ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

musi musi 大行進 わあーい♪

 

 その昔、1972 ~ 74(昭和 47 ~ 49)に「ムシムシ大行進」という虫嫌いの人がタイトルだけで卒倒しそうなテレビ番組がありました。日テレ系月~土の朝8時台5分間のいわゆる帯番組で、子供向けのドラマでございます。特筆すべきは、出演する俳優さんがすべて本物の虫(カエル、ザリガニ含む)なことであります。カブトムシや蝶々トンボがいかだに乗って力を合わせたり、カミキリムシのレスキュー隊が消防車に乗って出動したり、それはそれはシュールな、あのサイケデリックな時代においてすら異彩を放つ番組でした。実際には制作を担当した学研の人が野山からスカウトしてきた虫たちに演技指導をかまし、時に接着剤で貼り付け時に電気ショックを与えて撮影したものに声優さんが声を当てるという、当時でさえ非難の声を浴び、でも子供には人気で何度も再放送されるという特異な状況をかもしていました。声を担当したのは滝口順平ドクロベエ)や山田康夫(ルパン三世)などなど。滝口さんは主題歌も担当し、♪ ムシムシ大行進、わーいと子供らと一緒に歌う声が耳に残ってます。私が自分で撮影した虫たちを変に擬人化するのは、この番組の影響大なるかもしれません。


 はい、というわけで【虫回】でございます。いや何と申しましょうか、人生の大半を虫好きで過ごしてきたのでありまして、虫の話が耳から口から漏れ出す始末で、書こうと思えばなんぼでも記事にできてしまうのでございますよ。例えば庭に出て見れば、ウメモドキの枝に全長1ミリに満たないカイガラムシの幼虫とそれを捕食する4ミリのヒメアカホシテントウを見つけちゃうとか、キンセンカの花にカメラを向けてもそこで蜜を舐める 2.5 ミリのキイロシリアゲアリにピントが合ってしまうとか、カタギの人が存在すら気づかないものに目が行ってしまうのですからネタには困りません。困るのは虫ネタの記事がすごく受けが悪いことで、虫記事で読まれているのは「せかいでいちばんちいさなむし」ぐらいのもんです。…… 取りあえずここ2・3か月に見た虫+αを無理やり1記事にまとめてお許し頂けたらと思います。

 


 3月、トウキョウサンショウウオの卵のうでは、赤ちゃんが神経胚にまで育っていました。

 


 4月始め、書斎になぜかクロオオアリ。私の書斎は「虫の墓場」でして、家に入り込んで出られなくなった虫が最後に行き着きます。理由はわかりません。

 


 ハエトリグモは、いくら追い出してもまた現れます。この家の中では飢えるばかりだろうに。

 


 アブラムシの有翅虫。この姿であちこちの新芽に子をばらまきます。

 


 さんぽから帰宅して上着を見たらアカボシゴマダラの幼虫が這ってました。

 


 帰路に一度上着を脱いで草むらに置いたときに、食草を探して彷徨していた冬眠後のこいつがうっかり乗ってしまったのでしょう。気の毒に、この時点で既にだいぶ消耗していたようで、すぐに動かなくなってしまいました。

 


 さんぽで見る虫として毎年ご紹介するのがこれ、ヒラタアオコガネ。4月の終わりの一週間ほど、旧県庁の芝生の上を、メスの羽化を待つ大量のオスが群れ成して飛び回ります。

 


 出てきたメスはあっというまに複数のオスに取りつかれます。…… という営みはともかく、問題になるのは大発生するさまが虫嫌いの人には不快であることと

 


 じつは幼虫が芝の根を食べる大害虫なことです。芝に開いたおびただしい穴はこいつらの脱出口。芝はたまりません。もともと南の方の昆虫であり、これまで茨城で問題になることはありませんでした。北上しているようです。

 


 この芝枯れの原因、こいつだと思います。効果的なのは初夏の薬剤散布。ここは近所の保育園の子どもたちの遊び場なのでタイミングが難しいけど、防除しなければ芝枯れは広がり続けます。

 


 旧県庁広場の周辺は、水戸では珍しいクスノキが植栽されてます。クスノキと言えばアオスジアゲハ。若葉にさっそく卵が産み付けられてました。これは木を枯らすような浅ましいことはしないので、そっと見守ってあげてください。

 


 ところでご存じですか? クスノキの葉一枚に、必ずダニが2匹住んでることを。この葉脈の付け根のぷくっとしたふくらみがダニ部屋です。そういう種類のダニで、人にはもちろんクスノキにもほとんど迷惑をかけません。そんなささやかな生き方をしています。

 

      
 鳥の落としものから芽生えて植え込みを凌駕するこのエノキ。昨秋は3匹のアカボシゴマダラの幼虫が葉を食べ、そして越冬のため木を降りました。春になっても一匹も上がって来ませんでした。裸一貫で水戸の冬を越える厳しさよ。

 


 代わりにナナフシがいた。まだ幼虫ですが一丁前にナナフシです。

 


 庭の虫もいくつか。抜いたドクダミの葉裏にカメムシの卵塊。今年は大発生だそうで。

 


 モンシロチョウめが、蛹にまでなりおおせるのがいたようです。我が菜園のキャベツ白菜カブ大根アブラナ。無農薬なのでモンシロどもは卵産み放題。どうしてくれよう。

 


 草抜きではこんなのも出た。ケラだあ。そうか我が庭にはオケラが住むか。ちょっと嬉しい。

 

   
 今年は「生きている化石」ムカシトンボを見たいと思っていました。でも見つけたのはムカシヤンマ。ムカシトンボほどではないけど古い形質のトンボで、ヤンマと付きますがムカシヤンマ科という分類です。ちなみに近縁のテイオウムカシヤンマというのがオーストラリアにいて、世界最大のトンボだとか。

 


 普通のヤンマと比べるとドンくさい。黒い複眼が特徴です。

 


 そんな止まり方するなよなあ。ほんとにドンくさいんだから。

 


 この綺麗なのはニホンカワトンボ。

 


 顔を見るとそれなりに凄みがあります。なるほど肉食昆虫なんだなあ。

 


 春先にちろちろと直線的に飛ぶ白い小さな蝶を見るとこれを期待します、ツマキチョウのオス。好きなチョウです。夏・秋・冬を蛹で過ごします。花に憩うところを写真に収めたいのですが、滅多に止まってくれません。

 


 クロアゲハじゃないよ、蛾のアゲハモドキ。毒蝶ジャコウアゲハに擬態しています。

 


 今年も筑波実験植物園クレマチスを見に行きました。そのとき見かけたツマグロヒョウモンのメス。ここでもパンジー食ってんのかな。

 


 ヒョウモンの仲間の食草はスミレ類。フィールドの路上を必死で歩いていたこのヒョウモン類の幼虫は、タチツボスミレに乗せてやったらすぐ葉を食い始めました。

 


 メノウ拾いに行った河原でツチイナゴ。この成虫の姿で冬を乗り越えました。

 


 河原の雑草ギシギシにびっしりとアブラムシが付き、それを食べるナナホシテントウも群れを成してます。

 


 その河原の石に大型のヤンマ、その名もマルタンヤンマ。フランス人の名だそうです。

 


 森の入り口、咲きかけのヒメジョオンの花穂にヨコヅナサシガメの幼虫。鋭い口を昆虫に突きさし体液を吸う吸血鬼、肉食のカメムシ待ち伏せのつもりでしょうけど、緑に黒が目立つことったら。

 


 森の中で、何か花はないかと歩いていたら足元からぱっと飛び立つ大きなチョウ。クロコノマチョウです。南方系の種で、茨城に定着したのは最近のこと。

 


 春先によく歩き回っているのがアカスジキンカメムシの幼虫。成虫は赤と緑を絶妙に配した「歩く宝石」と称される美しい昆虫です。

 


 オトシブミの揺籃ゆりかご。中で幼虫が育っています。落とし文とはよくぞ名付けた。

 

    
 森の道にアリの行列、アミメアリです。巣を持たず、旅に生き旅をすみかとします。

 


 幼虫を運ぶ個体も。

 


 最後にクモ恐怖症のひとごめんなさい。バッグにいつの間にか貼り付いてました。2匹のダニに引っ付かれてます。これはタカラダニ類の幼虫で、汁を吸うのではなく他の虫を移動手段に使うのだそうです。

 


 正面から見たら…… 黒くぶっといトゲ付きの腕は恐ろし気ですが、意外と間抜けた顔をしてました。お人よしの雲助というところでしょうか。ダニが、害がないとはいえいかにも邪魔そうで哀れ。

 


 ああいいガス抜きだった。ここまで読んでくださった読者さま、ありがとうございます。

 


 「ムシムシ大行進」ですが、数エピソードが「昆虫劇団ムシムシ物語」というタイトルでバンダイチャンネルにて視聴できます。よろしければ。わし見てないけど。

 

 

 

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