ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

魔女の家で見た夢は

 

 外は雨。愛車、スズキ・エスクードの修理が終わるのを家で待ってます。修理の内容は…… スズキの名誉のため黙しておきます。いつ終わるかわからず、雨の中を代車で出かける気にもならず。放っておくとYouTubeをダラダラ見てしまうダメな私なので、本を傍らに置いておこうかと。最近の3冊です。

 


 まずは映像研最新刊。


 折に触れて私の文章にちょろちょろ出てくる映像研。もうキャラクターから設定からストーリーから、私の性癖に大ハマりです。NHKのアニメの出来も秀逸だったし、たいてい失敗する実写化も主役の3人の熱演(特に浅草みどり役の齋藤飛鳥!)とよく練られた脚本で楽しく仕上がっていました。何かを「作ろう」としたことのある人の心の琴線に必ず触れるんです。漫画連載がいつまで続くかわからないけど、ずっと追っかけます。

 


 ハエトリグモ!

    
 文一総合出版の大当たりシリーズ「ハンドブック」。数十冊出てる中には誰の需要があるんだこんなもん、というのもありますが、ハエトリグモは間違いなく大ヒットでしょう、増補版が出るくらいだから。著者の方はハエトリグモが好きで好きで、筑波大学を出ていながら定職に就かずに全国を駆け回り、日本産全種をコンプリートしたという剛の者、筋金入りのフィールド屋です。世の中には有名大学に学士→修士→博士と居続けて威張っている「学者」も多いわけですが、フィールドの世界でエラいのはもちろん「野」に敢えて居場所を求める人です。文一総合出版のすごい所は、ちゃんとこういう人を見つけ出して本を作らせること。ハンドブックシリーズを立ち上げた編集者がどういう方か存じませんが、真のフィールド魂を持っておいでだと思います。図鑑専門の出版社の中には、懇意にしている○○大学の△△先生の退官記念などと称して大冊の図鑑、それもとても需要があるとは思えない狭い分野のものを出版する所があります。対する文一のハンドブック、このハエトリグモは最も分厚いものですが新書判152ページで税込み2200円。この大きさでこの値段は一般の方にはお高く思えるかもしれません。でも図鑑として見ればこの完成度、充実度、見やすさ使いやすさ、いずれも破格です。先のアカデミックに依存する出版社ならA3判5万円のものを作ったことでしょう、大学の先生の名を前面に押し出して。

 


 ビニールカバー付きというのはハンドブックシリーズで初めてじゃないかな。フィールドでの使用を考慮したものでしょうか。


 さっそく家の中を飛び回っていたヤツを、ミスジハエトリと同定できました。

 


 ラヴクラフト最新刊!


 短編集。クトゥルーですよ、ラヴクラフト大先生ですよ。今度は新潮文庫から出ました。フジテレビでは番組改編のたびに鬼太郎の名が挙がるそうですけど、出版界ではラヴクラフト。かつては創元推理文庫が定番、角川文庫もありゃまた…… 違った、荒俣宏先生の訳で乗り込んできたことがありました。ホラーは確実に客を呼べるんです。ましてラヴ御大と来ては、新潮社も手堅い線を狙ってきたということでしょうか。カルトな人気が根強い作家なので、旧訳を持っていてもファンは買っちゃうのです、私みたいに。

 


 当然読みくらべ。一見してわかるのは活字の大きさ、ライトノベルほどではないけど大き目です。時代を反映してます。最近の文庫はこんなかい。肝心の訳は…… 今風で読みやすい、と言っておきます。褒め言葉ですよ。ラヴ先生は情景や形状の描写がやたらクドくて細かい、それを忠実に訳そうとして失敗する例の多いこと。その意味で今回のは上手に整理して読みやすくなっています。若い人がこの訳からラヴクラフトに入ってくれるなら嬉しいな。ただ、ぐちゃぐちゃとこねくった文章に翻弄され混乱するのも正しいラヴクラフト体験なのだとは申し上げておきます。

 

 収録されているうちの一つ、The Shunned House を「忌まれた家」としたのは荒俣訳。かつては「忌まわしき家」とか「忌み嫌われた家」とかありましたが日本語のセンスとしてはいまいち。今回の訳者は荒俣先生に従ったようで、きっとこれが日本での定番になるでしょう。


 もひとつ。この本で「魔女屋敷で見た夢」と題した作品。創元版の「魔女の家の夢」よりはマシですが、これも素直に荒俣先生に従って「魔女の家でみた夢」でお願いしたかった。ほんのちょっとした言葉の組合せでニュアンスが変わる、日本語って何て高度な言語なんでしょう。


 こんなゲームがあるらしい。その名も「テスラ vs ラヴクラフト


 右上にいるのがラヴ先生。手にした魔書・ネクロノミコンで次々と邪神を召喚してテスラにけしかけ、テスラが科学兵器で蹴散らすというゲームです。カルト界の人気者対決、ああ脳が震える。生時は不遇だったラヴクラフトですが、今は世界中でこんなに愛されています。泉下でどんな顔してるかな。

 


 今回の記事のタイトル、勢いでこうなった。シャレだと思ってください。

 

 


※ ついでに。こんな記事をここまで読んでくださったメノウ教信徒の皆さまへ。富岡橋の河原に1本だけヤナギハナガサの花があってもう枯れかけているのですが、その根元にメノウが3個。なぜかここに置いたものは取り残されます。どなたかどうぞ。決して上モノではないのであしからず。

 

 

 

↓ よろしければ。


 

にほんブログ村 その他生活ブログ 季節・四季へ
にほんブログ村 花・園芸ブログ 野の花へ
にほんブログ村 その他日記ブログ 備忘録・メモへ