明け方の夢に立った丑さまがモーと申されました。ヤンマタケを見つけなさい、さすればそのグズグズ残った風邪も快気するであろう、と。 … お告げだ。
ヤンマタケを見たくなったのは本当です。冬虫夏草ヤンマタケ。気生、不完全型。水辺の木の枝に冬、見つかるものです。珍種とは言えませんが私はあまり遭遇の機会なく、県内では5カ所でしか見ておりません。いやこれは多い方か。そもそも冬虫夏草じたいが珍しいものですが、ヤンマタケは他の冬虫夏草とは季節も場所も異にするので、その気でフィールドに出ないと見つかりません。幸いにして今日は他の方のシダ調査のお付き合いで良い森に行く予定です。防寒装備を厳にして、さあ出撃。
今日の調査地は暖温帯と冷温帯の境界にある原初の森。私たち自然観察者には聖域と言っていい、生命に溢れた場所です。
冬でもこんなに緑。一見季節感がありませんが、よく見るとつららが下がっています。
イヌガヤの枝に、もう春に咲く雄花の準備が出来ていました。季節は着実に進んでいます。
緑の濃いアオキの葉に真っ白い、これは越冬するウラギンシジミ。いかにも危なげですけど、この後の大雪とか嵐とか、大丈夫なんだろうか。
落ちたカヤラン。立派な実を付けていました。でも地上では生きていけません。
同行の相方が、珍しいシダがあったといつになく興奮した声を上げました。おおやはりここはいい場所だなあ、どれどれと寄って行った私の眼に、別のものが映ります。
ヤンマタケ。落ちてた。
ふつう落ちてるモノじゃないんです。たぶん草葉に付いてしまって、それが枯れて倒れ伏したのだと思います。とにかく見つけてしまった。これがお告げか。同行者ともども金星を挙げて今日はいい日です。
大きさはこんなもん。曲がっていますが、たぶん宿主はミルンヤンマ。
あわれ菌に食い尽くされて。
そんな恨めしそうに見るなよお。トンボにしてみれば不運でしたね。
子実体(キノコ部)がかなり未熟です。庭に置いて追熟させようかな。
ヤンマタケは山中の渓流沿いに見られますが、デリケートな生物なので環境選好性が強い。初めての場所で探しても空振りが多いのです。知られている発生地で探すのが効率が良くて、でも私の知ってる場所はいずれも土砂採取やらダム建設やらで環境が激変してしまいました。もう何年見ていなかったろう。
というので写真フォルダを検索してみたら、出てきたのは何と20年前の写真。ちょっとびっくり。そんなにご無沙汰だったのか。
ご参考にご覧ください。
2001年、アカトンボ類。
1998年、アカトンボ類。
2003年、アカトンボ類。
2003年、ミルンヤンマ。
2003年、アカトンボ類。
お気づきでしょうけど、ヤンマタケと言いつつアカトンボ類での発生が多いのです。オニヤンマでの発生があるというのはネット情報なので怪しい限りですけど、うわあ見てみたい。
この冬はヤンマタケ目的に何か所か歩いてみようかな。
↓ 冬虫夏草の分類やら生活史やらはこちらで。