これは昨年秋のある日の玉川での戦果。まあ小アタリというところでした。面白いのは上の黒いの二つ。玉川で初めて石炭を見つけました。
同じ久慈川水系の別の川で拾ったことはありましたが、玉川では後にも先にもこの時だけ。水中に沈んで腐ることなく土中に埋もれた植物体の、炭素分が凝集されたのが石炭、炭素分がケイ酸に置き換わったのが珪化木。どちらも広義の化石です。久慈川水系で珪化木は普通に見られますが、石炭は珍しいものです。
困ったのは、これ本当に地質時代の石炭?ってこと。そこらの焚火で燃え残った消し炭にも見えてしまいます。何やら油臭いのでなおさらです。固いことは固いのですがそれだけでは何とも言えません。シロウトの悲しさですね。結局庭の隅に他の大柄なメノウと共に打ち捨てられておりました。
そして先日気づいたのが、くだんの石炭がボロボロに崩れていること。
こんな感じです。何が起こっているんだ。拾ったときは間違いなくカッチカチでしたよ。
さらに気づきました。断面に何やら白銅色の光沢が。え、これ確か炭だったよね?
これはまさか……
黄鉄鉱 だー。
木炭にこんなのあるわけない。これでようやく確定しました。やっぱりこれ、石炭だったんです。そして内部が黄鉄鉱化していた。成分が硫化鉄に置き換わっていたんです。化石の黄鉄鉱化というのは珍しいことではなく、有名なものではアンモナイトがそのまんま黄鉄鉱でできているなんてのもあります。専門のコレクターまでいるらしい。
ボロボロになった理由も判明しました。黄鉄鉱は湿気に弱いんです… って、おマエ本当に石か。バクテリアが関わる風化作用も受けやすく、成分の硫化鉄が褐鉄鉱と硫酸塩になって崩れ去るんだとか。おお、悲しい石もあったもんだ。
いえ、悪いのは私です。そんな繊細なものを庭の隅で雨にさらしていたんですから。もう何をしても元には戻りません。たとえば熱したりしたら亜硫酸ガスぼーん! 土中にあっても条件次第で硫酸塩がそのまま硫酸になって、庭ならば草花が全滅します。ああっなんて面倒なものを連れ帰ってしまったんだ。
コンクリの上に置いといたら赤サビ(褐鉄鉱)が溶け出てた。
というわけで、ほおっておけばそうなっていたであろう玉川に戻しちゃおうと思います。水で薄まれば問題ないでしょう。一部、黄鉄鉱のよく見えるかけらは標本として、乾燥材を入れて保存します。黄鉄鉱は日本中の鉱山で産出するし、化石の黄鉄鉱化も珍しい物ではないと思います。まあ、騒ぐほどのモノではなかったと、そんなお話でした。
※ 本当はここでお金で買った黄鉄鉱の大きな結晶をご覧に入れたいのですが、職場に置いていたので退職のどさくさで行方不明です。出てきたらお見せしますね。
石絡みでついでに。…… 例の河原のお供物ですが、24万アクセス達成祝い笑ということで赤いのを奮発しちゃいました。拾われた方は、どうか私に祝福を。うふふふ。
↓ この石炭を拾った時の記事。ちなみにカブトムシじゃなくカナブンかもしれない。
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