神さま、私に何かさせたいワケではないでしょうね。またカザグルマに引き合わすとは。
車を降りたその目の前にありました。まさに花期の当初の一番花が。
ここは里山、そう4月の記事「山と野のあわいに - ジノ。」で書いた、路傍にあるはずのないルイヨウボタンや、恥じらうようなピンクのイチリンソウがあったあの里山です。かつて人の気を嫌う者たちが静かに暮らす深遠な森であったのが切り拓かれ、それでも住人たちが緑野の中に生き続けている奇跡の場所です。何の変哲もないのどかな風景に溶け込んだホットスポット、まだ何かを隠しているはずとは思っておりました。それがまさかこの準絶滅危惧種とは。この場所の特殊性を考えずにはいられません。伐られる前に歩いたなら、森で何を見ることになったろう。
本当は蝶の写真を撮るつもりで、準備したレンズも動目標に強かろうとソニー純正AF90ミリ。花が豊富な場所なので蝶もたくさんいるだろうと思っていたのですけれど
草刈りされてしまった。ルイヨウボタンもイチリンソウもみな葉くずとなっていました。ムラサキカタバミだけが残されていたりして。
仕方ありませんね。ここはお百姓さんの領分です。かの花々はいずれも宿根草なので滅びることはないでしょう。ここでこうして生きていく運命です。
それでも撮った写真があります。晒させてください。まずは【虫】を。苦手な方は飛ばしてね。
ゴイシシジミ。普通種のはずなのですが、私は30年ぶりくらいで見ました。局地的な発生をするので、探して見つかるものでもない。これもこの場所が引き合わせてくれたものだと思いました
コミスジ。毎年フィールドでは必ず見ています。羽化したての翅が美しかったので。
シラヒゲハエトリ。毛むくじゃらのハエトリグモ。日なたが好きなんだそうです。本当は顔を大写しにしたかったのですが、逃げられた。
ヒトリガの幼虫が哀れなことに。この季節、もんもこもんもこと道路を横切って来るので運転していて避けてやるのが大変です。もちろん気付かないドライバーが大半で、このように輪禍に遭う者が多い。
ヒメウラナミジャノメ。翅はぼろぼろですが意外に凛々しい顔をしてました。
植物編。キンポウゲの咲く季節になりました。
トリカブトが元気に毒入りの葉を天に差し伸べています。これも本来は森の住人です。
ミズキが花期を迎えてました。この季節、独特の樹形が花のおかげでよく目立ちます。
わかる方はおわかりでしょうけど、カザグルマ以外はいずれもありふれた生き物たちです。こういう普通のものを記録するのが大事、と思ってやってきた場所で大変なものを見つけてしまいました。
茨城県内のカザグルマの自生地は、私にとってこれで5カ所め。そのうち3カ所は、この1年のうちに自分で見つけたもので、これには少なからず驚いています。確かに昨年からフィールド歩きに時間が取れるようになりましたが、カザグルマには特別な縁を感じます。もちろん、見守っていこうと思います。
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