ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

春の鶏足山、はじめの花

 

 '26年「春」シリーズ、続きます。今日は鶏足山。


 わざわざ「鶏足山にて」なんてカテゴリーまで作っておいて、記事は1年ぶり。その前の記事まではさらに2年の間隔が。…… 疎遠になった理由はちゃんとあるんです。1つは訪れる人が増えたこと。駐車場が何倍にも拡張されたら、その分だけたくさんの人がこの眺望絶佳の低山を登りに来るようになりました。私のような者には静かでなければ「山」じゃない。これが理由その1。2つめは …… これは最後にお伝えしますね。


 時は日曜、朝8時に家を出て、40 分ほどで鶏足山赤沢登山口着。10 年前なら 20 台分ほどの駐車場が埋まって難儀する時間ですが、今は駐車場のキャパがあるので大丈夫、と思ってたら

 


 はるか手前から路上駐車の列。

 


 そしてそれがはるか先まで。うわあ甘かった。

 


 駐車場が満杯です。空くのを待つハゲタカさんがぐーるぐる。私も一度回りました。

 


 赤いミニさん、確信犯だろうけどそこ出入り口だからね。あ、右に見えてるとんがった山が「赤沢富士」です。

 


 T字路のカドって、道路交通法に抵触するのでは。もう何でもありですね。はるばる埼玉から来て停められなかったで済まないのはわかるし、あえて責めはいたしません。誰だって自分のことでいっぱいなんです。私は土地勘があるのと歩くのを厭わないのとで、少し離れた別の林道の奥スペースに停めました。

 


 わかっておりますよ、この季節に鶏足山に人が集まる理由。ミツマタです。群生地があるのが栃木県側の谷底で、茨城側からは稜線まで登って、また降りて、帰路にもまた登って、降りて。往復の登り幅を足すと 400 メートル。しかも群生地では押すな押すなの人ごみ。SNSに「春の妖精に会ってきました 」なんて書いてる人は、きっとそういうのが平気な方々でしょう。私は御免です。

 


 傍らの清い流れにおじゃまたくし。たぶんヤマアカガエル。

 

      
 登る私はマイペース。多くの方が赤沢富士を目指すのを尻目に、林道を行って途中で一般コースに合流するルートです。

 


 埋められたマンガン鉱山坑口、にどうやら陥没の危険があるようです。十数年前まで開いてたのが、地元の方々の手で埋められました。以前に書いたけど、原因を作ったのはごめんなさい私です。

 


 ずんずん登って、富士山ビューポイント。今日は春霞の中でした。

 


 頂上です。正確には「地形図の三角点峰」。

 


 標識の下にカタクリとシュンランが咲いてます。「この花を守るために標識が立てられた」なんてしたり顔で話している方がおられましたが逆です。実は近年に植えられたものです。カタクリはこの付近に自生はありません。シュンランは稜線にたくさんありましたが、園芸ジジイどもに盗り尽されました。ここに植えられたのはそんな人たちの罪滅ぼしか、なんてうがってみたり。

 


 そして北側の展望峰。下品な大声で自慢話をわめく老人はもういません。静かなる頂き。


 いかんいかん、「花」がテーマの記事でした。

 


 ウグイスカグラ。懸命にレンズ上向きで撮っていたら、よっぽど奇異な姿だったのか妙齢のご婦人方( 50 代くらい)に声をかけられました。笑っておられました。まあ怖がられるよりはマシか。

 


 深山の令嬢、エイザンスミレ。ほんのり染まった頬の色がそこらの村娘にはないものです。

 


 キクザキイチゲ。紫花もあるはずですが、私が出会うのは白いものばかり。

 


 タチツボスミレからまた賑やかな撮影依頼をいただきました。ええ喜んで。

 


 テングチョウ。成虫越冬ですが4枚の翅に傷みもなく、端正な姿で春の陽を浴びます。

 


 おおニリンソウがもう咲いた。春だ春だ。

 


 ふとヒノキの落葉と落果に目が行きました。これにはこれの色です。

 


 マルバコンロンソウ。なぜこの草の名が「崑崙草」なのか由来不明だと聞きました。

 


 マルバスミレ。土が崩れて落ち葉に埋まった路傍にて。崩落地が好きという変わり者です。

 


 ミヤマカタバミ。明るい緑の葉と純白の花の対比が森の底で光ってました。

 


 ミヤマシキミ。ほとんどの株がまだつぼみを固く閉じた中で、この個体は少し気の早い者だったようです。

 


 その実。これもひと枝だけ残ってました。こう見えて猛毒です。

 


 ムラサキシジミの、これも越冬個体。無事に過酷な茨城の冬を乗り切りました。

 


 シュンラン! 鶏足山のはすべて団塊世代の園芸ジジイに獲り尽くされたと思ってました。まだ危険はあるので目立たずに、でも元気に生き抜いてほしい。

 


 場所によっては復活してきているようです。本当はこのブログで紹介しない方がいいのですけど。なぜかって?

 


 さあ鶏足山から足が遠のいた理由2つめ、申し上げましょう。これは昨年2月の記事でご紹介したものです。スギ林で、悪天候で枝から落下した着生植物カヤラン。地に落ちれば死にゆく運命なのを、心優しいナチュラリストの眼に留まりました。名もなきその人は数十に及ぶカヤランを拾い上げ、テープやフジのつるを使ってスギの枝にくくりつけて木々のあいだに立てかけてやりました。これからもこの森で生きていけと。ひと目見てそう理解し、少し眼がしらにうるんときました。この世界にはまだこういうことができる人がいるのだと感動し、ブログ記事でご紹介したものです。ああそれが。

 


 1か月後の同じ枝です。カヤランがすべてはぎとられていました。頭が真っ白に、というのはこのことかと思いました。あのカヤランたちは、誰がどう見ても人の手で救われたものです。あれだけの数を集めくくるのに、ずいぶんな時間と労力をかけたはずです。尊いこころざしと熱い腕を持った篤実のひとです。そう思えば、その善行のかたちそのものであるカヤランを持ち去ろうなんて発想は起こらないでしょう。あらゆる想像力と洞察力の欠如。こんな人の心の欠け落ちた人間がこの世界に同時に存在するというこの悲劇的な真実に声を失いました。これが、この驚きが、私を鶏足山から遠ざけた理由です。

 


 それはどこで何をしてる人間だろう。山盗りジジイは高齢化して、その活動は弱まりました。これはメルカリ野郎のしわざではないかと考えます。となると、このブログ記事が参考にされた恐れもあります。ああネットとはかくも人を悪行に駆り立てるものなのか。…… 最近、4年前の「弥彦山にギフチョウを見た」という記事が読まれてます。たぶんチョウマニアも参考にしているでしょう。そしてそれぞれが捕虫網を持って弥彦山に出かけて百匹ずつ採集する。やがて東京の高尾山同様、彼らの採集圧によって弥彦山のギフチョウが絶滅してしまったら、私も深く後悔することになるでしょう。削除すべきかなあ、あの記事。

 


 善意の皆さまには申し訳ないけど、希少生物やメノウの産地、これからは一層伏せさせていただきます。ああネットが怖い。

 

 

 

 


↓ カヤランの記事。

↓ ミツマタ群生地。

↓ 眺望絶佳、鶏足山。