ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

おまえは誰だ

 

 さあ本来の「ジノ。」っぽい記事の再開です。


 さっそくですが

 


 ネンザしました。インフル感染より前、1 1 月前半のお話です。

 


 玉川支流のそのまた支流、まだ歩いたことのないあたりでした。完全に護岸された用水路、まず良いメノウなんか期待できない場所ですが、ないならないでそれを実証しなければなりません。


 科学においては、ある事象が「ある」と言うのは簡単です。膨大な実験や調査を繰り返し、ただの一度、たった一つの事例でもそれが見つかれば「ある」なのです。逆に「ない」は難しい。結果が出ないことを前提とした実験や調査をいつまでも無限にし続けるという、賽の河原で小石を積み続けるような作業を延々と繰り返すのです。もちろんみんなどこかで適当に切り上げるかごまかすかするんですけど。


 で、この支流での玉川メノウ。とにかく今日一日で結論を出しちゃいましょう。

 


 まーホントに用水路。わずかに小石が堆積した河原とも呼べないような一隅を探しますが

 


 この程度の玉髄のかけらがわずかに。腐っても玉川よのうフォッフォッフォくらいの誉め言葉しか出てきません。このまま本格的な労力を投入しても相応の見返りがあるとはとても思えません。早々にココだめよーと結論しちゃいます。

 


 とはいえ動植物にも思わぬ発見がある玉川です。せっかくなのでもう少し歩いてみましょうか。…… なんて思った途端、この視界のすぐ左の水路の中に突っ伏してるキツネさんのご遺体を見つけてしまった。写真は自粛します。

 


 庭にひともと、ナツメの木…… ってのが古い歌にあったな。

 


 路地のナツメはほぼ虫に食われてますけど、この有用な実がたわわに生っているのを見ると心が豊かになります。

 


 いつの間にか川沿いに戻ったところで

 


 お?

 


 わああ見つけてしまった。これでこの地はメノウが「ある」に分類されてしまいました。

 


 まごうかたなき玉川赤メノウの上モノです。

 


 透過光でもきれい。この手の玉川メノウは蛍光を発しないのが通例ですけど

 


 隅っこの晶洞部分のオパールが美しい水色に光りました。こういう予想外があるから面白い。


 良いのが拾えてしまった。これでこれからはこの支流も巡回しなければなりません。なんとなく厄介ごとを背負いこんだ気分です。


 それでもう少しちゃんと見ようと河原に降りて、慣れぬ場所とて這い上がるさいに手首をひねってしまい、冒頭の捻挫となりました。何をやってんだか。


 この日のフィールドはこれだけでしたが、家では毎日のように騒ぎを起こす両親、次々と職人が入る修理工事、とどめにインフルエンザと、ドトウのように「生活」が続きました。一段落ついたと思えたのが父のインフルエンザ入院。不謹慎な話ですがようやく一息です。さて身辺のお片づけをしよう。

 


 というのでこれは、書斎周辺に散らばっていたメノウ類。記事にする余裕もなかったわけですが、せめて分類整理だけでもやっておこう。ええと、コレとコレはあの時の海岸で…… なんて感じで一つずつ除けていったらば

 


 出所不明のこんなのが残った。誰だおまえら。

 


 誰だというのは愚問です。どこからどう見ても典型的な玉川メノウです。
 ① 白色不透明、いつもバイカル湖の氷に例える蛍光オパール
 ② 晶洞が赤い縞で囲まれた文字通りの赤縞メノウ。
 ③ 巨大仏頭状構造。


 先の赤いのもそうでしたが、いずれも玉川で見られるメノウのいくつかの分類の、それぞれの見本みたいなの。玉川で得られたもので疑う余地はありません。問題は、それを拾った記憶も記録もすぽーんと抜けていて、それを手にした感覚をひとかけらも憶えていないことなんです。ものすごく不気味です。行動記録をよく調べたら確かに一度、玉川方面を通過しています。機会があったとすればこの時です。でも自分でも信じられないことに、写真一枚も残していないのです。何でもかんでも記録する性癖のこのナチュラリストが、です。野帳が泣くぞこら。


 とりあえずお写真を。まずは白色オパール

 

 赤縞メノウ。


 巨大仏頭。


 かなり個性的なメノウたちですが、写真に撮ってみてもやはりその出合いを思い出せません。あああ気持ち悪い。そこだけ切り抜かれた記憶。…… ナチュラリストとは、記録はもちろんですが、驚くほどフィールドでのことを憶えているものです。今ここにある沖縄のツマベニチョウの標本。ひと目見ただけであの日あの場所の空の蒼さ、森の熱気、風の匂い、花の香り、木々の葉ずれ、同行人の顔。いずれもそれが現実であったことの証左のように鮮烈によみがえります。それがないんです、今回のメノウには。



 インフルエンザの発熱による記憶の混乱でしょうか。家事多忙の中で長期記憶に残らなかったのでしょうか。認めたくないけど齢のせいなのか。これからこういうことが増えるのか。あああ。せめて覚悟と備えだけはしておこうと思います。

 

 

 


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