
花神が、木々に目覚めの吐息を吹きかけながら南から北へと駆け抜けていきます。その様子をさっきまで世界の独裁者たちの蛮行を報じていたニュースキャスターが嬉々として語る。日本人が心の奥に共有する文化、豊かな自然観というものを実感します。いい国に生まれたもんだ。
ささやかな我が庭を語る「王国」記事、昨年 12 月以来となりました。真新しいものはありませんが、春の便りが不興を買うことはありますまい。

まずは毎年私が執心する初スミレ、今年はヒメスミレでした。山野を出歩かなかったこともあって、足元のこの小さな、そしてしたたかな濃紫の花にその栄誉をあげましょう。野外で採ってきた種からずっと代を重ねてくれてます。
隣地の古い木造アパートが取り壊されて更地になったとき、広告や看板が出る前に現場監督さんに声をかけて一区画を即金で買ってしまいました。我ながら思い切ったことをしたものです。駐車スペースにコンクリ敷いた以外は家族に使い道を任せたら、最初は父が畑を作り、父の力が衰えてからは家人がそれを引き継ぎました。花の種もいつの間にか撒かれていて、名も知らぬ園芸種がとつじょ開花して驚かせてきます。



スイセンが何種類も埋められていて、時期をずらしながら次々と開花していきます。

スノーフレークは早くから咲いてます。

ジンチョウゲも春早く咲く花です。

ムスカリ。個人的には昔の呼び名「ブドウヒヤシンス」にも郷愁があります。

我が家でクリスマスローズはあまり好まれません、老母以外には。

ヒマラヤユキノシタはぜんぜん大事にされていないのにアッパレ、咲いているではないか。生命は強い。

こんなのもあるんですよ。鉢植えでいじけてたイチジク。まず結実はしないだろうとたかをくくっていたら、昨年は小さい実(花)をいくつも付けました。

花壇のひとすみ、直径 30 センチくらいの範囲でゼニゴケすら生えず土がむき出しの場所があります。理由はこれ、オオバギボウシが夏のあいだ密に葉を茂らせるから。なんだか紫のタケノコみたいな芽生えですね。

オダマキもいつの間にか茎を伸ばし、もう花芽を付けました。

パンジーはひと冬、苗のまま吊り鉢に放置され鉢の芯まで凍結乾燥しているように見えたのですがわあびっくり、ちゃんと生きて成長して開花しました。

虫嫌いさんごめんなさい、一枚だけ。この日、よく晴れてはいましたが強い北風が吹きまくり肌寒く感じました。どこかで成虫越冬していたヒラタアブが一匹、風で煽られるパンジーの花に必死にしがみついて身体を温めていました。いつも言ってしまうけど、身一つで生きる切なさを想います。

植物というものは、陽光と気温が5℃以上あれば成長できるものらしい。素直に驚いてしまう寒がりの私です。というわけで、北関東とはいえ雪のない茨城では冬でも作物が育ちます。おもにアブラナ科、あとネギやらホウレンソウやら。極寒の朝をいつくも越えながら着実に身を太らせ葉を更新するさまはもはや魔法でも見ているようです。写真はハクサイ。ひと冬鍋の具や漬物の材となって我が血肉を養ってくれました。さすがにトウが立って花芽が出たのですがそれすら菜花としておひたしに。

こちらはブッコロリー、じゃなかったブロッコリー。サラダやスープの具でした。葉がぼろぼろなのはなぜでしょう。実は鳥めのしわざです。…… あ、古い茨城弁では憎らしい生物の名に「 め 」を付けます。スズメバチを「バチめ」、野良犬を「イヌめ」というふうに。…… で、過去記事にもあるように、我が王国では赤い実を壊滅させる悪党の役回りです。そしてその鳥は、この季節は野菜の葉を食い散らしやがるのです。周囲のハコベでも食ってりゃいいものをとは思うのですが、人間が食べても美味いものだしなあ。連中にしてみればただ生活してるだけ、でも私には夏のウリハムシと同じ扱いです。ハクビシンやアライグマにも狙われたし、ああなんで我が王国はこんな連中のエサ場になるんだろう。

エンドウの葉も狙われ始めたので防鳥ネットで囲いました。

ソラマメがもう開花しました。こういうわざわざ買って食うことのない作物は家庭菜園ならでは。いやホント、全植物体に対して食べる所の少なさったら。

雑草たちについても少しだけ。早春から初夏にかけての仇敵といえばこれ、ホトケノザ。厳冬の頃から少しずつ芽生え成長し、3月には咲いてます。今年は開花前のこれくらいから見つけ次第引っこ抜いているので目立ちません。

ここまで育ってしまうともう大変。すでに次代の種をまき散らしてます。よく見ればシソ科らしい綺麗な花ですが、これが郊外の畑や海浜公園・ネモフィラの丘を埋め尽くし赤紫色に染め上げます。ヨーロッパからアジア、日本まで分布するコスモポリタン、ヨーロッパ原産の史前帰化植物と表現する人もいます。逞しい生物であることは間違いありません。

さて見分けはつきますか。よく似たヒメオドリコソウです。これは明確にヨーロッパ原産の帰化植物。肥沃な土地を好み、瞬く間に早春の田畑の傍らを占拠しました。塀を隔てた裏の路地にあることは知っていましたが、とうとう侵入を許してしまった。

定着されると厄介。しばらく攻防が続きそうです。

攻防といえばこれ、セイタカアワダチソウ。周辺の空き地からなんぼでも種子が飛んでくるので、芽生えたのを見つけては駆除する、の繰り返しです。でこれは昨年の見逃し。枯れた植物体の根元から、今年の葉が出てます。駆除、駆除おお。

最後に、私の息がかかった者たちの今年の姿をご紹介しておきます。オキナグサは数年で大株に育ちました。今年はいくつ咲くかな。

ハマナス。市道を侵食しながら年々株が大きくなって、それを抑える私は年々劣勢に。何回も剪定し、冬にはすべて根元から伐ってバーナーで焼いて熱湯かけて。

それでも復活するこの強さ。

剪定した枝葉はいつも海岸で燃やす。この手間が楽しかったりします。

おなじみクサボケ。この朱色を見ないと春が来ません。これも逞しい植物なので油断はなりませんが、大事にしたくはあるのです。

ゼンテイカ、別名ニッコウキスゲ。昨年咲き初めた花を、その当日に老母の手で切られ絶叫しました。おかげで花に行くはずの養分が株に回ったようで、5株くらいに増えてます。今年の花が楽しみです。母から守り抜かねば。

ミツバアケビがもう花芽を開いてしまった。山野にあるものより数週間早い。野外で雄花を採って来て人工授粉させる、という小ワザができません。まあ結実しても今の我が家に食べる人はいませんけど。

冬の間にキツく剪定すると、翌春の花芽が片端から雌花になります。ダメージに対する種の保存本能でしょう。これもまた生きよ殖えよという創造神の命令にひたすら従う、つまりはこの世を必死に生きるものです。生命は尊い。
何とか我が王国の春の始まりに間に合ったようです。次はフィールドに出てみましょう。今年は何に出会えるかな。さあ花暦の始まりです。
↓ 2年前の王国の春。
↓ ハマナスの咲くころ。
↓ クサボケはこの家に住み始めてからの因縁です。
↓ 絶叫ニッコウキスゲ。
↓ 目玉もようが現れたり、実が大量収穫できたり、思い出深い。
↓ ブログ最初の記事です。最初から屁理屈ゴネてます。