ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

夏のお勤め

 

 愚痴が半分、と思ってください。


 8月最後の土曜日、朝7時 発。今日は家人の運転するステップワゴン、私はナビ、快適です。常磐道北へ。仙台のあたりで何度か高速道の区分が変わるのですがとにかく道は一直線、3時間半後に「矢本」で降りました。宮城県東松島市矢本。ピンと来る方もおられるでしょう。ここは 航空自衛隊松島基地 のある町です。

 


 今夜のホテルのあるイオンタウンで離れていた家族と落ち合い、水戸から乗ってきたのと合わせてこれで家族全員が揃いました。まずは昼食を、と出来たばかりの道の駅へ。で、さっそくここの入り口で渋滞にはまってしまいました。この道の駅は矢本の町と松島基地の空が広く見渡せるように建てられています。航空祭は明日ですが、それに合わせて今日は矢本の町の夏祭りで、何と今日もブルーインパルスの展示飛行があるんです。食事のあとはここでそのままブルー見物としゃれ込むつもりでしたが、みんな考えることは一緒だ。


 渋滞、人ゴミ、行列、それを夏の炎天下に。真夏の音楽フェスとかに行きたがる人は、価値観という点で私と対極を成します。ええご自由にどうぞ。


 ところが我が家人、このブログにもしばしば登場し私を諫める常識人ですが、これが人ごみ平気、いやむしろ人の集まるイベントが大好きなのです。渋滞も行列も炎天も、その先にある楽しみを思えば無視できるつまりはそっち側の人間、鋼のマインドの持ち主です。私などがかなうはずがありません。そして実はブルーインパルスの大ファン、その本拠地である松島基地航空祭は絶対に外せないイベントです。春の頃に今年は行くぞ!と提案されたときに私は精いっぱいの抵抗として眉を曇らせたのですが、ほぼ無視されました。そしてああ、来てしまった。…… いえ、いいんです。それで家族が喜ぶなら。これは昭和の男の心意気なのだ。

 


 さて、東松島市の人口を遥かに超える人が集まる航空祭は、もちろん矢本の町最大のイベントです。空自の基地があるというだけでレアなことですが、何とここにはいつもブルーインパルスがいる。町の人もさぞや自慢なことでしょう、町じゅうにブルー関連のモニュメントやら看板やらマスコットやらみやげ物やらが溢れてます。

 


 道の駅の建て物、もう言わずもがな。カンカン照りの2階ベランダ席を確保する間も次々と車が集まって

 


 すぐ満車に。太陽にあぶられながら昼食を摂って、ブルーソフトクリームを食べながら待っておりますと

 


 始まりました。

 


 人は鈴なり、道は路駐の列。

 


 わああ、と歓声。

 


 ほぼ快晴の空を、縦方向の機動を含んだ「曲技飛行」でスモークが駆けていきます。


 サンライズという演目。

 


 ビッグハート。雲が被って見えづらいですけど、ハートです。ここを矢が射抜けばキューピッドという演目になりますが今日はなし。

 


 さくら。5機のT4が重なる円を描き、桜の五弁を表現します。今日は風のせいかスモークが散り勝ちでしたが、白い航跡が映えてました。家族が喜ぶさまを見ると私もうれしい。

 


 道の駅を後にして、次は野蒜海岸へ。以前の記事(最後にリンク貼っときます)にも書いた震災復興伝承館と、本当にこれだけは絶対に外せない、写真家・黒澤英介さんのギャラリー見学です。

 

  


 こんな写真を見せられてしまうと、自分でブルーのすごい写真撮ってやろうなんて気が失せる、そんな深い作品の数々。黒澤さんは正しい苦労を重ねた大人の人で、精緻な技術と人にも飛行機にも限りなく優しい心で対しつつシャッターを押し続ける、もはや存在そのものが神話レベルのカメラマンです。航空祭の会場でもすぐ人に囲まれてしまうので、あの場では自分の写真撮れないだろうなあ。


 イオンタウンに戻って夕食、そしてホテルへ。

 


 こういうホテルです。プレハブっぽい2階建ての建屋を並べて廊下でつないだ構造、部屋は基本シングルで設備は最小限ですが私のような者には快適至極。宿泊料はこの航空祭の時だけお高くなりますがそれでも一泊1万円でお釣りが来ます。満室になるのは年に一度のこの時だけ、あとは基地の工事関係者の長期滞在があるくらいでしょうか。閑散期には建屋をつなぐ廊下を閉じれば維持費も減らせるし、実に合理的なのが気に入りました。定宿にしてもいいかな、なんて。

 


 黒澤さんがここに泊ることはないだろうけど、地元の名士ということで色紙が。サインには気さくに応じてくださいます。


 さて2日目、いよいよ航空祭当日。

 


 おるわおるわ4万人。ただ入場口の手荷物検査は手際よく、入場はスムーズでした。日焼けした隊員さんが笑顔で迎えてくれます。

 


 昨日と打って変わってどんよりとした曇り空です。松島基地航空祭は天候に恵まれないと聞きますが、それは8月最後の日曜という日取りが悪いと思う。天候が不安定な時期です。秋にすればいいのに。

 


 迎える側もてるてる坊主を吊るしたり。

 


 家人にブルーインパルスの格納庫まで引っ張って行かれました。

 


 震災の大津波で水没しました。盛り土をした今の場所に「曳家」で移動させ、さらに土台部分を継ぎ足して高くしました。だから変な場所にドアがある。

 


 今日はブルーインパルスのT4はすべて引き出してあって、前にF2戦闘機が展示してあります。先日の百里基地所属機の墜落事故を受けて、今日は飛行しません。

 


 ご参考に。ここは訓練基地なので、所属するF2は教官と学生が乗る複座のB型。

 


 ここで午前の部の展示飛行が始まりました。

 


 雲が低いので曲技はなし、演目は編隊連携機動飛行という、まあ基地上空を飛び過ぎるものです。いつも快晴の百里基地で曲技を見ているので、まあ、何というか。仕方ないんだけど。

 


 昭和少年の胸をアツくするF86 F戦闘機。


 家人に引き回されるのに疲れたので、ここから別行動にしました。とにかく人、人、ひと。トイレの行列に並ぶこと 30 分。

 


 この屋台に並んだら何と 50 分を費やしました。ぐだああ。

 


 その間にF 35 の訓練飛行は終わってしまった。


 


 そして午後のブルーインパルス。歓呼の声で離陸に向かう…… ようだけど、人をかき分けてこれ以上近づくのはイヤ。

 






 雲の状況は変わりません。ブルーは編隊飛行で何度も上空を飛びます。残念ながらこの晴れ男にも雲を割ることはできませんでした。そのために連れてこられたんだけどなあ。前回、私が会場に来なかったときはどしゃ降りの雨になったのでそれよりはいいか。

 


 もし今日が昨日のように晴れていたらどうなっていたか。曲技飛行は見られた、でも基地内のコンクリートは表面温度 50 ℃に達し、倒れる人続出だったことでしょう。現にこの天気ですら救急車が何回も出動し、巡回していた隊員さんまでもが倒れて大騒ぎになっていました。これはこれで天の配剤であったかと。ねえ本当に、来年は秋にしませんか。

 


 ブルーの展示飛行が終わると、まだプログラムは残っているのにぞろぞろと人が帰り始めてしまうのはいずこでも同じ。防空装備の展示を説明していた隊員さんごめんなさい。

 


 高速道入り口はやっぱり大渋滞。それを見越して、私たちは会場まで歩いて行けるホテルを取ったのでした。


 3日目月曜日。9月になってしまいました。今日は無事に帰ればいいだけ、のはずが家人がまた例の道の駅に行きたいと。みやげと、あのブルーソフトをもう一度食べたいんだと。気に入ったのね。ええ、ええ、どうぞご自由に。はああ。

 


 ここにも黒澤さんの写真が使われてました。

 


 おとといは混んでいたレストランも今日は広々。で、この天井の照明なんですが


 これまたブルーのスモークを模していて

 


 窓に映すとほーらほら。ちなみにガラスに貼られたシールも尾翼を模してます。5号機が背面飛行してるなんてシャレまで。

 


 いいコピーだなあ。


 で、ようやく帰路に就いたわけです。はああ、苦行であった。家人は上機嫌です。で、やっぱり恐れていたひと言がその口から出ました。


 来年も来ようね。


 これが来年もか。来年は晴れてしまうぞ。わし生き残れるか。何より毎年の行事になってしまったらどうしよう。…… 考えないことにしよう。以上、今年の夏のお勤め紀行でした。

 

 


↓ 前回は秋でした。

百里基地で見たブルー。

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