにかく覚悟と備えは必要です。特に、人に絶対知られてはならない個人的な性癖などは隠滅しておかねばなりません。そこで問題になるのが、


 屋根裏部屋だ


 もちろんパソコンのハードディスクにもヤバいものは詰まってますが、パスワードを掛けておけば見られることなく処分されるでしょう。問題は屋根裏の段ボールに隠された物理的実体を持つモノです。アレとかソレとか、社会通念上は紳士の持ち物と認識され得ぬ秘仏の数々。もしこれが家族の眼に触れれば身の破滅です。死んでるんだけど。いま処分するにしても、もちろん資源ゴミなんかには出せません。処理業者の手から敵対組織に渡ったりしたら世界の危機を招くやも知れません。


 …… あはは、これくらいにしましょうか。でも実際に、これをご覧の男性諸氏にもそれぞれに思い当たるモノがおありになるでしょう。でも私が処分したいのはその手のモノではないのです。言ってしまうと、


① 小学6年時の日記


 子供の日記なんて微笑ましいだけじゃんとかお思いでしょうか。いやいや私の日記は違うのです。たぶん当時の担任がクラス全員に書かせたものでしょうが、様式は各自に任せられました。そこで私は近所の文具屋でA5版の日記帳を買ってきました。今はないような、飾り気のない学校仕様の日記帳です。普通に文章を書くだけではつまらないと思いました。奇をてらう変な子供だったんです。そこで私は絵日記、いや漫画日記にしました。ちょうどこのブログのような、文章とその説明になるマンガ絵を組み合わせたものです。ごめんなさいお見せできません。ブログの原型が6年生でもう出来ていたというのが驚きですが、いやその何と言うか、自分の12歳時の文章と絵というものが見るに堪えない。ページを開いた途端に絶叫、言葉にならない奇声を発してブン投げてしまいました。こんな恐ろしい物を後生大事に取って置いたとは。絶対に家族には見せられません。


② 名簿
 就職して間もない頃の、仕事上必要だった名簿類が大量に出てきました。もちろん世に出れば誰かの迷惑になるので処理業者には渡せません。この手で処分です。


③ 実験レポート


 へ? とお思いになるでしょうけど、大学時に提出して返却されたレポートの、その一部です。基本的には真面目に実験に取り組む学生だった私です。特に生物スケッチは大の得意で、良い成績をいただきました。先生方もみな少しのんびりした、古き良き時代の学者さんが多かったのですが、中にどうしても好きになれない人がいました。植物学の助教授で、いつも私たちの大学を馬鹿にして、学生を馬鹿にして、失礼というか無礼な発言を繰り返していました。坊主憎けりゃ、というのが私です。先生が嫌いだとその人が担当する実験も嫌いになり、レポートもデータを並べただけのものを提出しました。C判定で返却されて、きちんと書けば判定を上げますとコメントが付いていましたが無視しました。今となっては子供じみたことと反省してます。そのレポートが出てきたんです。個人的には過去の反省材料ですが、やはり残したくはありません。

 

 


 やって来ました某海岸。今どき海岸で火を焚くのには細心の注意が必要です。まず他の人、特に子供がいないこと。火の粉が松林を焼かないように、陸風の吹く朝方であること。消火をしっかりすること。

 



 

 


 最後に持参したポリタンクの水をたっぷりかけて消火・冷却です。これでサーファーの人が踏んでも大丈夫。

 


 死ぬ死なないとは別に、身辺整理って大事です。もうひと頑張りいたします。問題物件、まだ出てくるんだろうなあ。

 

 

 

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