ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

お散歩は季節をまとってドイツ箱と粘菌。

 

 とりあえずガチャポンと呼ばせていただきます。そうあの 100円玉何枚か入れてガチャリと回すとなんか出てくるやつ。

 


 最近水戸の駅ビルの4階にガチャポン屋さんができまして、この種のお店はイオンにもメガドンキにもあってひとつのトレンドなのでしょうけど、この駅ビルのが私の知る限り一番店舗面積が広い。ご存知の方も多かろうとは思いますがガチャポン、とにかく種類が膨大です。店舗が大きければ珍しいものも置かれます。スタバでひと時を過ごしたあとこの店を冷やかすのが週2回の儀式になりました。いや好きなんですよーガチャポン、本当に。

 


 で、この冬に存在を知ったのがこのシリーズ。

 


                  「お散歩は季節をまとって。」


 「散歩」「季節」の組み合わせが私のツボであること、読者の皆さまにはおわかり頂けるかと思います。「まとう」もいいですねえ。日本語はご存知の通りややこしな言語で、同じ意味を表す表現がいく通りもあって、助詞の使い方ひとつでもニュアンスが変わります。お散歩は季節をまとって。…… 製作者のセンスの良さが伝わって、もうこの商品の質が保証されたようなものです。


 で、これは何者かというと、冬野カモメさんという絵師さんが描く女の子のイラストがアクリル板に印刷されたキーホルダーです。女の子の服の部分が透明になっていて、背景を変えることで絵の印象が移ろいます。存じ上げませんでしたがこの冬野カモメさんという方の絵がとても可愛らしく品が良く、描かれた女の子それぞれに人物設定があることが絵に深みを与えています。


 例えばこのひなたちゃん、「面倒見が良いおばあちゃんっ子 おしゃべりと食べ歩きが好き」だって。

 


 人気のようで、ガチャポン商品では珍しいことにシリーズ第1弾が再販されてます。わあうれしいなあ。もう少し集めてみようかなあ。…… おっさんがこのガチャポンの前にしゃがみこんでガチャガチャやっている姿、さぞや気持ち悪い絵ヅラでしょうがボクは平気です。カバンにいっぱいぶら下げる勇気はさすがにありません。

 


 庭に出てお花をバックに。こんな風に楽しむものらしい。

           

 


 この「お散歩」はあちこちのガチャポン屋さんで見かけますが、駅ビルのお店だけにあったのがこれ。

 


            「ドイツ箱」

 


 この言葉にピクリと来るのは昆虫マニアだけです。マニアに的を絞った言わばマニアホイホイ、シロートの誰が買うというのだこんなもん。ガチャポンには「水道の蛇口」とか「バスの降車ピンポン」とか、とてもまともな会議を通ったとは思えない商品がリリースされることが多々ありますが、これも相当なものです。さてどこから説明しよう。

 


 商品そのものはマグネットです。アクリル製の正面は透明、黒ぶちの箱の中に紙に印刷された蝶が収まっているのだけどまあその蝶がチャチで、蝶好きの私でも全種類揃えようとは思えない、そんなブツでございます。問題はやはり「ドイツ箱」という言葉であるか。

 


 ドイツ箱。昆虫用の標本箱の、定番にして最高級品です。博物館の標本は必ずドイツ箱入り。そして昆虫マニア、例えば養老孟司氏の自宅の棚に何百箱もあってそれだけで他のマニアを黙らせることのできる、マニアの「格」の物理的実体と表現できます。ドイツ製というわけではなく今は日本製。標本の大敵である湿気や食害昆虫の侵入を防ぐべく恐ろしいほどに堅牢で密閉性の高い標本箱で、開閉にはコツと手間が要ります。一つ一つが職人の手作りで、蓋と身は1対1、他のものとの互換性はありません。以前はある有名な昆虫用具専門店しか扱っておらず、ここが毎年値上げするもので1個1万円以上しました。今はもう少し安いものがありますが、気合がなければ買えるものでもありません。

 

          
 もう一つ。パッケージの絵にある「そうか、そうか……」の文句、出どこはご存知でしょうか。ヘルマン・ヘッセです。このドイツの文豪は昆虫愛好家で、作品にたびたび蝶や蛾が出てきます。それを使うあたり、これもまたマニアックにセンスがいい。


 それにしてもこの商品、制作会社はその名も「いきもん」。会社のHPを見たらいやあるわあるわ、このテのマニアック商品のオンパレード。とりあえず「サイエンステクニカラー」と銘打ってさも企画モノの一つですよと胡麻化していますが、これが本性でしょう。楽しそうな会社だなあ。

 


 この会社、アタマおかしい(賛辞)

 


 あの、以前記事にしたT4ファージもこの会社でした。やっぱりね。

 


         …… ほっ!(腹に一発、の感覚

 


 ああ心臓止まった。驚いた。最新リリース 粘菌 だって。欲しい。これは欲しいぞ。でもこんな売れそうもないキワ物、どこのガチャポン屋が置いてくれるというのだ。

 


 …… あったのだ。水戸駅のガチャポン屋に。止める間もあらず、反射的に3回ガチャってしまった。重複なく、ちゃんと3種類出ました。

 


 残念ながら立体的な造形ではありませんが、専門の写真家の方が撮ったものです。

 


 原寸大のスケールまである。この凝りようが良いのです。

 


 誠文堂新光社「粘菌」。私の愛読書に重ねてみたら見事に溶け込んでしまった。

 


 ここでふと思いつきました。

 

 


 この組み合わせは面白いんじゃないかなーって。

 


 おおおっ

 


 こ、これは。ある種の性癖を刺激して止まぬぞ。

 


 粘菌と女子高生、売れる。これは売れるぞおお。

 

 

        はっ …… わ、私はいま何を。

 

 

 

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