ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

駅前のカラス使い

 

 今日の、本当の話です。

 


 日課のお散歩で、水戸駅南口。2階の高さに広場と通路があって、これをペデストリアンデッキと称します。

 


 ここから南に延びる大通りの遥か消失点を見ておりましたら

 


 バサバサ、ガチン。目の前の高さ2メートルほどの街路灯の上にカラスが降り立ちました。私の顔から 50 センチの距離に。

 


 驚いたりすべきところでしたが、なぜかそっと声を掛けてしまいました。なんか用かい、とかをぽつぽつと。そのカラスはきょろきょろと、まあカラスですから落ち着きなく、でも逃げません。ヒトの語る言の葉を、聞くともなしに聞いているように見えます。私のいく言めかに、そのカラスが咥えてきたものでしょうか、足元に置いていたものをついばむと、その一片を私に放ってよこしました。そして一声カァ と。え? 何? くれるの? …… その後は慣れたのか互いに人語とカラス語で声を交わして、やがて飛んでいきました。

 


 何なんだ。何を気に入られたんだ、わし。

 

 
 昔から犬と子供にはこういう好かれ方をしてきましたがまさかカラスとは。黒ずくめの姿に親近感を覚えたのかも知れません。


 それよりも問題なのは、何百人もの人が行き交う朝8時 30 分の駅前広場で、黒い男とカラスが楽しげに会話していたことです。どこからどう見てもカラス使い。この世ならざりし者ってか。写メなんか撮られてねーだろーな。

 


 週2回のこの時間、ここで道の消失点を見るのは目の鍛錬のためです。カラスが広場を飛び交っているのは知ってましたが、ずっと見られていたのだろうか。そういえば図書館の入り口で逃げないカラスに出会ったことがありましたが、距離的に近いし同じ個体の可能性があります。頭がいいこの鳥は人の顔を余裕で覚えちゃうというけど、次回から待ち構えられてたらどうしよう。

 

           
 ヒトならざる者とのコミュニケーション。退職して以来の私の日々の目的は、社会生活ですり減らしたかつての感覚を取り戻し、自然との交歓を成すこと。今回の一件、カラスが寄ってくる程度には目的達成が進んでるなんて、そんな捉えかたをしてみようと思います。

 

 

 

 

↓ 図書館前の逃げないカラス。

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