
砂金採り、のお話などいかがでしょう。「採れなかった」というオチでよろしければ。
古い文献を見ていたら、砂金の採れる場所として土地勘のある大子町の沢が上げられていました。最近の地質ガイドには載らない場所です。
正直、砂金採りに良いイメージがありません。自分では採ったことがないというのもありますが、県外ナンバーのガラの悪い人が金山のある沢を荒らすのを何度も見ているので。
それに砂金はメノウやシーグラスとはまったく次元の異なるものです。それをネタにするとこのブログを閲覧するのがそういう次元の方々になって、間違いなく荒れます。だから「採れなかった」話なんです。
そも、私は砂金が欲しいのか。いいえ、それほどでは。もちろん採れれば嬉しいでしょうが、それはいくらにもならない金の粒の金銭的価値ではありません。自分で調べて知り得た「知識」の正しさ、それが証明されるというヨロコビなんです。何をキレイごとを、と思われるかも知れませんが、私が金銭に疎いことは広告のないこのブログやこれまでの記事からお量りくださいませ。

実は昨年 10 月、歩いて下見に行ってます。地図を見ると砂金の沢は狭い林道をくねくねと4キロほど登った山中です。機材もあるので、まずはどこまで車で行けるか確認のため往復8キロを歩きました。こういうことするヤツなんです。結果、現場まで安全に走行できると判断できました。
ではなぜ冬の間に行かなかったのか。これは常連の皆さまご存じのように、昨秋以来この半年間、両親の体調不良に振り回されたのでした。そしてたまたま通院・付き添い・面会の入らなかった平日、ようやく愛車エスクードの鼻先を大子に向けることができたのです。

はい、ぐだぐだの前フリはここまで。ずっとずっと気がかりだったフィールドに向かうこの高揚感よ。国道 118 号を快適に飛ばし、さあ林道入口はもうすぐだぞー。

…… え。

おいおいおいおい
またこのパターンですか。富岡橋でも新潟でもこのテの看板に進路を塞がれました。さあしかし今回は思案のしどころです。こういうのがすぐに解消されることはありません。人の日常に不便をきたさない林道の修復工事はあとまわしにされやすいし、そもそも問題の多い林道なので長期大規模工事のきっかけになってしまうかもしれない。放置されて廃道になる可能性だってあります。ここは引くべきではありません。行ける所までいってみましょう。昨年の下見が本当に役に立ちました。

慎重を期してゆっくり車を進めます。全開にした窓から木々の芽吹きの香りが吹き込みます。新緑と木漏れ日の美しさよ。

たちまち次の障壁が現れました。太いフジのつるが絡まり合って巨大な塊になったものが落ちて道を塞いでいる。おおお、どこまで私の覇道を邪魔するのだ。…… わかってます。これは警告。これ以上進んでもいいことないぞ、と。

でも私には私の意地があるのだ。ぬおおと大ナタを振るって排除しました。ああまた無駄な力を使ってしまった。でも冒険ぽくてちょっと楽しい。

結局、全行程の3/4ほど進むことができて、前方に崩れた現場が現れました。今回に限っては、いい判断ができたようです。

四駆でも踏破は無理。ここからは徒歩になります。いいえ、十分に距離は稼げました。


崩れた個所を見上げます。黒く斜めに走るのが「断層破砕帯」です。このあたりは古生代から中生代にかけて海底に堆積した地層でできていて、ところどころに砂金の集積地があるらしい。それが地質活動で大小の複雑な断層が入って、この通り崩れやすくなってます。ここはそういう林道です。仕方ありません。

でパンニング道具をリュックに詰め、大ナタとナイフを持ち、蚊取り線香を点けて熊鈴を鳴らして林道を行きます。小規模の崩れが次々と現れます。

おおこわ。

特に自分的に怖いのは、昔のエスクードならこれくらいの転石は乗り越えられたという「成功体験」です。今の愛車では絶対に車底にぶつける。ガーンて。軽はずみなことをしないように自分に言い聞かせています。今日は徒歩でよかった。

そして到達、ここの沢です。

パンニングの結果は最初に申し上げた通り。水辺のシダの根を引っこ抜いたり、大岩の影をほじってみたりしましたが戦果なし。勘どころが掴めないままで終わりました。そもそもこの程度の「採れたらいいな」的感覚では、この程度の気合いでは、砂金など採ることはできないんです、たぶん。

せっかく大子まで来たので八溝山に登りました。今日も眺望絶佳です。

森の中はさっきの林道同様に荒れてました。なに一つ思い通りに行かないフィールド行だったけど、久しぶりに森の気に触れることができてよかったと思っています。