新盆というのが思いのほか忙しく、多少ともフラストレーション溜まり気味です。家長って大変。

お盆明けに玉川を歩いてきましたが、人が入った後で目に付くメノウはあらかた拾われていました。史上初・茨城県に台風が上陸! という騒ぎの後でも、お盆後半はギリでメノウ拾いができたようです。遠方からお越しの皆さん、よかったですね。この太古から続く玉ぎょくの恵みを、これからも皆で分かち合えますように。
さてしかし、フィールドが恋しいです。玉川1回では足りぬ。まだ片付けやらがあって自由には動けません。ここは春から夏、花や虫の写真を引いて、森の香りを想いましょう。【虫閲覧注意】ですごめんなさい。
① 水の森からホットスポットへ
春の花めぐりといえばここ、水の森。

カタクリの盛りを過ぎたあたりでしたが、出遅れて咲き初めた一輪を。

ニホンカワトンボ。種を確認するために捕虫網にお誘いした一枚、なにか「クモの網に捕らわれた妖精さん」みたいなポーズとってます。あ、すぐ逃がしましたよ。

タマゴケ。一か所、確実に見られる場所があります。まん丸の胞子のう、以前の記事では未成熟で緑一色の写真をお見せしました。今回は成熟して「蒴」←さく。環境依存文字にて文字化けしたら深謝。 が赤く染まった目玉おやじ状態です。ファンが多いとやら。

森を出て「里山ホットスポット」へ。水と気が周囲とは異なる流れ方をする特異点です。ここではセイヨウタンポポもどこか異質な顔をしています。

赤いイチリンソウが今年も無事開花していました。ただ一度の訪問ですべてを確認できたわけではありませんが、他の希種たちも変わらずにいることを願います。
② 花園にて
北茨城・花園のブナ原生林。

また「見えて」しまいました。葉上の小ぶりなスイカの種みたいな黒い粒。おそらくこれまでの森林行脚で何百回も視野に入っていたろうに、この4月に初めてこれが虫であることに気付いたその驚きったら。

こいつです。当初春の記事ではカメムシの仲間と書きましたが、その後正体が判明しました。クロヒラタヨコバイと申します。ヨコバイ? これが? 我が庭のキクの葉上にいて、水の森のコンロンソウの上にうずくまっていて、とうとうブナの森でも見てしまった。同一種です。標高差が 600 メートルもある人工環境から原生林まで、こんな生息環境の幅広い昆虫が、一体どれほどいるものか。

と驚いた直後にナンですが、このアブラムシを飼うアリ、実はこれも低地との共通種と思われます。たぶんトビイロシワアリ。アリって、どこでも同じようなことしてますね。

コケの上を歩むアナアキゾウムシの仲間。この体表のぶつぶつを穴に見立てた和名だそうです。

羽化したばかりで不活発だったこれはヒメクロサナエ。森のトンボです。

極彩色のこいつはなんとガガンボ。クシヒゲガガンボ類の一種、その雌です。幼虫は原生林の朽ち木の中で育ちます。
③ ひたち海浜公園
毎年「茨城生物の会」の観察会が、肝心のオオウメガサソウの花期が終わったあたりで開催されます。他の花々も端境期で、なんでこのタイミングで、といつも思います。会の幹部が海浜公園の植物の管理保護に関わっていて、オオウメガサソウの盛りの時期は忙しいのが理由らしい。少し冷ややかになってしまいます。

そんなわけでお見せするのはこれ一枚。オオイシアブという捕食性のハエです。…… 拡大すると

毛むくじゃらの恐ろし気な姿で、たくさんのダニに取り付かれてます。血を吸うのではなくただ移動に使われるだけなのですが、なんか気の毒に思えます。
④ さんぽの風景
家のあれこれで定例のさんぽの回数は減りました。それでも目に付くものはあって

豆のかけらを落とすと、すぐに集まるトビイロシワアリたち。ブナの森にいたのと同種です。ただしここは人工環境、旧県庁広場のベンチ下。素の煎り豆をポリポリ食べていたら(ここはツッコミ無用ね ♥ )小さなアリがいたのでおすそ分けを。大豆は乾燥重量で 30 %がタンパク質、プロテイン補給に手軽なおやつです。アリもタンパク源であることを即座に理解したことでしょう。

お堀には今年もヤブカンゾウが咲きました。私の夏を象徴する花です。

歴史館に足を延ばし、昨年も愛でた古代ハスを。見るたびにその立派な花姿に見入られます。このハスの発見というか発掘者・大賀博士は、ハスが開くときにポン! と音を立てるという迷信を反証するために不忍池で蓮の鑑賞会を開いたとか。

先のヤブカンゾウの母種、ノカンゾウもありました。メイを探すサツキの背後に咲いていた …… というのはもう書いたっけな。
⑤ 小木津山自然公園
この夏唯一の公的イベント、若手生物屋さん対象研修会。現場に三度下見に行き、資料を揃えました。気づまりな日々の中、とても良い気晴らしになりました。

ショウジョウトンボ。最初から真っ赤なアカトンボです。公園の駐車場のかたわらに池がありまして、希少なトンボを保護するために市民団体が整備しているとの看板書きが。その周囲は

クサレダマ

ミソハギなどが茂る草むらで

コガネグモまでいて、生物多様性の教材になりそうな環境です。スタート地点で見るべきものが揃うというお手軽仕様の公園 …… と思ったら、研修会の直前に草刈りされて台無しに。生物と環境はセットなのにい。まあ公園内は問題なく、野外観察は成功裏に終わりましたのでご心配なく。

森はヤマユリのちょうど盛時で

つかまっちゃったあ、という顔のヒグラシ。

これはキボシハナノミ。ハナノミという小さな甲虫の一群をご存じない方も多かろうとは思います。そんなのがこの世界にはいるんです。

ナガゴマフカミキリ。これも小さな、人目を引くことのないカミキリムシ。ここらのレベルの昆虫は、研修会の参加者にも特に紹介することはしませんでした。

樹液の出ているカシの木で、オオスズメバチを睨みつけるオオムラサキ。

ハチが去ったと思ったら、すかさず潜り込むアオカナブン。怒るオオムラサキ。

まあ仲良くね。この木は研修会時に何匹ものオスカブトを呼んでくれていて、参加者に喜んでもらえました。感謝しかない。

ずずずと動く粘菌の移動体。内部に仕切りがなくこれで1個の細胞だという巨大アメーバ。朽ち木の中から今まさに出てきたところで、これから小さなキノコのような子実体を作ります。夏の森はやっぱり楽しい生きものの宝庫でした。
まだ少し気の抜けた状態で、フィールドに出る元気も記事を書く覇気もいまひとつ。私の記事を待ちわびる全宇宙の読者の皆さま、復調までしばしお待ちください。
↓ タマゴケ初出。
↓ なぞのヨコバイ。
↓ ヤブカンゾウは夏の花。