バクテリオファージ!
一度見たら忘れない、生物資料集の大スター笑。ヒトの想像力を遥かに凌駕したそのメカニカルな造形は、クリエイターをはじめ多くの人に強烈なインスピレーションを与え続けています。しかしよもや、コレをガチャポンにしようとは。
わかるヒトにしかわからんものなので、ご説明いたします。これはウイルスなんです。ウイルスは大雑把に動物細胞にとりつくもの、植物細胞にとりつくもの、細菌にとりつくものとあります。そのうち細菌にとりつくものは形態が特殊で、発見の経緯から「細菌を食べるもの=バクテリオファージ」と名付けられました。決して「食べる」わけではないことが判明している現在でも、取りつく寄主や性質を付して「○○ファージ」と呼ばれます。今回ガチャになったのは「腸内細菌ウイルスT4ティーフォー」、通称T4ファージです。大腸菌を「食い」ます。高校で生物を選択された方は、どうぞ生物資料集をご参照くださいませ。
堅苦しい話はここまで。さあ想像してください、コレが小犬くらいの大きさで、カタカタカタカタ歩くとしたら? リードを付けてお散歩したら楽しいだろうな。夜道の暗がりで後ろからカタカタと付いてきたら怖いだろうな。何百と出て来て取り囲まれたらどうなるんだろう。じっと見つめられたら… って、目はどこだ。
でも残念、実物は長さ200 ナノメートル。大腸菌… これは長さ3マイクロメートルほどなのですが、その大腸菌の中に百個以上も収まってしまうんです。そうは言ってもやっぱりイメージわかないけど。とにかく普通の顕微鏡では見えない小さな分子結晶の集まり。幾何学的な形なのも、タンパク分子の部品をプラモデルみたいに組み上げたから。
にゅるん。ファージがDNAを菌体内に注入しているところ。こんなもんまで再現して。この不思議な姿は細菌の細胞壁を突破するためのもので、人呼んで「生物注射器」。
近所のメガドンキにできたガチャポンコーナーで見つけました。一個300 円。よそでは見かけません。ネットで調べたら昨年12月にリリースされていて、半年後の売れ残り、的な。ならば大人買いすればよかったのですが、1回に1個ずつ、と変なルールを作ってしまいました。どうせわし以外欲しがる人なんているわけないしー。
…… ある日、一気に無くなってました。それまでにこれしか取れなかった。そうか、やはりファージファンはいるんだ。
厳密には生物ではありません。でもやはり、自然の造形はすごいのです。
↓ 過去のガチャポン関係記事。まったくいい大人が。
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