ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

有賀さんのご利益

 

 1 1 月 1 1 日朝7時ころ、国道の方からスピーカーで何かを告げる声が聞こえます。と同時に雅楽っぽい和笛の音まで聞こえて、神社のお正月みたいです。すぐ通り過ぎました。


 何だかなぁという話で私にはつむじ風が通り過ぎた程度の感慨しかなかったのですが、家人があれは「有賀さん」ではないかと言い出しました。おおお有賀さん。途端に半世紀以上前の光景が瞼に浮かびました。ローカル妖怪の名ではありません。


 有賀さん、正しくは 有賀神社のお磯下り と申します。水戸西部、イオンモールの近くに有賀という土地があって、そこの村社が有賀神社です。古来「虫きり」、つまり子どもの夜泣きやかんの虫(って何だろう)にご利益があるとされ、近郷近在の子を持つ親の信仰を集めてきました。そのご祭神が大洗磯前神社の神さまの娘で、年に一度親孝行のため大洗に下る、そんな行事なんです。早朝に有賀を発った氏子一行はご神体の収められた祠を車に乗せ、これを引きながら大洗まで数十キロを進みます。途上の町ごとに車を留め、待っていた人々にお札やお守りを授けてまた進みます。有難くも大変な神事です。昔はうちの町内にも停留点があって、ご神体が来るのは早朝でした。私もごく幼い時分、まだ暗いうちに起こされて母の背でお参りした覚えがあります。当時はリヤカーのような粗末な「車」で、氏子の皆さんは本当に「引いて」ました。でもご神体を囲む大変な人出で、きっとこの「お磯下り」の沿道に暮らす人々には厚く信仰されていたのでしょう。社伝では大同2年(807)から続いているそうです。すげえ。


 とはいえ時代は変わります。国道は早朝から車が多くなり、ご神体の車を停められるような空き地も少なくなりました。うちの町内の停留点もなくなり、トラックに乗せられるようになった「有賀さん」はただ通り過ぎ、人々からも忘れ去られています。そんな地域ローカルな神事をおい我が家人、よそ者のキミがなぜ知っておるのだ。なんか怖いぞ。


 その日は週2回の「駅歩き」でした。ご神体を追う方角になります。懐かしさもあって、途中で出会えるかなと思いつう歩き始めたら

 


 末広町で追いついた。


 氏子さんのひとりにご寄進を申し出たら、千円でお札かお守りを頒布しているのだと。おおそれは有難い、ぜひ。

 


 半世紀以上ぶりに有賀神社のご利益をいただきました。うふふ、何が出るかな。さらにこちらもおひとつ、と小粒ながら色鮮やかなユズが手渡されました。氏子さんのお宅で採れたものかな。茨城の天地の恵みの象徴です。これもまた有難い。


 この日は駅まで歩いて、スタバにも図書館にも寄らず、駅南や旧県庁の紅葉の写真を撮りました。なかなかいいモノが撮れたと上機嫌。家まで戻るとすぐ、今度は愛車に乗って再出撃です。行き先は笠間市茨城県陶芸美術館。私の大好きな陶芸作家、田崎太郎さんの個展が開かれているのです。なんとなんと、以前に常陽史料館での個展を記事で絶賛したら、作家先生もその記事をお読みになっていて、今回はじきじきにご案内をいただきました。任せてください、今週行って記事にしますてなことをお約束してしまった。うふふ、行かねば。

 


 で、田崎太郎展で 200 枚以上撮って、意気揚々と帰還して、ソニー・アルファのSDカードからさあ読み出すぞという段階になって…… いったいどういう操作をしてしまったのだろう、今日一日のすべての写真データが壊れてしまいました。


          うわあああああ。


 嘘だろおい、冗談じゃない。今日一日が消えたぞ。コンデジの写真しか残りませんでした。以前にもこういうことがあって、復旧にも失敗しました。あああなんてことを。

 


 決してカードのせいではありません。私の操作ミスです。


 落ち込んでいる最中に、今度は階下の台所でひと騒ぎが持ち上がりました。老母がシンクの水道を壊した。


 ゴラアアァナニやっとんじゃこの〇ソバ……


 すいません言葉が乱れました。人呼んでグランマ・ザ・クラッシャー「壊し屋ばあさん」です。この人に壊せないものはない。靴箱のスライドドア、トイレの鍵など、数々の破壊実績があります。ショッカーなら大幹部に出世できるレベルです。ホント何してくれる…… いえ、半世紀前に私を背負って有賀さんに詣でてくれた人です。これ以上言ったらバチが当たります。

 


 ひと悶着終えて、ああ疲れた。もはや夕刻です。そういえばカバンの整理がまだでした。私はその日使ったバッグ類の中身はいったん全部出して片付けます。


 ぽろん。


 有賀さんのお守りが転がり出ました。そういえばこれから始まった一日でした。ご利益あったのかなあ。これ「かんの虫」のお守りだしなあ。

 


 一緒にもらったユズは、今も傍らで芳香を放ってます。

 

 


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