おカネに関わるネタを一席。
相変わらずのガラケー使いです。特に不自由はありません。無理にスマホを持った年寄りがレジの電子決済にあたふたしているのを憐れんで見ています。
携帯電話による支払い、既にガラケーの時代からおサイフケータイなんてサービスがありました。初めて目撃したのはコンビニのレジ。私の前に並んでいた人が携帯を使ってピッとか決済しました。おお、と思わず覗き込んだのは手許ではなくその人の風体です。ぶひーぶひーと口呼吸してそうなビア樽体形のお兄ちゃん。髪はぼさぼさ、上下は部屋着兼寝巻のスウェット、クロックスのサンダル。考え得る限り私が一番ダメと思う容姿というか、一番近づきたくない生活様式の人間です。提示された金額に合わせて財布の金種を選んで出す、それすら面倒くさがるか。ああこういう連中が真っ先に使うモノなんだと納得しました。これ以降、電子決済への私の印象は変わりません。
キャッシュレス決済の利点てなんだろう。現金を持ち歩くのが危険な国では、つまりそれは世界の大部分の国ではということですが、確かに安全でありましょう。でも日本では路上強盗に遭う確率なんてゼロに近いと思います。となると私にはデメリットしか浮かびません。
第一に無駄遣いが増える。ピッとやるだけでモノが買えてしまうのですから確実に金銭感覚が狂います。新NISAとかを始めて小金を稼ごうとしても、この種の金銭感覚ではきっと蓄財は難しいでしょう。おカネの溜まる人いうのは常に財布の現金の額が頭にあって、買い物のし過ぎに気を配るものです。
第二に個人情報。決済を迷うことなくスマホ上でなさる方々は、各種届やら税金やら、すべてスマホを利用するようになるでしょう。これは以前にも書きましたが、スマホで行われたことはすべてデータとして残されて、個人情報として売買されます。もし漏洩事件が起こっても、子会社がやったことですごめんなさいと謝っておしまい。政治家や官僚にも役立つデータがいっぱいだ、わあい ♥ この人らには中国政府が国民全員にスマホを持たせているのが羨ましいだろうなあ。
第三にスマホを失った時のあまりにも大きな損失。無くした、落とした、盗まれた…… 私の知る限り、スマホ依存度の高い人ほどこういうことをやらかす確率が高いようにお見受けします。いやほんと、届け出る先いくつあんの? 日々の生活どうなんの?
第四に … これが重大なことなのですが、そもそもキャッシュレスを使うことで実は余分におカネを払わされているのです。クレジットカードでは 10 %以上の分割手数料やリボ払い手数料、さらに年会費。店舗側も1~5%の手数料をクレジット会社に支払い、もちろんそれは商品価格に上乗せされてます。これがスマホ決済では、店側が契約料や機器設置費用、そして取引価格の数%に及ぶ決算手数料を何とかペイの会社に支払っているんです。お店がここまでしてキャッシュレス決済を導入するのは、もちろん「現金見えない効果」で客に無駄なものまで買わせるためです。そして私のような現金主義者が何より許せないのは、これら手数料を上乗せした価格が現金客にも適用されることです。割り引けエエエッ
最近乱立気味のドラッグストア。以前は「カワチ」をよく利用しておりましたが、ここ半年以上「コスモス」で買い物をしています。なぜって? 皆さんのご近所にあるならご存じでしょう。何とこの店、この時代にキャッシュレスお断り、現金オンリーなんです。私は漢気おとこぎを感じました。何より手数料が価格に入ってないので本当に安い。逆転の発想ですね。これぞ商売だと思いませんか。乱立し飽和気味のドラッグストアの中から頭一つ抜けてます。店内に老人が多いのは仕方ないとして、主婦の方の利用もあるとお見受けしました。ぜひこの業界で生き残っていただきたいと思ってます。
しかしこの三千世界はキャッシュレスの谷に転げるように進んでます。先日は週イチで通う「すき家」のレジが何種類もの何とかペイ対応の機械に替えられて、「現金」ボタンはタッチパネルの隅に追いやられてました。ガソリンは近くの店独自のプリペイドカードで安く入れてますが、洗車は以前の職場近傍の別の店のカードを使っておりました。ところが先日久しぶりに行ったら、なんてこったスマホ決済に変わってました。ああ包囲網がどんどん狭まってきている。
滑稽だったこと。消費税が8%から 10 %になった時です。食品を持ち帰るのなら低減税率8%、店内で食すなら 10 %。これ自体が人を小馬鹿にしたような制度ですが、この時スターバックスの店内はガラガラになり、レジにずらり並ぶ人たちはぜんぶ持ち帰り客。2%を節約しようってワケですかい。でもアンタらみんなスマホ決済してたよなあ。2%くらいとっくにどこかで取られてるぜえ。
世界でヒットしたアニメ「攻殻機動隊」、原作漫画は主人公が同じというだけの別物です。その原作漫画には続編があって、いよいよアニメからかけ離れた世界線のお話になるのですが、そこで主人公は面白い連中と取り引きします。ご禁制品専門のウラ運送会社、その名も「南海速配社」。電子決済が常識の未来世界で、いかつい装甲をまといごついバイクに乗った配達員は支払いに際して主人公に言い放ちます。「電金・カード・株券はお断りだ 信ずるに足るのは金キンだけだ」と。代金は「金」でしか受け取らないと言うのです。この時代たぶん現金という概念が消失していて、それでも電子的な取り引きを拒否し、物理的に現実の価値を持つモノに固執する。一種のギャグとして使われた挿話で、主人公も変わった奴らだと呆れます。でも私にはわかるなあこの価値観。
まあ、日本でスマホの普及率が決して 100 %にはならないように、決済の手段としての現金が無くなることはないでしょう。現実に、普段から支払いに関してアテにならない連中を相手にしている建設業者や自動車関係の方々は、現金払いをとても喜んでくれます。銀行を通さないってのもポイント高いのかも。
小銭にうるさい奴、なんて言わないでください。おカネに苦労したことはあるけれど、おカネにこだわってはいません。ブログに広告貼ってない、投資指南の記事なんてない、そのあたりでご判断ください。スマホ決済をなさる方を非難するものでもありません。騙されてるワケじゃない、知らないワケじゃない、そこが大事なのです。その上で利用するか否かは個人の判断です。そして私はちょっと不便とか人と横並びでないとかを喜ぶ天邪鬼であるというそれだけです。かの 池上 彰 さんもガラケー持ちで、スマホは出版社からのLine受信専用だとか。池上さんが天邪鬼かどうかはともかく、ちょっと勇気づけられます。
『ヴァニタス』、ピーテル・クラースゾーン、1630年
バロック期のネーデルラントで流行した「ヴァニタス画」の代表作。頭蓋骨、時計、書物、空のグラス、火の消えたロウソクを配し、この世の富や栄光のむなしさを説くものです。ヴァニタスは「すべてむなしい」の意。私もまた蓄財や出世に血道を上げる人たちを避けつつ、自分の楽しいように生きてきました。スマホ云々もその生き方の一つです。
実は今日のこの記事、5年後、10 年後に自分が読むことを前提に、記録として書いてます。その時自分はどうなっているだろう。老眼にムチ打ってスマホを遠ざけて持ちながら、人差し指をぷるぷるさせてレジの前で凍っているのでしょうか、鼻の穴を広げて口をへの字に開けて。それはそれで面白いような。
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