やって来ました、ことし最初で最後のツクツク森。正式名称「水戸市内にあってツクツクボウシが片っ端からキノコに食われて冬虫夏草になっちゃう森」です。冬虫夏草のシーズンは終わっているけど、キノコが豊富な森なので何かは見られるでしょう。
珍しくぽっと陽が射すツクツク森。基本的には暗く人の寄り付かない森です。写真はすべてコンパクトカメラ「権三ゴンゾーさん」で、暗い中片手で撮っていたりするので手ブレとか画質とか、まあ期待しないでください。
で、いきなり森の入り口でお出迎えしてくれたのがこれ。外国ではDestroying Angel「殺しの天使」の二つ名を持つ猛毒キノコドクツルタケ。キノコ食を好まない私にはただの白く清楚な天使さまです。… 赤いツルアリドオシの実を添えたのは聖俗とか善悪とかのシャレだと思ってね。言ってはシャレにならんか。
ツクツクボウシタケは、時期を過ぎてて期待薄でしたがちゃんと発生していました。
これは地中の浅いところにあったもの。空っぽになった幼虫のお目目が恨めしそうに天を仰いでいます。
発生が続いているのは良かったけど、以前よりその範囲が狭まりました。木が1本伐られると、もうその周囲から姿を消します。木の根と菌根を作ること、標的のセミが木の根に付くこと、二重の意味で樹木に依存する生物です。何と言うか、儚い。
儚いと言えばこれも。カヤランが落下していました。この着生ランは、木の上でなければ生きていけません。
おっとこれは腹菌類のキノコ。この形のはぜんぶツチグリかと思っていたらツチガキと言うグループでした。シロツチガキ。胞子を吹いてました。
おおおっとこれは。ぶち破ったつぼの破片を乗っけたまま伸びあがる勇壮な姿、シロテングタケだああ。
繊細なキノコもいいけど、こういう豪快さんも好きなのだ。
珍しいものだと思います。クリのイガから生えるクリノイガワンタケ。何を好き好んでこんなとこから。
あああ出たあっ。図鑑の写真みたいなこれはテングタケ。これを見ると、童話のキノコ・ベニテングタケも見たくなります。いつかそのためだけに信州に行くかもしれません。
これもテングタケ科の何かだと思います。今まさにつぼから頭を出すところ。
帰り際、昨年はコレラタケがあった場所に今年はハナオチバタケの乾いて朽ちたやつ。小さいながらも名の通りに華やか、賑やかなキノコで私は好きです。生時に見たかった。
今日の戦果。発生期なら一日で百個体くらい採集できるのですが今日はこれだけ。実はツクツクボウシタケは見つけたら採っておこうと思っていました。観察会で参加者にお配りすると喜ばれるので。今年は実施されるかなあ。
ツクツク森。暗い暗い、人の通わぬ、生命の多様性に満ちた森です。未来永劫ずっとその姿を留めてくれることを、訪れるたびに祈っています。
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