磯崎 新いそざきあらたという建築家をご存じでしょうか。代表作のひとつとして茨城県のつくばセンタービルが知られます。でも水戸の者には別の思いが。そうです水戸に

コレを授けてくれた人です。


亡くなって数年、そのゆかりの水戸芸術館で回顧展が開かれてました。すいませんもう閉会です、うふふ。

東大建築学科卒で始めから人を使う身分、食うに困ったこともなく人に怒られたこともない、目立つ容姿で弁が立ち文才もある、まあなんとも可愛げのないお方。こういう、庶民が四苦八苦する浮世を高みから見物しているような身分の人もきっとこの世には必要なんでしょう。そういう視点でなければできない仕事もある。なんとなればこの大先生の作品、どれもこれも見事なまでに「 壊れ映え 」するんですうふふふふ ♪ さあそういう基準で見て参りましょう。

平日なのに結構な人出です。会期が終盤ということもありますが、そのビッグネームぶりがよくわかります。皆さん水戸にようこそ。

最初に触れねばなりません、水戸芸術館、

…… のタワー。もはや水戸のシンボル。以前にも書いたように「水戸で千年後にも残っている建てもの」の筆頭です。チタニウム製の外壁は三千度の高温にも耐えます。どうやって取り付けたのか知りませんがどうやって取り外すのかも、その費用を含めて想像がつきません。どんな状況になろうともこれはここに立たせておくしかないでしょう。周囲がガレキになろうとも。

想像してください。この塔が苔むし、草葉で覆われ、途中から生えた何本もの木がにょきにょきと虚空に手を伸べる姿を。廃墟と化した水戸の街でチタン合金の駆体は朽ちることを知らず、ただ燦然とその雄姿を屹立させ続けるのです。ああ私にもう少し絵心があったなら。


水戸芸術館は磯崎が好んだいくつもの様式の寄せ集めです。まあどれも贅を尽くした分、壊れた姿が絵になることでしょう。タイムマシンでその姿が見たいぞ、いや本気で。

そして茨城ならこれも外せません、つくばセンタービル。私はこれの竣工直後に周辺をうろついておりました。ただ今のような視点は持ち合わせておりませんでしたので、心新たに再訪したい気分です。たぶん、磯崎自身が「廃墟化」をイメージしていると思う。

この広場、戦隊やライダーのロケ場所として有名です。
建築は実物を見ないとわからない。当然のことながらこの回顧展は模型展示が中心なので、どこまでその本質を捉えられるか。…… なんて難しいことは抜きで、感覚のままにシャッターを切りました。以下ごゆるりとご覧ください。


空中都市。


海上都市。ドバイにこんなのありますよね。

これなんだっけ。

これで一般住宅。施主が蒸発して実現しなかったと笑。こんな建物内に球を浮かべた構造、バブル期にあちこちで模倣されました。とどめがフジテレビか。

北九州市立美術館。

大分県医師会館。現存しないそうです。すごく気に入って何枚も撮ってしまった。

ディズニーの本社ビルだって。うん、アンチディズニーの眼には廃墟が見えるぞ。

東京都庁コンペ出品作。落選前提で、敢えて超高層という条件を無視して。けっこう骨のあることしますね。実現した双耳峰ビルより、この方が重々しくて都庁らしくも思えます。
いま評判(らしい)隈 研吾の建築を、読者の方に紹介されて以来いくつか見に行きました。磯崎と同じ東大建築学科卒の建築家です。何というか、その設計の「理」は伝わるし、よく「計算」がなされているのもわかります。でもそれ以上がなかった。私のゴーストを震わせるものがない、言い換えれば「壊れ映え」しない建築でした。磯崎 新にある無駄とかバカバカしさがなかった。時代が違うし予算のケタも違う、仕方のないこととは思います。いや本当に磯崎センセーときたら



どーすんのよこんなもん建てて。

壊れ映えとは別に、個人的に心動いたもの。砂漠に建てた方丈、3 m × 3 m 。生活は無理でも、好ましい建築と思えました。何百億円の仕事ばかりじゃないんだ。深いなあ。
ちなみに建てものが廃墟となり草木を生やした姿、超が付く現実主義者の我が家人には想像できないというか、理解できない概念のようです。読者の皆さまはいかがでしょう。
↓ 壊れ映えとは。