ううう負けなのか、このまま負けで終わるのかーっ。
…… すいません、前回のウランガラスのことでございます。初崎海岸にあえなく撃退されて、さてどうしたものか。
そこでリベンジにと、ここはおなじみ平磯海岸。当たればシーグラスがそこそこ拾えるので、とにかくウランガラスが混じることを期待して。今日の潮は良くありません。
車を降りた駐車場の隅に、黒メノウが捨ててありました。石拾い関係者の仕業でしょう。ぐぬぬ、幸先がいいとは思えん。
砂上に、すいません何の意匠ですか。だあれこんなヒマなことするのは。
あれ赤系のメノウ。小さいけどきれい。平磯で赤いのは久しぶりです。
赤いのが次々と。こんなこともあるんだなあ。
こんなのはその場にポイできちゃいます。我ながら大した傲慢ぶりである。… 何しに来たんだっけわし。
目的は忘れていませんよ。ちゃんとシーグラスも採りましたよ、へへーんだ。
シーグラスとメノウ。さあ紫外線を当ててみよう。
で、シーグラスにはやっぱり光るものはありませんでした。
メノウは… おおおっなんか光ってるぞ。
これ。よく見ると仏頭状構造が削れたみたいな部分があります。晶洞の一部、そのかけらなんでしょう。
結構強く光ります。
個人的にはこの海岸独特の色合いになったメノウが好きだなあ。右手前のなんか大きさが米粒大で可愛いったら。集めて、小びんに詰めてみようかな。
えーと。
そもそもなんで平磯くんだりまで行ったかというと、まず体を張った記事を書くのが目的で初崎行って、ウランガラスはその手段で、でもうまくいかなくて、メノウとかは今回の派生事項で…… なんかもう、手段と目的が倒置して、自分でも何やってるんだかわからなくなってます。フィールドに惑わされております。うふふふ。
かつての大英帝国には、植物から昆虫から、各分野の珍奇な新種を求めて世界中を駆け回る「ハンター」がいました。ヒマラヤの高地だろうがボルネオの密林だろうが、彼らの道を阻むものはありません。時に命の危険に晒されながら、ただひたすら本国に標本を送り続け、そして彼らの多くがそのまま世界の果てで一生を終えました。帰ることのないその旅の目的はもちろん大英博物館の収蔵品を増やし英国の威信を世界に知らしむることでしたが …… 思いますに、その旅を支えていたのは「旅」そのものだったのではないでしょうか。未知なる大地を巡る喜び、出会う生き物がすべて新種という驚き、遠い異国での目くるめく日々。旅に、そしてフィールドに一生を捧げるって、なんて幸せなことだろう。
日を変え河岸を変えます。ここは日立。初崎海岸からそう遠くない渚にて、シーグラスを集めてみます。とはいえガツガツとした気分ではなくて、もうなんか、記事を書くこととかどうでもいいかなって。旅ではないけど、つまりはフィールドに身を置くことが私の喜びなんです。手段や言い訳はもう何とでも。
初崎と違って角の削れていないガラス片。場所が違えば拾えるものも変化します。
これだけ拾いました。まあ何の期待もせず、とりあえずUVライトを当ててみます。
え。
待て待て待て、落ち着けわし。小さいぞ。ピンセットでつまみ出して
光ったあ。期待してなかった分、新鮮な驚きです。平磯に無くても日立にはある。たぶん背後の街が大きいことで、こういうものも供給されてくるのでしょう。
大きい方を拡大。
蛍光。ウランガラス、あるものなんだなあ。
帰路に見た海からの夕映え。おばあさんが一人、堤防に座ってじっと見上げておられました。人生いろいろあったと思うけど、潮騒の美しいこの街で日々こんな空を見上げながら黄昏を待てるなんて、今は十分に幸せですね。私もかくありたいと願います。
大英帝国のハンターたちも、最後にはこんな空を見上げていたのかなあ。
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