さて前回、群青の渚にて潮騒の誘うがままに手にしたるこれらメノウ。どうかわが接写の秘術をもってご高覧あれ。
とはいえ数もあるので、特に景色の良いものをピックアップしてご紹介します。メノウとしてご覧頂きたいのはこのあたり。
その1。前回の写真にも出てきた、典型的な海岸メノウです。白く石灰が沈着して
ガス抜けのぶつぶつ模様に
ちゃんと晶洞まである。
お次は、晶洞は削れてしまったけどシマシマの見事な
しましましま…… じっと見ていて、少しトランス状態になりました。
さて次が、今回最大の収穫だと思ってます。黒縞メノウ、まごうかたなくオニキスです。でもそういう貴石としての世俗的価値ではなく
…… おわかりでしょうか、この独特にして強烈な景色を。私には異界から来た異形のものに微笑みかけられているように見えます。億年の時を超えて。
まるで磨いたかのように美しく摩耗した表面。角度を変えれば次々と表情が変わります。さらに拡大すれば
ああどうしよう。全長たった4センチの中に、無数のメッセージが込められている。粗雑にはできません。名を与えて、手許に置こうと思います。
かつて私は生物学徒でありました。生物はたとえどんなにありふれた種類であっても、その器官・組織・細胞それぞれに宇宙に匹敵する謎を内包しています。それを肉眼にて感嘆し、拡大して驚嘆する。マクロの視点とミクロの視点。長年生き物を扱って身に付けたメソッドですが、それがメノウを鑑賞するうえでこんなに役立つとは。
こちらは赤メノウの黒化したもの。
陽に透かすとその複雑な来歴が浮かびました。
横幅1.7センチにしかずとも
燃えさかる恒星の内部対流を示します。
一つとして同じものはなく、さらにそれぞれに
見る角度ごとに異なる宇宙を見せてくれます。
それが生成されたのはいつだろう。地上に現れたのは。川に流されたのは。海底に沈んだのは。
それがいつしか白と黒をまとい。
最近ボクが意識的に集めてるのがこの大きさ。
それぞれの個性を見せつけてきます。みんなキレイです。
私の石鑑賞の新メソッド、ブラックライト。
強烈なものはありませんでしたが、新たにこういう視点を手に入れた意味を考えます。
というわけでしゃぶり尽くしました、茨城の海岸メノウ。お楽しみ頂けましたでしょうか。路傍の雑草の花でも、渚に転がる石くれでも、見方一つで世界はいかようにも姿を変えます。そんな楽しみをお伝えしたくて、ジノ。は日々の記事を書いてます。
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