ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

秋の名残の天の青

 

 雪の降らない茨城の冬も、色彩が乏しいことに変わりはありません。そんな冬が始まります。枯れ木立の間を銀狼の群れのように冷たく乾いた風が吹き抜ける季節です。


 いつも 1 1 月に野に出て、リンドウの花の鮮烈な青の光を網膜に焼き付けて、彩り溢れる生命の季節に別れを告げる、そんな儀式めいたフィールド行をしておりました。今年は機を失した。間に合うか。

 


 うわあ、機を失したどころではありません。自然公園であるところの「いつものフィールド」、今年はススキやオギの穂が出そろうというタイミングで草刈りされたようです。セイタカアワダチソウの花期なので適切といえば適切ですが、同時期に花穂を出すアキノキリンソウ、センブリ、そしてリンドウには打撃だったことでしょう。公園管理の一端なので文句は言えません。どこか刈残しの場所を求めて、咲き残りの花を探しましょう。

 

         
 刈られ倒れた草草の中からただ1本だけ、貧相なノハラアザミが佇んでいました。顔色はよろしくない。これ以上カメラを向けるのは酷なことかと思うほどに。

 


 色鮮やかなオオモミジ系。園芸種を軽んじ野生種を貴ぶ、少々歪んだ価値観のワタクシでありますが、こんな植栽されたものにもちゃんと心が動きます。

 


 少し離れた、人の動線から外れた広場へと歩いていきます。あそこは草刈りなんかされないはず。その移動中の森の中で、赤いマムシグサの実と毛むくじゃらのポーチが妙な対比を見せながら落ちてました。

 


 ようやくたどり着く、草ことごとく枯れ果てた広場。荒涼とした風景の中、それでも枯れ残るワレモコウが所在なげに立ってます。

 


 まだ開花状態の花穂を選んで接写。この花の構造からバラ科と看破した昔の分類学者は本当にエライ。今どきの研究者の、こぎれいな研究室でDNAから「新種発見」して喜んでいる人たちに…… なんて言っても詮無いよなあ。


 そんなことを考えながら枯れ野を歩いておりますと

 


 見つけました。オギの葉に埋もれつつ空に向けて最後の気を吐く青きもの、今年最後のリンドウです。

 


 はいはいモブの皆さんはどいてくださいねー。おのれの写欲のためならまわりの草葉を折ったり踏みつけたり平気で出来ちゃう、それがワタシ。さあ撮るぞ。

 


 ことのほか青みの強い個体です。まさに天の蒼。

 


 雌しべの柱頭がこんなねじれていること、初めて知りました。

 


 撮ったり、リンドウ。これで心置きなく冬を迎えられます。

 


 ノハラアザミが咲いていて、ここのは陽を浴びて思いっきりの笑顔に見えました。接写でえくぼまで写しちゃおう。

 


 車のシートにコナラの葉が一枚、ちゃっかりと乗り込んでいました。…… 思えば家族のあれこれで振り回された秋。俗世を離れて生きるという境地にはなかなか至れません。もちろんそんなことは贅沢でしかないのだけれど。

 

 


↓ ボクの冬の始まりは、ヒートテックのタイツをはいた日

↓ 納得いかないこと。