ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

大子観光フルコース(ちょっと片寄る)

 

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 大子だいごあたりに連れてってくれ,とのリクエスト。ようがす。


 穏やかに晴れた日曜日,私にはおなじみの国道118号を北に向かいます。私なりの(たぶん少しマニアックな)大子フルコースを考えました。

 

 
八溝山

 私にとって大子と言えば八溝山。私のブログでおなじみの茨城県最高峰。頂上まで車で行けちゃうので,人をもてなすには最適です。

 
 ところが,道幅が広い腐沢くされざわの新道が災害復旧とやらで通行止めになってました。仕方なく狭くて曲がりくねった蛇穴じゃけちからの旧道を行きます。ところどころ車一台ぶんの幅しかないので緊張しながらの登りです。

 

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 山頂。

 

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 いかにもなセンスの展望台を笑わないでね。ここに登っているあいだは「茨城で一番高いところにいるやつ」です。

 

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 雨上がりで空気が澄んでいました。360°大絶景です。

 

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 那須のお山がすぐ近くに見えます。

 

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 遠く筑波山

 

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 北には磐梯山も見えました。

 

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 高原山も。

 

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 男体山越しに白く光るのは鹿島灘。こんな海まで見える視程の日はめったにありません。写真では不鮮明ですが双眼鏡では水平線上に鹿島工業地帯の煙突も見えました。


 ああ堪能。眼福の極みでありました。

 


奥久慈シャモ丼

  山から下って11時半。昼どきです。人を連れてくるときはいつも大子の町うちでシャモ丼をいただきます。

 

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 有名店で開店後30分という一番人が動かない時間帯です。待つことも味のうち。

 

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 30分待って入店,シャモ丼のいいやつを頼みました。1800円+税。普通の昼食に千円以上かけるなんて私の生活ではあり得ませんが,観光地に人を連れてくるとなると気も大きく。


 奥久慈シャモ,というブランドです。コリコリとして美味。鶏がらスープも美味しゅうございました。ごちそうさま。

 


旧上岡小学校

 腹も満ちたところで今日一番マニアックな場所へ。大子町は古い小中学校の校舎を保存していて,それが映画やドラマの撮影地になっています。中でも良く知られたのがこの小学校。前にもご紹介した,私には劇場版ガールズ&パンツァー(最初のやつ)のロケ地として思い入れの深い場所です。

  

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 なんと郷愁あふれる木造校舎。ガルパンではこれが大洗磯前神社の裏にあるという設定でした。

 

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 校長室を生徒会長が使い

 

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 放送室では風紀委員の3人が折り重なって

 

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 全員集合した講堂

 

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 学園艦を追い出された戦車道のメンバーたちがここで共同生活をするのですが…… よく考えたらメチャクチャな設定ですね。学校がなくなったら普通家に帰るだろうって。親は何をしてるんだって。…… まあそれ言ったらこの作品の基本設定からしておかしいですけど。でもとにかく,あの映画で一番泣けたのがここの一連のシーンでしたね。

 

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 私は小学校1年までこういう木造校舎でした。

 


袋田の滝

 さあ最後のシメはやはりここ。

 

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 多くは語りません。今までたくさんの滝を見てきたけど,これを凌駕するものはありません。スケールといい,周囲の自然とのマッチングといい,訪れた人に与えるインパクトの大きさといい,まごうかたなき日本一の滝です。もしまだおいでになってないという方,絶対に失望させませんので「死ぬまでに見たい絶景」に加えておいてください。


 帰りに名物の刺身こんにゃくを買って大子町フルコースは終了です。もちろん個人的には「石拾い・パンニングフルコース」とか「自然観察フルコース」とかいくらでもハードに設定できますが,車でソフトに観光っぽく巡るコースとしたら私ならこんなものです。これからの季節ならリンゴ狩りも加えていいでしょう。


 茨城県大子町。夢で見た桃花原のような,私の魂のシャングリ・ラです。

 


 最後に…… 資料を見ていたら,大子町の町長が「高梨さん」なのを知りました。


 おや,と思い当たるフシが。たしか八溝山頂にある八溝嶺神社神職がそういう名でした。代々八溝山の中腹にある屋敷に住まい,神事を取り仕切っていた一族です。調べてみたらやはり八溝山に関わりのある方で,今の八溝嶺神社の権禰宜ごんねぎだそうです。間違いなくかの一族の方でした。


 そういう人が請われて町長を引き受ける。古い伝統を大切にする人々の住まう町,と解釈してよろしいのでしょうか。ますます大子が好きになりました。

 

 

 

↓ 大子・袋田の過去記事です

茨城県北芸術祭5 最終回 大子からガルパン聖地を経て袋田の滝へ - ジノ。

 2019年11月4日,袋田の滝の紅葉情報 - ジノ。

 

 

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チョウセンゴミシを探して

 

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 朝鮮五味子と書きます。毎年この季節になると,濡れて散り敷いたカラマツの落ち葉の香りとともに,あのルビーのようにきらめく赤い実を思い出します。


 2000年代の前半,薬草集めに精を出していた時期がありました。特に「実もの」にこだわって,マタタビとかナツメとかトウネズミモチとかガマズミとか,身近で手に入るものを片っ端からアルコール漬けにしてました。ドクウツギも漬けたものがありましたが,これは危険なので廃棄してます。


 そして最後に薬草図鑑で目を付けたのがチョウセンゴミシでした。


 五味子とは甘味,酸味,辛味,苦味,塩味の五つの味がある実という意味で,漢方で使われる生薬です。かつては朝鮮半島から輸入されていたのでこの名がありますが,のちに日本にも産することが判明しました。北方・寒地の山にあるつる植物の実です。茨城にはありません。

 

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 図鑑にある美しい赤い実が欲しくなり,ネットで産地を調べますがなかなかズバリという記述に出会いません。どうやら関東でも北のほうにはあるらしいと,2005年の9月に赤城山に出かけました。空振りでしたが,初めての赤城山はそれなりのモノが見られて愉快な経験になりました。

 

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 これに味を占めて,その年の11月に今度は長野県まで遠征しました。これも人生初の八ヶ岳を(車で)越えてみたり,あちこち駆け回りました。

 

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 うわさに聞く八ヶ岳の白樺林やカラマツの黄葉を堪能しましたが,やはり目的の実は見つかりません。もはや夕刻,諦めつつ入った暗い林の中でとうとう見つけた時は天地に感謝したものです。もっと何年も探すことを覚悟していたもので。

 

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 暗がりの中でしたがこれだけ採れました。日に干してカラカラに乾燥させてから漬けこみました。

 

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 期待以上に美しい実でした。


 出来た薬酒はあまり私の体質に合わなかったようで特に効果はなかったのですが,またあの赤い実を長野の森で見たくて,翌年,翌翌年にも長野に詣でました。

 

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 信州の秋のあの透き通った美しさは茨城には無いものです。本当にここなら童話のような物語が生まれそうな。ちょっとでいいから住んでみたいと思います。

 

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 移動中に見つけたクロマメノキ。これも茨城にはありません。美味しゅうございました。

 

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 とうとう群生地を見つけました。高地で見るという心理効果もあるのか,この鈴なりの姿が別世界の光景に見えます。信州ならではの絶景と言わせていただきます。

 

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 大袋たっぷり二つ分。

 

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 途中の空き地で干してみたり。

 

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 この十年ですっかり出不精になっていることを,この記事を書きながら痛感しました。このまま人生を守りに入ってしまうのだろうか。いえいえ,まだやりたいことがいっぱいあります。そのために体も鍛えているし,何より好奇心を失ってはいません。この世の美しいものを見尽さねば死ぬに死ねないのです。


 遠くへ! もっと遠くへ! 風の吹き尽すその果てへ。

 

 

 

 

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仄暗い水の底からハロゲン型LED電球を見繕ってみた

 

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 16年前に家を建てたとき,ささやかながら書斎を作っちゃいました。三畳。


 狭さが心地良くて,家族に怪しまれながら休日は1日籠ってたりします。筋トレとかストレッチもこの中でできます。手の届く範囲に何でもあるし,好きなものに囲まれているし,太古の湖うみのほとりのように心穏やかに過ごせます。このまま水底に鎮座して貝になりたい,なんて。

 

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 落ち着ける理由の一つがこの照明。元々ハロゲン電球がついていたのですが,とにかく光が熱い。入居したのは10月でしたがその時点で熱かった。夏には耐えがたいことになるのが目に見えていたので,E11というこの特殊な口金に付けられるLED電球を探しました。そしてネットで見つけたのがこれ。

 

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 1個でLEDを30個も使ったものです。当時はLEDが一般に普及し始めたばかりで,種類も性能も十分ではなく,とにかく大手がハロゲン型LED電球を作り始めるまでのつなぎ商品,すきま商品だったのでしょう。1個4000円を2個。消費電力1個当たりわずか1.7ワット。明る過ぎず,光が熱くありません。以来16年,薄明のような仄暗い白色光の元で穏やかに過ごしていたのですが,最近ふと気づきました。

 

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    えらく暗い。


 カタログでの電球寿命は1万5千時間,これは新品の半分の明るさになるまでの使用時間だそうです。1日6時間使ったとして 6×365×16=…… 3万5千時間?! そりゃ暗くもなるわ。腕時計の太陽電池が反応しません。替え時です。

 

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 ネットで見ると,今は大手から中小までさまざまなメーカーがハロゲン型を出してます。とりあえずメガドンキで実物があったオーム電機製のを購入してみました。電球色,消費電力6.7ワットのを2個。

 

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 ぐわあああ,眩しいっっ 溶けるぅぅぅ


 そりゃそうです。元のが新品時でも合わせて3.4ワット,今度のは13.4ワット。実質十倍くらいの明るさでしょうか。電球色なので赤外線も多いでしょう。落ち着かないどころかチリになって消滅しちゃいそうな明るさと熱で,もはやこれは暖房器具のレベルです。オームさんには申し訳ないけど私の書斎には合いませんでした。お蔵入り決定。

 

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 さて困った。白色光でもっとワット数の小さいやつ。何店か回って見つけたのが東芝製3.0ワット。


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 これを1灯だけ使って,何とか落ち着く明るさになりました。

 

 


 人は大なり小なり夜に心を休めるものと考えますが,皆さんはどのような空間でその日一日を振り返るのでしょうか。お酒を飲みながら,人と語らいながら,家族を見守りながら…… それぞれの時間をお持ちなのでしょうね。私はこの書斎で心を養って,また明日という日に挑んで行きます。これを読むすべての皆さまの夜に幸あれ。

 

 

 

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水戸芸術館の企画展に行く

 

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 9月のことですが,2つの美術展をハシゴしました。

 

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 1つ目は茨城県近代美術館の「名作のつくりかた」展。この美術館は日本画とか洋画とか彫刻とかの古典的な美術作品の収集と展示をしていて,近代の茨城県出身作家の作品が充実しています。小川芋銭とか小堀進とか横山大観とか私の好きな作家の絵が常設展示してあって,ふらーっと訪れてもなにがしかは鑑賞できるので好きな場所です。駐車場代は全額現金で返してくれるし。

 

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 写真OKだったこの絵もよく見知ったものでしたが,下絵では構図が違っていたんですね。これ以外にも,とてつもない手順で制作される日本画の下絵の数々も興味深いものでした。

 

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 ここから見る千波湖の風景も好きです。

 

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 続いて行ったのが水戸芸術館。音楽,演劇,美術の総合施設です。このタワーがシンボルなのはご存じでしょうか。昔テレビによく出ていた自称フェミニストのオバさんが,男はすぐに塔を立てたがるということを下品にわめいていましたが,街にシンボルタワーは必要です。東京,大阪,京都,名古屋,札幌。みな誰もが知ってる塔がありますよね。これを建てた当時の市長さん,設計した建築家さん,よくわかっておいででした。

 

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 地下有料駐車場がらーん。企画展開催中なのですが,いやな予感がします。

 

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 企画展の名は「道草展 ― 未知とともに歩む」。入場料は900円。さてこれが高いか安いか。ここは現代美術に特化した美術館です。

 

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 入口のこれはアニメーション。部分部分のストーリーが無限にループする作品で,こういうのが私は大好きです。まるで子供のようにいつもいつまでも魅入ってしまって監視員さんに怪しまれます。聞けばこれはこの入り口だけの作品だそうなので,心ゆくまで見ておきました。あとで知ったのですが,芸術館のサイトでご覧になれます。

 

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 入り口がこれだったので大いに期待して入場したのですが…… あれ?

 

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 壁に貼り付けられたものばかり。他のお客さんもほとんどいません。

 

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 写真。ただの写真。現代美術どこ行った。

 

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 インタビューを延々流されてもなあ。

 

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 唯一現代美術らしい仕掛けがあったのがこれ。真っ暗い部屋で渡されたブラックライトを壁に当てると字が浮き出る。でもつまらない文言ばかり。


 えええええっ これだけ? これだけで900円? しかも駐車場代別途です。


 開館30周年企画展と銘打って,これだけお金を掛けない展覧会も珍しい。だいたい,現代美術ってのは見る人を驚かせてこそでしょう。こんなショボい展示で,誰の心が動くというのでしょう。…… 本当に文化予算が削られているんだろうなあという感想だけが残りました。開館時にバブルだったとはいえ,市の予算の1%を毎年つぎ込むという触れ込みだったのになあ。


 水戸芸術館。当時の水戸市長の発案で1990年開館。設計は建築家磯崎新


 開館直後,市長が春風亭小朝が司会する番組に出演しました。地方文化の発信拠点にすることを大いにアピールしたかったのでしょう。ところが番組は東北の小さな町が建てた音楽堂「バッハホール」が盆踊りに使われている例を引き合いに出し,どうせ箱モノの無駄遣いなんでしょと切り捨ててました。小朝が「ホントに盆踊りなんかに使わないでくださいねー」なんて小馬鹿にしたように言うのを市長さんはどう聞いたでしょうか。以来,私は小朝が大嫌いになりました。


 そんな揶揄もあった芸術館ですが,美術方面に関しては意欲的な展覧会が次々と開催されて全国的な評判を呼びました。私がタイトルまで憶えているのは


「妄想砦のヤノベケンジ」展 1992年
 当時まだ売り出し中の若き現代美術家ヤノベケンジが会場に滞在して作品を制作するという斬新かつ大迫力の展覧会でした。代表作「タンキング・マシーン」の衝撃はいまだに私のゴーストにインスピレーションを与え続けています。


「まほちゃんち」展 2004年
 写真家/作家の島尾伸三とその家族が使ってきた家財道具から雑貨から,かつて家の中に存在したあらゆるモノを延々と並べた展覧会。膨大な日用品の山を前にあんぐりと口を開ける人続出。これぞ現代美術。


海洋堂の軌跡」展 2005年
 食玩でビルを建てた海洋堂の創業から現在までの全仕事を紹介するいわば回顧展。入口に掲げられた創業者と跡取り息子の正装して大企業の社長みたいなポーズを取った写真,あれはひょっとしたらくすぐりだったのかも。


 この場所で見た個々の衝撃的な作品については枚挙のいとまもありません。私を現代美術に目覚めさせた美術館です。ああそれが。


 アーカイブを見ると,その後急速に市民参加のイベントが増え大規模な展覧会が無くなっていったようにお見受けします。いや市の予算を確認したわけじゃないけど,やっぱりおカネなんだろうなと勝手に思ってます。


 それと心配なのが,肝心の現代美術家の皆さんが今どうしているのだろうかと。ちゃんとゴハン食べてるかなあ。おそらく全国的に予算削減のやり玉にあがるのが現代美術でしょう。発表の場どころか生活の基盤すら失っているのでは。私が楽しみにしていた「茨城県北芸術祭」の第2回は県知事さんの鶴の一声で中止になりました。水戸一高から東大法学部を経て通産官僚,退官後はマイクロソフトの役員というどこからツっ込んでいいのかわからない経歴の知事さんには現代美術なんか不要のものだろうし,たぶんそれは正しい判断です。


 古代,農業生産が効率化され生産物に余剰が出来た時,人々はシャーマンを作りました。さらに余裕が生まれると芸術家を作りました。シャーマンと芸術家はヒトの生活に無くてはなりません。どちらも人の心を支え,新たな価値観を生み出すものです。喜びと驚きという手段で。


 ああ,また現代美術で驚きたい。私のような者にはつらい時代です。

 

 

 

 

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アオダイショウの沢パンニング結果

 

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 前回の記事の,アオダイショウが守る沢のパンニング結果。地質図で「含ざくろ花崗岩」地帯を貫く沢を見つけて,ざくろ石の大きなのを期待して出かけてきました。とりあえずご報告だけの記事です。

 

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 採ってきた砂。花崗岩地帯の割にはあまり白くありません。まずは磁石で磁鉄鉱を除きます。

 

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 鉄片も含まれていて結構な量でした。

 

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 ラミエル結晶は含まれません。アレは本当に「ざくろ沢」でしか見ていない。

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 で,選別してみたのだけど…… 正直言います。がっかりです。

 

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 ざくろ石はありました。その意味では期待通り。産総研さん,あなたの地質図は本当に素晴らしい。でも大きいもので1ミリを少し超えるくらいの,玄武岩のと同じ大きさのものばかり。おいおいおい,オマエ本当に深成岩か。ここは本当に花崗岩なのか。

 

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 いやそう言われても困りますよね。私が勝手に期待してたのは筑波山塊の巨晶ざくろ石,そう全国でも稀な大きさの博物館クラスのものでした。基準が,というか期待値が大きすぎた。ちゃんとざくろ石があったというだけで満足すべきです。ざくろ石がある場所という私のポケットが増えたことを喜びましょう。たぶんもう来ないけど。

 

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 高温石英っぽいのもあった。

 

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 これ,他所ではよくある透明じゃない高温石英だと思うのですがいかがでしょう。どこからライティングしても四角い影が出ます。

 

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 たぶん輝石。玄武岩の沢でも出ました。あちらではかんらん石も見られたので,やはり花崗岩ではラインナップが単純です。

 


 …… 決して文句を言ってるのではありませんよ。

 

 

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 自然に分け入って,ひたすらに美しいものを求め続ける。その造形やら生き様やら,不思議であることも脅威であることも私には自然の美しさの一部です。フィールド行はこうして空振りになることの方がむしろ多いけど,そういうものだと思っているのでどうということは。休日をこんなことに費やしてきたことに一片の悔いもありませんし,これからも…… できるなら偉大で高次な「自然」に呼ばれるその日まで,歩き続けていきたいと思うのです。

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彼岸花,ヘビカニクモにボンカレー

 

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   一日,久慈川沿いを歩きました。


 第一目標は,久慈川に注ぐとある沢。地質図を見ていたら「含ざくろ花崗岩」という場所があって,久慈川花崗岩由来のざくろ石を見たくなって。大子町で採ったのは玄武岩由来の小さな結晶。花崗岩由来ならきっとデカかろう。さあパンニング皿出動です。某駅前の駐車場に停めて,街を抜けて沢の道へ。

 

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 でかくて長いのがいた。

 

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 ぺろぺろ。アオダイショウのここまで大きいのは久しぶりです。カメラを近づけても逃げません。大した胆力です。この沢のヌシかも知れない。…… あなたの沢の品位を落とすようなことはしませんので,どうか先に進ませてください。非礼を詫びつつ尻尾のほうから回り込んで通らせてもらいました。ヌシは少し首をかしげただけ,どうやら許してくれたようです。

 

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 感じのいい沢です。私の言う「感じのいい」は,例えば人が荒らしたり汚したりした形跡のないこと,そもそも人けがないこと,なのに良くないものが漂ってないこと。長年山野を歩いていると見えてくるものがあります。

 

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 パンニング中,ずっとこのサワガニに見られてました。よく見ると片一方しかない複眼で,何を見て何を考えていたのか。


 パンニング結果はまだ砂が乾いてないのでなんとも。ただざくろ石はちゃんと含まれていました。地質図ってすごいなあ。


 沢からの戻り道は街をのんびりと。街といっても小さな宿場町がすっかり寂れましたふうの,商店一つない静かな住宅街です。

 

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 これがかつての国道118号。

 

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 商店がないと言いましたが正確には営業していていない。かつては多くの人で賑わっていたのでしょうね。

 

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 川に向かって段々になった,その段丘上に列をなして家々があります。横切る方向はすべて傾斜。坂や石段が繋ぎます。筑波山でも思ったけど,こういう坂の街って大好きです。いつか尾道に行ってみたい。

 

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 ボンカレー! この看板がある街というのは,いくつかの重要な基準をクリアしてしまった感がありますね。

 

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 驚くべし,道端にクルマアザミ。実はそんなに珍しいものじゃないのかな。

 

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 秋のアザミが咲き始めたんですねえ。

 

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 旧街道を外れて久慈川のほうへ下ってみます。道端の家でキンモクセイとギンモクセイが並んで植えられていました。ご主人はいろいろとものがわかっていた人なのでしょう。

 

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 今年もミゾソバの咲く季節が巡ってきたようです。

 

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 合いますね,踏切とヒガンバナ。今年のヒガンバナは2週間遅かったような気がします。

 

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 そのまま下っていくと,ぽっかりと不思議な空間に出ました。懐かしい物語のにおいがします。

 

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 そしてとうとう河原に出ました。人跡未踏,数か月くらい人が入った形跡がありません。久慈川では珍しい。もっとも,メノウ産地の沢より上流なのでここでは拾えませんでした。

 

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 変な取り合わせ,ウチワサボテンとウラギンシジミ。サボテンはどこからか流されたものでしょうけど,飛んできたはずの蝶の様子がおかしい。あまり飛びません。体調が悪いようです。生あるものすべて,そういう時があるものです。

 

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 これから極寒の久慈川で成虫越冬する運命が待ってます。元気になってくれればいいのですが。

 

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 さて今日の第二目標は昨夕「三太の湯」に行く途中で見たヒガンバナ群生地。私には月並みな写真しか撮らせてもらえない強敵です。ああ今日の写真もつまらない。

 

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 上手い人はうまいんだよなあ。この花が醸し出す情念のようなものをいつか写し取れたなら。

 

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 悔しいから変な写真撮ってやったぜ。フォトショップ合成じゃないですよ。


 なんてことしてたら,近くに車が止まりました。降りてきたご夫婦が何やら相談しています。あ,なんか予感がする。巻き込まれる予感がする。案の定,ご主人が私に寄ってきて「あの~」。


 聞けば左前輪のパンクでした。保険会社に連絡して救援を呼ぼうとしたのですがスマホが繋がらないと。そこで私のガラケーを見ると,ちゃんとアンテナ4本立ってます。今のガラケースマホと同じ電波域を使っているはずですが,仕組みが違うのか会社が違うのか。


 そこで私のガラケーをお貸しして連絡していただいたのですが,いや長い長い。今どきの保険会社の確認作業はくどくて煩雑なのでしょう。おいおい,私のケータイは使った分だけ料金がかかる契約なんだよ,キミたちもう20分くらい話してないかい。ああまさかフリーダイヤルだよね。


 ようやく通話が終わったと思ったら,折り返し保険屋から電話が来るそうです。私の携帯に


 結局何やかやと1時間以上付き合う羽目になりました。かつて日光男体山の裏側の林道でバッテリー上がりの老夫婦を助けたこともあったなあ。いいことしたとは思うけど,なんかこういうのを呼び寄せる体質だなあ,わし。


 帰路富岡橋に寄ったら,石拾いのご家族がおられました。はるばる群馬県から来たとのこと。どうやらブログを見て来られたようなので,勝手にメノウ教信者と認定,供物のメノウをお持ち帰り頂きました。久慈川を良い思い出にしてください。

 

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 久慈川は長梅雨の増水からすっかり水が引き,風も涼やか。石拾いの季節です。

 

 

 

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高温石英で高校生を鵜飼いする

 

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 子分の高校生たちが集まる日でしたが,その準備をするはずだったイベントが中止になってしまいヒマそうにしてます。全員男子です。男ばかりでグダグダと,核戦争後のシェルターの中みたいな虚脱感,死んだような目をしてスマホ片手にただ時間の過ぎるのを待ってます。何とかせねば。

 

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 そこで取り置いていた日立・初崎海岸の砂を持ち出します。以前,貧乏人根性丸出しで大量に採ったのがあって,処理…… つまり高温石英やシーグラスをつまみだすのが終わってません。この高校生どもを使って一気にこの砂山を片付けよう。まるで鵜飼いのように手を汚さず仕事を片付けよう。わしってアタマいいー! ほれ高校生,お前らはじゃあ,働けい。

 

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 最初に高温石英やシーグラスを見せてほーらキレイだろうと誘い込んで,ピンセットとシャーレを渡します。バットに砂をぶちまけます。待て待て待て,よーし,レディ・ゴー!


 なんかすごく食いつきが良くて,目を輝かせたかと思うとわーっとバットに群がって砂山をほじくり始めます。こんな地味でせせこましい作業です,当然嫌がるかと思っていたのですごく意外でした。みるみるシャーレが銀や青の小粒に満たされていきます。へっへっへ,うまくいったぜ。見たかこの人心掌握術。

 

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 いつもは賑やかな高校生たちが,せっせと砂糖粒を運ぶアリのように休まず手を動かしています。ピンセットを持つのが嬉しいのかもしれないし,何より科学っぽい作業ですから。

 

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 私がざくろ石や高温石英の採取でやっているこの「砂粒つまみ」,コツがわかれば単純作業です。考えなくても手が動きます。頭を使いません。いわゆる無心とか頭が空っぽとかいう状態ですが,それでも人間の脳は摂取した栄養と酸素の4割を消費し続けています。何かは考えているんです。昨日のこと,明日のこと,今夜のごはん,家族,友人,夢。私はよく次のブログ記事のことなんかをぼーっと考えてます。こういう時にいいアイデアが浮かびます。トランス状態とまでは言いませんが,忘我の刻,本当に自由な思考ができる時間です。…… 高校生たちは何を考えているのだろう。

 

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 さて高校生らの手元にあるシャーレが透明な粒でいっぱいになってきました。しめしめこれで楽して高温石英とシーグラスをゲットだぜ,とほくそ笑んでいたら一人が


「これ持って帰っていいですか?」

「俺も」
「俺も」

 

 

 


  しまったああ!


 なんでこれを予測できなかったんだ。当然そう思うだろ。ピンセットでつまんだ瞬間から,それは自分のものなのだ。鵜飼いのウが獲った魚を全部自分の腹に納める権利を主張し始めた。なんて当たり前のことなんだろう。搾取されていたプロレタリアートが目覚めちゃった場面に出くわしてしまいました。

 

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 仕方なくガラスのサンプルびんを1本ずつ渡し好きにせよと。わーっという感じで石英やらガラスやらをびんに収めると,高校生たちは喜んで帰っていきました。あとにはいくらも残らなかった。鵜飼い大失敗。


 あはははは。自分の浅慮が恥ずかしい。人をヒトではなく自分の思い通りに働くウだと思っていたあたりが恥ずかしい。いい大学を出て最初から幹部待遇で組織に入った人は,きっと最初から最後まで働くヒトをそう見ているのでしょうね。私はそんな偉くないけど,年齢的に「下」の人が増えました。気をつけねば。


 ちなみに鵜飼いの鵜匠にとってウは「家族」の扱いだそうです。1羽1羽の健康状態まで把握し,獲った魚もアユだけは人間,それ以外の小魚はウの取り分とされてます。互いの信頼関係で成り立っているのです。


 さて高校生たち,今日のことは一つ思い出になったかな。文系の子も,理系でも物理選択の子なんかは,もう一生シャーレやピンセットを手にすることはないでしょう。石英やガラスをつまみながら考えたことを,手許に残った銀の粒を見るたびに思い出してくれれば私も存在意義があろうかというものです。皆に幸あれ。

 

 

 

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