炎の如く咲き誇るサルスベリ。ミソハギ科という超マイナーリーグ所属。近くで見るとほんとキテレツな花ですねえ。
暑さに強いはずのハマナスがクタってます。気候は炎暑に逆戻り。最近にしては珍しく、涼しいのは三日だけという予報が当たりました。予報士の皆さんごめんなさいイヤミではありません。そもそも気象庁が提供する元データが猫の眼のように変わり、コンピューターの作る予報図も数時間で雨が晴れに化けたり。要するに予期するのが難しい天候の夏だったと、そういうこと。
水戸は相変わらず雷雲が避けて通ります。ひと雨欲しいなあ。
突然セミが降ってきたり
タマムシが横死していたり。熱気に虫とて無事ではありません。とにかく暑い夏でした。同じ猛暑の去年、水戸の9月の日ごと最高気温は 20 日まで連続 30 ℃超えでした。今年も覚悟しよう。
さてこれはマタタビ。正確にはマタタビの「虫えい果」、漢方名「木天蓼子もくてんりょうし」。ネコ科を狂わす魔の果実でございます。先日のカエンタケを見た花園で、帰路の道沿いに大粒のが落ちてました。タイミングを失すると大きいのはみんなイノシシに持って行かれますから、今年は上手く入手できたほうです。いえね、過去記事の
マタタビ酒の作り方 採取、処理、保存、漬け込み - ジノ。 (リンクしてます)
↑ コレへのアクセスが急に増えたので、ああその季節かと気付いて道沿いを注視していたんです。この記事もし未読でしたら、マタタビに関することは大体書いてありますのでぜひご覧ください。実は私の冬支度。
沸騰したお湯にくぐらせて
ベランダで新聞紙に広げたらナイフで四つ切にして乾かします。海風がよく吹く水戸の午後、熱風がいい仕事してくれます。
この季節にマタタビを調整するときに注意すべきは、とにかくカビさせないこと。夜に出しっぱなしにしたり雨に当てたりしたらアウトです。カビたものは絶対に使ってはいけません、カビはどんな化学物質を分泌してるかわかりませんから。あの「紅こうじ事件」でも、原因は混入したアオカビの生成する物質でした。私は陽が翳ったらすぐ取り込んで、冷蔵庫に保管します。
翌日も良く晴れて
だいぶ干しあがりました。
3日目。こんなに縮みます。
大体完成かな。これをよく揉めばヘタやらムシやらが落ちます。長期保存もできます。今年はもう漬けてしまおうかな。こうして出来上がるのが私の冬の供、マタタビ酒であります。
ちなみに、先の記事では薬酒としての効用を書きました。疲れた旅人に飲ませたら元気になってまたたびに出た、というシャレが名の元とも言います。でもこれが絶大な効力を発揮するのは…… もちろんネコ。犬猫をお飼いの方は「食べさせちゃいけないもの」をご存じですね。肝臓の解毒能力が高いヒトと違って、ペットは苦手なものがいっぱい。マタタビに含まれる数種の化学物質は、ネコ科動物には麻薬のように作用します。
昔、涸沼川沿いの船宿の離れに住んでいた頃。うっかりマタタビ酒のほんの一滴をベランダに垂らしてしまったことがありました。さあ大変。それから1年以上に渡って、潮風の吹き抜ける我がベランダは近所のネコの集会場と化してしまいました。窓から見ていると、どこからともなく現れたネコはあの一滴こぼれたコンクリをぺろぺろ舐めて、気持ちよさそうにそこらでごろりと転がります。次々とそんな連中が表れて、爪を研ぐわおしっこするわモー大変。何度追っ払っても来やがるし、私が仕事に行ってる間なんかやりたい放題でしょう。ほとほと懲りて、以後マタタビ酒の扱いには気を付けてます。この時のブツはまだ知識が無かったこともあり、虫えい果ではなく正常な実を漬けたものでしたがこの騒ぎ。さあホンモノのマタタビ酒ならどういうことになるか。あたりかまわず爪とぎして踊って飛んでおしっこして寝ころんで、サバトの饗宴もかくやという騒ぎになってその場は罪とケガレに覆いつくされるでしょう…… うふふふ。
我が親愛なる読者の皆さま、なんか悪いこと考えませんでしたか。そうです、もしこれを憎いやつの門前に、家の壁に、車に、心を込めてぶちまけてやったなら、うふふふふ。さぞやダメージを食らわせることができるでしょうぐへへへへ。
やっちゃだめだよー
言っておいてナンですが、ほんとシャレになりません。あるネコ好きの女性が私から虫えい果を一個手に入れて、家の門に擦りつけたことがありました。たぶん、近所のネコたちが遊びに来てくれるようになったらいいな、くらいの気持ちだったのでしょう。結果は…… はいご想像通り、サバトとまでは行きませんが家の門が上記の私のベランダのような惨状を呈するようになりましたとさ。めでたしめでたし。
念のため言っときます。私もキライな奴はいっぱいいましたが、マタタビを使ったことはありませんよ。自衛のためと称して密かに武装する人はいますが、実際にそれを使っちゃう人はいません。同様にこれは、実はボクはコワいことができるのようふふうふふと独りごちながらちびちび飲むためのものです。だから、ある日全国ニュースで「水戸駅に突如ネコが集まって踊り出し、JR線と駅前交通が動かなくなりました」なんてのが流れても決して私の名を出すことのないように。ボクじゃありませんよー
ちなみにペットショップで売っているマタタビの小枝は、成分の含有量が虫えい果とは比較にならないほど微量ですので日常的に使って大丈夫と思いますが、虫えい果の粉末ってどうなんでしょう。異常に興奮したりしないの? ネコ飼ったことないからよお知らんけど。
そして夏は行く。皆さまもどうかご自愛ください。
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