ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

道なるもの

 

 4月は記事の更新が遅くてすいません。いえなんせ4月といえばテレビ番組の改変期でございます。我がタマシイの営み、深夜アニメの新番組チェックで忙しいのであります。ああ仕事辞めてよかった。


 深夜アニメ。今期もおびただしい数が制作され放送されてます。出版社がおっさんだらけの会議で決めた「本を売るため」だけの企画モノとか、とても明るい時間には放送できないようなインモラルな作品、呆れるような低予算アニメから若いスタッフによる意欲作まで玉石混交、50 作品に及ぶ新作アニメの第一話をチェックするのはまさに宝探し。そうです私が石拾いやフィールド歩きでしていることと本質的には変わりません。おカネがかからないというのもポイント高い。


 とにかく全作品の第一話だけはきちんと見てやろうと思うのですが、例えば「転生して勇者パーティの一員だったがクビになったので仕方ないからポンコツ女神と田舎暮らしを始めたら実はチート能力が目覚めました」なんてタイトル(本当にこういうのがある)のラノベ丸出しの出オチのテンプレだらけの作品は時間の無駄なので最初から除外です。出版社から低予算でこんな企画を押し付けられる制作スタジオも本当に気の毒だとは思うのですが。


 で、記録はきちんと野帳に書きつけてます。タイトルと共に

   ✕(一話切り)、   (とりあえず様子見)、

   〇(良作の予感)、  (初回からCMカット、ブルーレイ保存決定)

の4段階評価、そして感想をひと言。この感想がなかなか辛辣で、ふだんこのブログの文章を見てくださっている方は驚かれるかも知れません。いくつかお見せします。

 


出た、「今日は私の誕生日 」のセリフで登場する能天気なミニスカヒロイン。手アカにまみれた感動演出に稚拙な動画、品のない言動は「薬屋」の影響か。


凡夫が高嶺の花にボーイミーツガールというテンプレ。巨乳、ミニスカ、そしてスケベ設定。よくこんなもん思いつくなと感心。


攻殻機動隊SAC」の下位互換。ラノベには珍しいSF仕立てのミステリーもの。だがいかんせん原作の薄さを補完できてない。魅力のないキャラデザ、間延びした演出、ぎごちない動き。23 年前の作品に劣るという事実を知ってほしい。(追記)三話切り。背景美術と音楽は頑張っているが、「攻殻」だったら1話でまとまる内容が3話使っても埒が明かない。


まあとりあえず新番組ということでチェックした。それだけ。


いまどき「赤毛のアン」か。この局のアニメやドラマには時々空前絶後につまらないものがあるが、これもそのクチ。


ほらきた、暴力・イジメ描写。こういうのが好きな監督っているよな。しかし怪獣アニメだろこれ。トンチンカンな力の入れ具合。二流カントクがあれこれと詰め込み過ぎた。


魔女の血統とか鬼の系譜とかの伝奇モノを思いっ切りギャグ仕立てにするとこうなる。ある意味新しいし成功している。次回学校編でどうなるか。(追記)二話で昇格。アニメ見て大爆笑したのは何十年ぶりか。


初回から泣かせに来るとは。暫定今期一の良作。竹本 泉のキャラクターが動くのを 21 世紀に見ることができるこの幸せ。以後どう展開させるのかが気になる。

 


 おお吠える吠える。アニメ評価はふだんのブログ記事とは別人格で書いております。
 うふふふふ。


 さて、さすがに写真もなしにこれだけでは叱られます。久慈川の続報を少しだけ。相変わらず期待の雨は降りません。メノウが動きません。こうなると、昨夏から人が入ってない場所を探すしかありません。

 


 若草萌えいずる、ここはかつて大ナタで切り拓いて進んだ大原野。草が伸びていないこの季節ならなんとか歩けます。

 


 水際は葦の密林ですが背後の原野には「魔女のイラクサ」がびっしりと芽吹いています。ここにカナムグラやらクズやらが繁茂して、夏は人を寄せ付けません。

 


 イラクサが増えて喜ぶのがこのアカタテハ。これを食草にしています。私も好きなチョウなのでまあ喜ばしい。

 


 原野の中に不思議な光景がありました。こんな風に、菜の花が列を成して万里の長城のように続きます。なんだこれは。途切れ途切れに、黄色く甘く香る花の行列が確かにあるのです。しばし考え込みましたが、仔細に観察して、その根元が車のワダチになっていることに気づきました。たぶん昨年、ここに四輪駆動車で走り回るための道を作ろうとした人がいるんです。生い茂る草を薙ぎ払い、タイヤで地面を掘りまくって。まあ途中で挫折したようですけど。そして掘られた場所はつまりは耕され、雑草の根が無くなり、河原にあまねくばらまかれているアブラナの種子が芽生え成長できた。それがこの「菜の花の長城」の成因です。


 河原や海岸を好んで走りたがる人たちがいます。改造ジムニーが定番です。何人かに接触したことがありますが、いずれも幼稚で無礼で、まともな会話が成立しませんでした。そこにある動植物たちの生活などもちろん考慮の外で、アジサシの巣を踏みつぶそうがカヤネズミのねぐらを吹っ飛ばそうがアカウミガメの子の海への道を閉ざそうが、意に介しません。「道づくり」はヒトの重要な営為の一つですがこの人たちの所業はそこには含まれません。個人的な欲望、低俗な本能による行動の結果であって、人々をつなぎ文化を伝える「トレイル」では決してないのです。

 


 なんてことをぐだぐだ考えながら葦原でナタを振るっていたら河原に出てしまった。誰の足跡もありません。いざ、と気合いを入れて探しましたが、メノウも珪化木もただの一個も目にすることはありませんでした。

 


 高さ5センチのアブラナと目が合ってしまった。石に挟まれ泥土に立つ貧相な姿で、でも強い目線は生きる希望を失っていません。こんな風に野外の生き物に教えられることが多々あります。

 


 アブラナの花粉。「長城」を越えるとき付いた。

 


 次に降り立ったのは「ジムニー河原」。平日でもジムニーに乗ったジジイが掘り返し、休日ともなればもっと多くの四駆が乗り入れる場所です。すっかりそういう「道」が付いてしまった。メノウが拾える貴重な河原ですがそのタイミングが難しい。幸い今日は犬の散歩の人しかいません。

 


 水中に赤い玉髄一個。流れてきたというよりは埋もれていたのが掘り返されたようです。

 


 なかなかの上モノ。

 


 これも掘り出されたもの。

 


 わずかですが赤縞があるのでメノウと呼んであげよう。

 


 本日3カ所め。いつぞや「竹の迷宮をゆく」という記事でご紹介した、濃密な竹林の中を迷路のように抜けていく「道」の果てに河原に出る場所です。心ある先人が、白いビニールテープで竹の間に人の通れるすき間を示してくれてました。ミノスの迷宮の、アリアドネの赤い糸のように。


 ところが白テープが見つかりません。以前に見たのは2年前でしたが、どうやらかの先人の往来が絶えて、白い道は消失したようです。さてどうする。


 当てにしていた道がないなら退くべきです。この河原でよいメノウを拾えたことはないし。でもそういう理性的な判断とは別の感情が沸き起こりました。幼稚で無礼で低俗な本能、ごく個人的な欲望。言葉を変えるなら、孤独で、不確かで、すこしピリピリする感覚。冒険の感覚。

 


 大ナタを手に踏み出します。あの道は竹林の「疎」の部分を縫っておりました。ぴたりそのままとはいきませんがだいたいは覚えていて、たぶん辿ることができます。ピリピリと、ああこのこの感覚はキライじゃありません。

 


 そしてとうとう白テープの痕跡に出会いました。おおよその道すじは間違ってなかったようです。

 


 無事河原に出られました。まあ帰りもコワいのですが。戻れるかなあ。

 


 赤い?

 


 おおお、この地で初めてのまともなメノウです。しかも赤いこと赤いこと。「迷ったら進め」という父の遺訓は正しかった。まだ生きてるけど。

 


 水中に白いの。

 


 ツヤの美しい玉髄です。これまでの不作ぶりを思えば十分すぎる戦果です。

 


 今回は道について考えることが多々ありました。


 私は週に 20 キロ以上歩いてますが、それだけ進めるのは「道」があるから。もし誰かが作ってくれたこの道がなかったら、私は見渡す限りの原野の中で次々と障害に出合い、そのたびに新たな解決策を考えるために歩を留めねばならないでしょう。


 思えば、日本の漫画やアニメが今の形になる「道をつけた」のが手塚治虫先生でした。かの人がつけた足跡は沃土の道となってその亡きあとも先へ先へと伸び続け、そこには新たな木々が次々と芽生えては太い幹を立ち上げ枝葉を広げ、見上げるような巨木の並木となりました。道をつけたひとの偉大さよ。

 

 

 

 

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