【虫閲覧注意、でお願いします】

我が家のウメモドキ。駐車スペースのうしろに鳥の落としものから勝手に生えて、みるみる成長し、秋には鮮やかな紅玉を実らせて、赤い実大好きの私を喜ばせることで永住権を獲得しました。

本当はクチナシに与えた土地だったのですが、成長の遅いライバルを尻目に空間と日照を確保。6年前のこの写真で、すでに勝敗が決しているのがわかります。思いっ切り見下ろされてるのが哀れだなあ。

さてしかしこのウメモドキ。駐車スペースを圧迫するのはもちろん、大株になるほどにそのある意味困った体質が露わになって参りました。我が王国のサンショウとかスイカズラとかハマナスとか、ヒトに愛されるものが共通に持つ宿命なのでしょうか。すなわち、虫にも好かれる。

鳥に好かれるのは仕方ありません。もともとそのための赤い実なのですから。

嫌なのは例えばこれ。冬に葉を落として露わになる、カイガラムシの大繁殖。

ルビーロウカイガラムシです。インド生まれの大害虫。天敵はまだ水戸に来てません。

いつぞやローソクにしましたっけね。

母親の殻から出た幼虫が夏の間に全体に広がります。この時はアリの保護を受けてます。

するとここに食物連鎖の鎖がまたひとつ。このヒメアカホシテントウは小さな小さなレディーバグ、カイガラムシの幼虫を専門に食べます。

アリはこれ。私はハヤシケアリと同定しましたが専門家さん、いかがでしょう。ウメモドキの根元に巣を構えて、とんでもない大家族で暮らしています。

虫たちの存在が嫌でも認識されるのが、6月初めの開花のころ。ウメモドキは微小な花を無数に咲かせます。

花は小さくとも多量の蜜を準備して虫たちの来訪に備えます。雌雄異株ですけど我が王国のはもちろん雌花。雄花より大きくシンプルで、接写すればそれなりに貫禄がありますね。この蜜を

アリがなめる。

わんわん羽音をたてて、ハナバチやハナアブの類も群がります。…… いつも思うんだけど、写真中央のニホンミツバチ、毎年どこからこの市街地に来るんだろう。

アリたちはアブラムシも飼ってます。この巣の連中は、どれだけこの木に依存しているのでしょう。

花のあと、若い実から汁を吸うクサギカメムシ。1本のウメモドキは、食物連鎖の中心にあって多くの虫を支えていました。あの日までは。

強風に裏返るミツバアケビの葉。6月初めに台風が来ました。まあどの季節の台風であろうとも茨城県に達するころにはかなり勢力が衰えるので、気象予報士さん渾身の警告にも関わらずさほど危機感は覚えません。ところが今回は1日雨量 144 ミリ、最大瞬間風速 30 メートルという絶好調台風でした。県内あちこちで木が倒れました。

我が王国のウメモドキも。

ああ見事に倒れた。折れたわけではなく、根際からひっくり返った感じです。

根が浮いた程度の被害なので、変わらずに花を咲かせ続け

ハチは変わらずに訪れ

アリも蜜をなめ

カイガラムシも汁を吸う。虫たちにとっては木が低くなった程度の感覚でしょう。小さきものには何の影響もありません。

でも枝葉が茂り過ぎて大変な重量になっていて、元通りに立てるのは困難と見ました。伐るしかありません。群がるハチやアブやアリさんたちにごめんねごめんねと言いながら剪定ばさみとノコギリを振るいました。

アリさんの行列も断ち切るように。…… このアリの大家族がウメモドキに日々の糧の大部分を依存していたことを想うと、サボテンを枯らした時のような名状しがたい気持ちになります。ぐああ古傷がああ。

ウメモドキの方は、もともとイレギュラーな出自とはいえ哀れな姿に。でも左のクチナシにとっては吉兆です。ぽっかりと空間が空きました。

おいクチナシ、まさかこの枝を広げるチャンスを逃すなんてないよな。これで失地回復できないようならいいかげん見放すぞ。

ウメモドキはさすがです。伐られた親木のうしろにひこばえが控えてました。これがあっというまに親木と同じ高さに伸びそうな気がします。本当にクチナシには頑張ってほしいのですが。

ウメモドキの話はここまでなんですが、付随してこいつが関わることになりました。ウメモドキの並びで、先祖返りして趣のない花を咲かせるようになった栽培ギクです。雑菊と呼んでは可哀そうだけど、香りのない花を年2回も咲かせるさまが、なんというか浅ましいとまで感じさせます。

これが台風のあと、急にわしゃわしゃと茂り始めました。雨水を吸ったのと、ウメモドキが消えて西日がよく当たるようになったのが原因でしょう。今度はこいつが駐車スペースを圧迫して来ました。

これも伐るしかないよなあ。まあ、ウメモドキほどには惜しくありません。

ばっさり。伐った枝葉はそのまま庭の何カ所かに積み上げます。我が王国の養分で作られた有機物、燃えるゴミに出すなんてとんでもない、土の素にするのだ。この写真のあと、キクめの地下茎が思ったより浅くて抜きやすかったので、文字通り根こそぎにしました。

で、キクが消えた跡を見て気付きました。以前にこの地を埋め尽くしていた雑草たちが残らず消滅していたんです。カラスビシャク、ツルマンネングサ、ペチコートスイセン、クサボケ、カタバミ、そして私が大好きなヘビイチゴも。キクが日照を奪うだけでなく、根から有害物質を出すアレロパシー効果があったのかも知れません。あの儚くしつこい小者たちが見事に一掃されてました。あの雑菊め、見かけ以上に性悪だったかも知れません。

この塀ぎわは以前から枝葉の捨て場だったので、下はそれを食べるダンゴムシの巣です。キクを伐った翌日が雨で、水気の好きなこやつらがわらわらと出てきて、大喜びでキクにむしゃぶりついてました。ダンゴムシのふんはそのまま土になります。こうして我が王国の大地は豊かに肥えていきます。

ちなみにダンゴムシ、濡れた塀もかじるのでちょっと困ります。殻のカルシウムを補給するらしい。

そして増えたダンゴムシはカナヘビやトカゲのエサになって、我が王国のささやかな生態系を回していきます。
今日のお話はこれでおしまいどっとはらい…… になりません。キクを伐ったことでさらに別の事案が発生しました、図らずも。

キクを成敗する最中にぎょっとしました。なんかあるぞ。

小さな働き者、コアシナガバチの巣があったんです。アシナガバチを毛嫌いしてはいけません。おびただしい数のイモムシ毛虫を狩って菜園のキャベツやクチナシを守ってくれる、我が王国の防衛隊でもあるんです。写真の一番下にいる働きバチ、まさにそのイモムシの肉団子を抱えてます。

これはクチナシの葉上でオオスカシバを捕食してくれたところ。こうして見ると逞しくも思えますが、実はハチ界では弱者。哀しいほどに大人しく、襲われても大した抵抗ができません。巣が丸ごと、それはもう哀れなくらいに他の虫の餌食になってしまいます。スズメバチや、あろうことかナメクジにまで襲われてしまうんです。秋まで残る巣はわずか。たぶん今回のこの巣は、キクの茂みに隠れることで外敵から逃れていたんでしょう。ああそれをむき出しにしてしまった。大丈夫かなあ。

ダメでしたー。翌日にはこんなことになってしまいました。たぶんスズメバチに見つかったのでしょう。わしのせい? わしのせいだよねえ。あああごめんよう。

巣は下に落ちてましたが、これも次の日にはダンゴムシやナメクジに食べられました。生あるものはまた別の生あるものの糧になる。いやそれが生物の世界なんだけど、なんか後味悪い結末になってしまいました。わしのせい? うううう。
↓ なんて哀しい生きものか。
↓ うんこから生えました。
↓ ローソク作り。