水戸の8月の平均気温、2025 年 28,0 ℃ / 2026 年 25.5 ℃。平年値は 25.6 ℃ です。というわけで平年よりもちょっとだけ涼しい夏でした。

重陽ちょうよう、菊の節句だそうです。新暦では菊の花に早いけど、キンモクセイが香り始めました。昨年は遅れに遅れたヒガンバナも、今年はちゃんとお彼岸に合わせて花茎を伸ばしています。平時の気候に戻って、茨城の山野は正常に回っております。


トマト、キュウリ、ナスといった夏野菜が豊作でした。おかげで食卓はいつも緑黄色に満ちて、ありがたい限りです。思えば酷暑の昨年はさんざんだったなあ。意外にも暑すぎるとダメなんです、畑って。

そしてこの9月の天候不順の影響をもろに食らったのもこの夏野菜たち。もともとが熱帯や乾燥帯の植物だけに、みるみるしなびて収量も減りました。まあ十分にモトは採れましたので、感謝しつつ畑を仕舞いました。

ヒスイナス、美味しかったなあ。…… 自慢話と聞いてくださって結構ですよ。こういう生活を夢見てずっと頑張ってきたのですから。おかげで家族は健康です、母の背骨以外は。
さてここまでが時候の挨拶。秋雨の幕間にフィールドの写真が撮りたくなったんです。私の最も身近で、いつか人生最後のフィールドになるであろう我が王国の写真を。思えば両親の不調に振り回されたこの1年、心静かに三脚を据える機会が激減しておりました。

畑の作物といえばこのゴーヤ(ツルレイシ、ニガウリ)、悪天候にも勢いが衰えません。昨年のこぼれ種から勝手に生えて、仕方ないので棚を仕立ててやりました。

晩夏以降花数が増えて

いまだ豊作。食の細い老母もこれは喜んで食べるので、調理したものを冷凍庫で保存しています。

困ったのはこれ、ニラ。こういうニオイのきついものは家族が好まぬのを、なぜか亡父だけは大好きで庭に植え、それがあちこちで大繁殖して手に負えなくなっていました。去るもの日々に、というわけで大粛清です。

種子を作りまくり

球根でも分球で増えます。厄介なのはこのイソギンチャクの触手みたいにぶっとい根が大地をがっちりホールド、引いても抜けないこと。掘るしかありませんでした。ああ疲れた。


つる植物は概して元気で、吸った雨水はぜんぶつるを延ばすのに使われるようです。グリーンカーテンに仕立てたミツバアケビは何度も2階ベランダに到達しては伐られました。

駆除のお話をもうひとつ。この一角、以前の記事でもご紹介の、先祖がえりを起こしてただの雑種になり果てたキクが最後の牙城にしています。キクを隠れ蓑にニラも花を咲かせました。ドクダミも巣食っていて、丸ごと一掃することにしました。

これだけの植物体を掘り出しました。あの狭い一隅によくもこれだけ。

場所だけ空ければ、この土地の使い道は家人が考えてくれるでしょう。でも実は、別の問題を発見してしまいました。

ネズミの穴だ。ツバキが実る頃までは悪さをしないと思っていたのですが、出入りしています。何がやられている? …… あるぞ、思い当たるものがひとつ。

これはイチジク。大きい実の生るのが家人の職場に1本、そのひと枝をいただいて鉢に挿し木しました。根付きはしましたが数年は小さいまま。果実は昨年2個つけて、それも熟しないまま落ちました。こんなもんかと思っていたら、今年に入って急成長。

実もたわわに付けました。どうした、何があった。

わかってます。根が鉢をブン抜いたんです。この地に根を張ってもう動かせません。木ってそういうものなんですねえ。元気ならなにより。

9月に入り実が甘いハチミツのような芳香を漂わせて、さあついに収獲かと思った朝、5・6個が食い散らされてしまいました。夜陰に紛れた動物のしわざです。何者か。近所に巣食っていたハクビシンはいなくなりましたが、昨年はトウモロコシがアライグマにやられてます。いずれにせよ守らねば。当初はこんな網を掛けたのですが効果なく、網ごとかじられました。まあ彼らにしてみれば生活の一部、日々の糧だろうしなあ。

もっとしっかりした果実袋と

ガムテープのわな。これで獣害は退けました。ネズミだったかどうかは不明ですが、以後は収獲が続き、シロップ漬け・ワイン漬け・ジャムなどを家人が振る舞ってくれます。当面は何とかなりそうですが、イチジクにはキボシカミキリなんて天敵もいるしなあ。油断はできません。

ウメモドキ。6月の台風に倒れて、幹だけになって、やっぱりめげてません。みるみる天を指して枝を広げました。

で想像通り、隣のクチナシにオラオラやんのかゴラァと睨みを効かせて領土を確保します。強い奴にはかなわない。

クチナシにはオオスカシバの卵。イモムシを狩るアシナガバチの活動が鈍るこれからの季節は、私が守ってやらねば。カイガラムシにも取り付かれていて駆除してます。クチナシってこんな手のかかるもんだっけかな。

おマエだおマエ。でっぷりと葉を食べて肥えまくった終齢幼虫。これくらいに成長してしまうと、木から離しても土に潜って蛹になり、また来年の憂いとなります。極刑に処すことをご理解ください。

これもまた彼らの生活なんだけど。わかってはいるのだけど。

駆除の話ばかりでごめんなさい。ヒトの暮らしが優先されるのです。これは 10 月に奇花というか美花を開くホトトギス。はい今年もヤツらが来てました。

ルリタテハ。毒々しいけど毒はありません。成虫のチョウも大好きなので駆除は心苦しいけど、こいつら好んでツボミを食うんです。やっぱり許せん。

食痕(食いあと)とフン。派手にこんなものを残すので、オオスカシバよりはよっぽど制しやすい敵であります。…… なんて写真撮ってる目の前で、また母蝶が堂々と産卵していきやがった。おのれ。

キアゲハも強敵です。セロリ・パセリ・アシタバがいつの間にか丸坊主です。この写真中に2匹います。

生まれて間もない1齢幼虫。放置すればすぐ巨大化するので情けはかけられません。ううう、大事に飼育したこともあったっけなあ。

そのパセリの鉢の周縁を延々と歩く虫がいます。ぐるぐるぐると回り続けてます。小さな目にはこれがひたすら続く1本道と映り、小さな脳には道を外れるとか自分が危機に直面しているとかの判断ができません。たぶん歩き疲れて命を落とすまで歩きます。何者か。

背中にゴミの山を負ってカムフラージュ、これはクサカゲロウ類の幼虫です。成虫は青く弱々しい小さな羽虫ですが、その子はアブラムシを食べるプレデター。このパセリにはアブラムシもいて、それを獲物にしていたのが落下してしまい、パセリではなく鉢に上がってしまったようです。うーむ、パセリを守ってくれてたなら、このまま死なせるには忍びない。このあと枝に戻してやりました。

何も持たされず、ただこの世に生き抜くことを定められた生き物です。切ない。

このパセリではテントウムシもアブラムシ退治に活躍してくれました。蛹は鉢を降りてジャノヒゲの陰に。

虫の記事で3つの巣があると紹介した、温室裏のコアシナガバチ。やはり共存はできませんでした。2つの巣が滅ぼされ

この一家だけが生き残りました。これが自然の摂理。

節理といえば、春夏に私に目の敵にされた雑草カタバミ。ジャノヒゲの茂みに隠れて私の目を逃れ、それでも目立つ花を咲かせずにはいられない。哀れといえば哀れ、こいつは花を摘んで繁殖を封じるだけで許しました。

ハマナス。我が家の花の王なれど雨には弱い。

夏のあいだも次々と開花してました。トゲトゲの枝が危ないので花の終わった茎はそのつど刈っておりましたが、気まぐれに実を1個だけ残しました。膂力りょりょく溢れる生命の色を放ちます。

クサボケは今年もたわわに実を付けましたが、薬酒を作る父はもういません。


ビナンカズラ。切っても切ってもつるを伸ばします。元が野生のものです、こういう逞しさは愛でてやりたい。長い花期のうちに両性花を咲かせ続け、濃緑の葉陰にいつの間にか実を下げています。早咲きで実になったものは授粉が不十分でいびつ、きれいに丸いのはまだ赤くありません。晩秋が楽しみです。

ダァリヤ。いや素直にダリアと言えばいいのですが、敬愛する梨木香歩さんの小説に「ダァリヤの君」というのが出てくるので一度使ってみたかった、まあそれだけ。この夏は水を切らして枯らしかけました。ごめんね。

ケイトウ、鶏頭。アジア・アフリカの熱帯原産、日本には奈良時代に入りました。本来の花姿は野生化したノゲイトウに見られるように細い筆のような形をしています。この太く幅広く脳状に広がるのは帯化とか帯状奇形とか言われる現象が遺伝的に固定されたものです。黄色い品種もありますが、ケイトウと言ったら赤を想起します。
鶏頭の 十四五本も ありぬべし 正岡子規

庭に鶏頭が十四・五本もあるのだろうな、という程度の句です。写実か観念か、名句か駄作か。いまだに議論がありますが「子規」が「病床」で詠んだというのがこの句に意味を与えます。「十四五本」は重要。「鶏頭」も重要。誰もが秋の陽の下で湧き上がるような異形と鮮烈な赤色が並び立つ姿を思い浮かべることでしょう。私は生と死が交錯する強烈なメッセージを感じます。
変な話に行きかけました。いえいえ持病の一つもないのが可愛げないとそしられるワタクシ、まだまだ元気に山野を駆ける予定です。ただ、このささやかな王国こそがナチュラリストとしての私の原点であり最終点です。大切に見守っていきたいと思います。
↓ ウメモドキの災難と雑菊と、そしてアシナガバチ。
↓ ルリタテハ。
↓ ハチといえどもこの世界では安寧でいられません。
↓ 記事中のものたちはカテゴリー「王国の日々」でその来歴をお読みください。




















































































































































