ジノ。

愛と青空の日々,ときどき【虫】

いきもん社、ファージふたたび

 


 このブログの力の源泉である熱心な読者の皆さま、これ ↑ を覚えておいででしょうか。さいです、T4ティーフォーファージでございます。左が本体、右が大腸菌に付着感染した状態を再現したガチャポン玩具です。「本体」の細部に至る見事な造形に対して「菌付き」のほうはかなり造作が劣ります。正直言って、これにおカネを出す人が欲しいのは本体。でも「当たり」だけではあまりおカネを使ってもらえないので「ハズレ」として「菌付き」も作ったというところでしょうか。いえそれはガチャポンというご商売の基本なので文句は申しません。ぜんぶ含めてのガチャポンでございます。制作・販売は株式会社「いきもん」。以前の記事で私が絶賛した超変態級(賛辞です)にクリエイティブな会社です。


↓ ファージといきもん社についての過去記事リンク。記事の最後にも張ります。

ガチャポンでT4ファージだとぅ? - ジノ。

お散歩は季節をまとってドイツ箱と粘菌。 - ジノ。


 この商品かなりウケたようで、いきもん社のHPにフリー使用可としてこんな写真がありました。


 「水を飲みに来た野生のファージ」というところでしょうか。私もこんな写真撮りたいな。バクテリオファージがいかに人の想像力を刺激するか、よくおわかり頂けるかと思います。


 さてこの手の、硬貨を入れてガチャリと回して取り出す玩具、私はあえてガチャポンと表記します。だって「ガシャポン」はバンダイ登録商標だから。数々のキャラクターの権利を持ち、この業界での圧倒的シェアを握ります。いきもん社はそんな大会社のラインナップの間隙を突いた商品で果敢に挑戦し続けるニッチ企業の一つ。その自然・科学・芸術に特化した業態を私は日々応援しております、なんてエラそうですいません。


 で、このファージガチャポンの発売が最初は 2021 年の 12 月。その後 2022 年、2023 年に再販されてますから、本当に人気があったんですね。でも私が売り場で遭遇したのはただ一度、近所のメガドンキホーテでのみ。いきもん社は販売規模も大きくはないのでしょう、2度も再販されているのに他の機会で見ることはありませんでした。メガドンキのも、こんなマニアックなの他に欲しがる人もいないだろうとタカをくくってちまちま取っていたら、ある日突然売り切れていてガッデムウウウとか叫んでしまいました。やっぱり好きな人はいるんです。生物界のマニア受けアイドルと呼んであげよう。厳密には生物じゃないけど。結局私の手許には本体2個とハズレいや菌付き4個が残りました。それで終わりと思っていました。ところが先日、あのドンキで

 


 また再販されてたあ。しかも以前のとちと違うぞ。

 


 レインボーパール? 同じ金型で素材を変えましたか。前回のような後悔はしたくないので、やったるぞー。…… で本体2つと菌付き3つゲットしました。ハズレ先行だけどまあいいや。え? ジジイがこんなオモチャに2千円も使うの気持ち悪いですか? いえいえ漢おとこの道に年齢はないのです。大人の財力を示すのはいま。

 


                 戦果一覧。

 


 この緑の奴なんだけど

 


 バリが残っているう。さては安い工場に発注したな。

 


 バリが。いいです自分で削ります。

 


 頭部の赤いのはDNAを表現しています。

 


 よく出来てるなあ。

 


 何度も再販される理由がわかります。あまりに見事な造形。

 


 赤いの。

 


 こちらはDNAが青で表現されてます。実物は分子サイズで色の概念はないので自由に。

 


 パール素材がとにかくキレイ。単なる再販でないあたり、さすがです。

 


 ひざ。

 


 今回はこれが一番気に入りました。

 


 菌付きモデルの方も。DNA注入の様子が表現されてます。

 


 これもよく出来てはいるんですが、本体モデルとの造形の差がなあ。

 


 いきもん社の他の新製品もご紹介しておきますね。これは鉱物結晶。う~んこの赤いざくろ石は欲しいけど、一回 500 円はリスクが高すぎるなあ。わし実物持ってるし。

 


 ねこ。「まるで本物」シリーズかな。この二つは売り場で見かけました。どうかごひいきに。


 このいきもん社さん、小規模生産で人気が出た製品を再販して通販する、というスタンスのようにお見受けします。最近はリアルキノコやリアルカエルのシリーズを店頭で見かけます。儲かっているかなあ。頑張ってほしいなあ。…… 実は私もガチャポンのアイデア、それもバンダイでは絶対に商品化しない(できない)ようなしょーもないアイデア持ってます。いきもん社しかない。ねえいきもん社さん、アイデアの公募なんかしてませんか? 売れなくても一切責任持てませんけど。

 

 

 

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トレイルマップをてにいれた

 

 どーもー変態でーす。変態と申しましてもあーゆーのからこーゆーのまで各種、極端な話ヒトの数だけありましょうが、今回はこの私が備えたいくつかの変態要素から、いかに私が地図変態かというネタで皆さまのお時間を頂こうかと存じます。私、地図一枚見てるだけでごはん三杯はいけますのよ。

 


 先日、県庁に参りました。用向きは

 


 コレを手に入れるため。図書館で見かけて、これはぜひ入手せねばと思いました。県庁3階の刊行物販売所で合わせて 290 円なり。

 


 内容はこんな。「茨城―」の方は土地・人口・経済から安全・医療まで、実に百項目以上を各県の数値でランキング表にして茨城の位置を示したもの。何のことはない、都道府県の実態を数字で見る第一級の資料です。これだけで2つ3つは記事を書けるぜひっひっひ。まあそれはのちの話として、一点だけ、これは声を大にして言いたい。悪い方向で茨城が全国最低になる項目など一つもないんです。県民の収入とか土地の広さとか、むしろ全国上位のものが多い。かの「魅力度ランキング」がいかに実体のないイメージ調査のみで作られた統計的に無意味なものであるかがよくわかります。しかしそんなものをマスコミが面白半分に騒ぎ立て、各行政の担当者が頭を抱えるわけで、ブランド総合研究所さん、おたくのやっていることは人の迷惑にしかなってませんよ。


 というのはさておき


 総合案内の「ご自由にお持ちください」コーナーでエラいもんを見つけてしまった。

 


 とれいるまっぷ?

 


 小さく手帳大に折りたたまれているのを広げてみて、思わずうわあとか声を上げてしまいました。地形図です、ボクの大好きな。県が整備を進めているハイキング路「常陸国ひたちのくにロングトレイル」の一部分の地形図とその範囲内の地形、自然、歴史、文化が簡潔に解説してあります。おおおこれは自然観察や山歩きのお供になるじゃないか。同じコーナーにパンフレットもありました。

 

   


 トレイル : 自然散策路、くらいの意味です。欧米ではそれを何十キロ、何百キロと一続きに歩けるように整備したものを言うようです。外国での流行を受けて、日本でも耳にするようになりました。茨城県でも数年前から「茨城県ロングトレイル」の名で整備が進み、完成時には全長 320 キロになる長大なルートが今も伸展しています。ネットでポスターと心に迫るイメージ画を見つけましたのでご覧ください。

 

         

      

         



 また余計なことを書きます。


 最近の県の施策ときたら。県立図書館ロビーにカフェ、県立植物園を営利施設に(本当におやめなさいってば。「赤字」年1億じゃ済まなくなりますよ)、県民が慣れ親しんだ施設名を企業に売り渡す、などなど。おカネがらみの浅ましい所業が目立ちます。その一方で大洗をカジキ釣りの聖地にしよう(誰得?)とか県立高校を片っ端から中高一貫にしようとか、茨城県北芸術祭のような文化的施策は消されちゃうし、もう訳がわかりません。現場を知らない人の思い付きがぜんぶ実行されちゃっている感じです。納税者として思うところはまあいろいろ。


 そんな中でのこの「常陸国ロングトレイル」は、何と言うか、秀逸です。間接的には地域振興になって、その意味では営利的と言えましょう。でも何よりこの、古代から人の営みとその歴史が刻まれた土地、意外に複雑な地形と多様な生物が生み出す自然景観、そんなものがコンパクトに折りたたまれた天地を県民に広く再確認してもらおうとする気概が感じられてまことに秀逸。県のお役人にもまだまだこんな素敵なアイデアをお持ちの方がおられるのですね。


 そしてこの地図です。トレイルの主要部分が、観光案内とともに地理院の地形図で解説されてます。嬉しいことにこの地形図、2万5千分の1図より詳細なものが使われていて、地図マニア、山歩きマニアとしてはまさに実用的コレクションの対象です。県北山地を調べ歩く時にこれがどれだけ役に立つか。考えるだけでもう心は雲の上。

 


 現時点で 12 種類。内容は改定されるし、新たな地図が追加されるかもしれません。八溝山付近のがまだないようなので、ぜひ。


 さてしかし困ったというか使いづらい面も。各トレイルマップの地図が大縮尺なぶん範囲が狭く、あれこの地図はどのあたりかな、他の地図との繫がりはあるのかなというのが(マップに説明があるにせよ)わかりづらい。…… ふっふっふ、負けないぞ。

 


 県庁でもう一つ手に入れたのがこれ、茨城県鳥獣保護区等位置図 242 円。裏と表で茨城県全図、これは猟師さんのために県が発行しているものです。私は狩猟なんて致しませんが、この地図には県下の自然保護区が図示されていて、むしろ自然度の高いフィールドを探すのに役立ちます。この図に各トレイルマップの範囲を書き込めば無敵の資料の完成じゃないかわはははは。

 


 でこんなことになりました。マップの範囲を黄色マーカーで囲み、私のフィールドをピンクマーカ―でチェック。うわあ気分がアガるなあ。世の若い人たちが一生懸命働いてらっしゃる時に何ヒマなことやってんだと怒られそうです。この全図と各マップを使って、今年は歩き回ってやろうと思います。

 


 ここまで読んでくださった世の中の九割九分を占めるカタギの皆さま、ジノ。めはいったい何を言いたいのか、何を自慢したいのかと困惑しておられることでしょう、うひひ。いいんですわからなくて。たくさんの地図を手に入れたこと、この世にただ一つの「オレの地図」を作れたことを理解してやろうなんて、そんなあなたのゴールポストを動かすようなことはしなくていいんです。ただ私はハッピー。それをお伝えするだけの記事でした。

 

 

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一銭にもならんスキルで初モノに出会う

 

 特に何かを期待したわけではありません。カメラにマクロレンズを装着したつもりが実はズームレンズ、まあいいかなんて思う程度に。先の「色」記事のネタ探しに、野外を軽装で歩いたんです。何か赤い実でもあれば、くらいの軽い気持ちでした。

 


 山と里が接するあたり、苔むした舗装道路が森へと消えていきます。道の片側は資材置き場が放置された草むら、もう一方は管理放棄の荒れた林。道端は1回くらいは草刈りされたかな、程度のガサやぶ。茨城の農村によくある、バブル期にお百姓さんが建設業に手を出してやがて廃業しました的な、私の目で見たら由来も含めて何一つ誉めるところのない土地です。足早に通り過ぎようとしたのですが、ちょうどこの写真の場所を過ぎ行こうとして不思議なことが起こりました。頭の中でビーッと警報ブザーが鳴って、ぴたりと足が止まったんです。まるで身体に備わった一連の反射行動のように。なんだなんだ。


 以前に「生物屋の眼」というお話をいたしました。頭で判断するより先に眼が見つけるという、フィールドで永く過ごした者だけが体得する秘術です。どうやら発動したようです。

 


 これに対して。そうです、昨年も今ごろ探索に日々費やし大騒ぎをしていた天然の神秘。冬虫夏草ヤンマタケです。

 


 自分で驚きました。そもそも今日は軽装で、近所を散歩するような感覚で、しかも足を速めて過ぎ行こうとした場所です。ヤンマタケなんか予期してないし、何より意識的には何も見てない、何も探してない状態だったんです。でも見つけてしまった、この眼が、無意識が。ヤンマタケを探索しすぎて、眼が風景の中からヤンマタケを勝手にパターン認識して勝手に反射行動を起こしたということです。なにこれちょっと怖い。というかいらん。いらんわ、そんな一銭にもならん無駄な能力。


 あああ、世の中の同世代はパチンコ台の釘を読むとか明日の株価チャートを幻視するとかおウマさんの足の張りからレース結果を予想するとか、今この瞬間も実利ある修行を積んでおられるというのに、わしはナニが悲しゅうてこんなスキルを身に付けてるんだ、しかも知らぬ間に。


 というわけで貴重な自然の宝の初モノをゲットした喜びよりも、我が身が体得したあまりにもしょーもない能力のその情なさに驚き愕然としています。え?ナチュラリストなら喜べって? いや浮世離れもここまでくるとさすがにじくじたるモノがあるのです。

 


 それにしても人家が見える場所です。一昨年の記事で「ヤンマタケは人里にはない。ヒトの気を嫌うのだ」てなことをエラそうに書いてましたが、これは訂正すべきだろうか。さらに言うなら、ここは水辺から 50 メートル以上離れています。これまで沢沿いばかり探していたそのやり方を改めなくてはならないのかも。うーむ。

 


 気を取り直して観察します。トンボの翅は落ちてましたが、胸の斑紋から宿主はノシメトンボと判断できます。

 


 各節からキノコを出していて、生育状態は良好です。今回は採取せず、初夏まで成長を観察しようと思います。

 


 冬ですが菌類(キノコ)には活動期のものもあります。これは冬キノコの代表エノキタケ。そうですあの鍋に入れるエノキタケ。スーパーで売ってる白いのはもやし栽培されたもの。それとは比較にならないほどこの天然物は香りもうま味も絶品です。

 


 切り株にも冬の生命が宿ります。

 


 オレンジ色のつぶつぶ、直径1ミリの半分くらい。これも菌類です。

 


 この手の微小キノコを網羅した図鑑は存在しないので、名はわかりません。でも確かに、冬の森に生きるものです。

 


 冬日に養分を蓄えるヒガンバナ、冬を選んで恋をし子孫を残すフユシャク。冬にせっせと働くアリもいました。なぜか冬を挟んで長い長い時間を成長と成熟に費やすヤンマタケもまた、この季節を貴ぶものです。静かな森でひとり思索にふける、そんな生き方を好ましく思います。この冬もまた、探し歩いてみるつもりです。

 

 

 

 

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いのちの色

 

 日々モノトーンの風景の中にある雪国の皆さまにこういう愚痴は申し訳ないのですが、雪のないここ茨城とて冬枯れの野山には色彩が足りません。新旧の写真から「色」を探してみます。

 


 ナニ考えたんだか、昨年こんな写真を撮っていた。机まわりの石をセンスのかけらもなく事務的に並べてます。美大デザイン科の入試にある「平面構成」でこんな配置をしたら一発不合格です。

 


 庭の菜園にはキャベツやらハクサイやらのアブラナ科がいつもあって、防虫網を掛けていてもモンシロチョウが産卵していきます。アオムシも見つけ次第駆除するのですが、人間の目には必ず目こぼしがあるもので、無事成長しおおせたのが畑まわりの塀とかで蛹になってます。越冬蛹は保護色の枯れ葉色。春を夢見て眠りの中に。これは見逃してやりましょう。食われたキャベツは戻らない。

 


 ほんのちょっとしたタイミングの遅れが命取りになることもあります。塀まで辿り着き、身体を蛹の形に固定してさあ皮を脱ぐぞというところで極寒になり、動けなくなったモンシロ青虫。写真ではまだ緑色、生命を保っていますが、二日後には黒ずんでぐにゃりとしおれ、それは虫からモノに変わった色でした。こうして何割の幼虫が命を落とすのだろう。

 


 ヒトもいつかは命を終えます。葬儀で行った和歌山の、そのスジで人気の「南海加太線」。終点の加太にはずらり居並ぶ人形で有名な淡島神社がありますが、この時には特別塗装の「めでたいでんしゃ」が評判でした。赤という色の持つ力強さ、生命力の表現です。生と死と、思うところはいろいろに。

 


 赤と言えばこれ。いつも自慢してごめんなさい。農業県茨城に住む幸せ、我が家は毎年大量の栽培イチゴがほぼ無料で供給される「里山経済」に組み込まれていて、対価として作られるジャムの恩恵を頂いてます。これぞ生命の色。

 


 庭の赤い実で最後まで持ちこたえていたクチナシも、ヒヨドリどもの標的となって食いちぎられていきました。それが本来のクチナシの戦略なので文句は言えません。

 


 赤い実と言えば、その鳥の落とし物から芽生えた我が家のビナンカズラ。この実が赤く色づくのを楽しみにしていたら

 


 赤くなるそばから鳥に持って行かれました。おのれえええ。それが自然なんだけどおのれええええ。

 


 と思ったら繁茂したツルや葉の下に、無事な実が端正に色付いてました。霜に当たって少ししなびてますが、色といい形といい、野外で見る果実でこんな美しいものをほかに知りません。雄花雌花を同時に付ける両性株は貴重なので、大事にしたいと思います。

 


 石の口直し。私らしい、と言っては自惚れですけど、やはり石はこう撮ってあげたい。

 


 赤はやっぱり強い色。

 


 晩秋、庭で最後に収穫されたパプリカ。食材としては好きじゃないけど、このまばゆいばかりの生命力に敬意を払っての一枚を。

 

 

 

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霧のダンジョン

 


 朝起きたら霧でした。

 


 昨夜来暖かい雨が降り、大気に満ちた水蒸気が冷やされることで霧になったようです。川霧や海霧と同じ「蒸発霧」でしょうか。ちょうど今日は「駅までさんぽ」の日。カメラを持って、さあ街に出よう。

 


 こんな風景を

 


 切り取ればほらここは異世界

 


 カメラ任せならこうなる風景が

 


 ほーら面白くなる

 


 この光、写し留めてやらねば


 なーんて感じで写真並べます。

 

       

      

               

 


 ああヒマそうな奴が写真撮ってやがるな、とお勤めに急ぐ皆さんからは思われたことでしょう、本当にごめんなさい。まだちゃんと仕事をしていたころ、朝ぼらけの濃霧、昼下がりの降雪、午後の蒼天、夕刻の大雷雨、そんな状況に遭遇するたびに外を出歩きたくなる衝動に悩まされました。世のため家族のため年月を費やしてもう若くはないけど、ようやく手に入れた日々です。お許しください。


 それにしても今回のタイトル。ダンジョン好きだねえと言われれば、そうですねと答えるしかないのだけど。

 

 

 

 

↓ 水戸の街、お散歩でめぐる日々。

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雪の御岩神社

 


 正月五日、御岩神社に初もうで。

 


 9時前っすよ。もう第4駐車場まで車が一杯。御岩の神さま人気絶頂っすね。

 


 国道 349 からここ御岩神社のある入四間いりしけんに上る途中に、周囲が雪景色になりました。調べたら三日の日に降ったようです。水戸はその日も晴れてました。雪の降らない土地柄なので、門前町の雪景色もまあ新鮮。

 


 鳥居前。もう結構な人出です。コロナ禍からすっかり回復しました。ワゴンの出店はいつもの Cafe Sfiato さんも含めてこの配置。あの鳥居をくぐった瞬間から空気感が変わります。さあ行こう。凍った足元に気を付けて。

 


 鳥居くぐってすぐの愛宕神社。階段を登ったところに祠ほこらがあります。一時期、ここに通行禁止の札が立つという無粋なことになってましたけど、階段があればそりゃ登りたくなるわなあ。御岩神社に数多く祀られる神さまのひと柱です。

 


 境内でボクの好きな場所。こういうものがあるのはそういう場所だから。

 


 森閑な写真を撮りたくて、人がいなくなる瞬間を待ちました。たぶん帰路には人が増えて撮れなくなる。

 


 勝手に命名「緑陰の小径」にも雪。

 


 ヒノキゴケたちも白布団の下。

 


 久しぶりの水の恵みをむしろ喜んでいます。

 


 こころなしか、仏さまも穏やかなお顔に見えます。

 


 沢を挟んで向かいの女坂を下る人たち。どうやら参道を登って本殿にお参りし、帰りは女坂というのが流れのようです。一方通行でスムーズに。え、今までもそういうルールだったのかなあ。これならお正月の大量の参拝客も難なくお参りできたことでしょう。

 


 斎神社回向堂。神さまと阿弥陀如来がおわすという神仏習合の名残りを残します。

 


 そしておおお、大日堂が開いている。御開帳は正月と春秋の回向祭の時だけです。

 


 極彩色の聖画に囲まれて大日如来。宇宙を顕現した仏さまです。明治政府の神仏分離から守られました。

 


 神も仏も習合する、ここは龍脈と精霊の集う聖地です。昔も今もそれが見える人がいて、感じる人がいて、祀まつられ畏おそれられ数千年のあいだ人々に崇敬され続けています。

 


 御神橋を渡って

 


 本殿へ。おじさんおばさん老婆も孫も、タトゥーにピアスのおニイちゃんもみな目を閉じて手を合わせ…… 日本人の信仰心をいつも不思議に思います。この、文明が行き届き日々科学の恩恵に預かる国の人々が、一神教の論理的な信仰ではなく、ジャングルや原野で暮らす人々と同じアニミズムを根幹とする自然崇拝をする。それは「頭」で考えたのではなく「前頭葉」で感じたままの原初的な信仰です。自然を畏怖し敬うこころ、それが日本人のイデオロギーだと思ってます。

 


 わあ登山禁止。山頂まで行く気満々だったのですが、この積雪では危険だしなあ。

 


 晴れただけでもオンの字か。

 


 本殿から見下ろす一面の、これすべてシャクナゲの木。ほんの数か月後にはピンクの花々に視界が満たされることが、何と言うか信じられません。


 さて何枚か、色調を変えた写真をお許しください。この聖地の神性を表現したくて。


 はいここまで。

 


 シャクナゲを近景に、なんて月並みな絵が浮かんで、何枚も撮ってしまった。

 


 いつまで経っても「記録写真」しか撮れません。

 


 さてこれは何だ。車に戻ってトランクを開けようとしたら、写り込んだ青空がきれいだったので。以上で初もうでは終了です。2025 年かあ。どんな年になるのでしょうか。

 

 

 

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川はじめ石はじめ

 

 ひとり森の一軒家に暮らし、多くの人が待つ職場に通う。


 思い描く理想の職業生活はそんなものでした。実際に仕事では数百人を前にすることもありましたが、ジョブ・モードに切り替えているのでむしろ楽しんで仕事をしておりました。でも私生活はとにかく静かに過ごしたい。自然の音しか聞こえない森で、ただ心を澄ましてとりとめのないことを考えていたい。冬空にたたずむ一本のぶなの木のように。もちろん現実は町場暮らしで家庭生活があって家族とのやりとりがありましたから静かとはいかず、ただ書斎にバリヤーを張って籠ることで心の平穏を保ちました。家に「仲間」とやらが出入りする私と対極のライフスタイルの方々を、私はもう尊敬すらいたします。

 


 こんな奴ですから、新年も年神さまをお迎えして近所の神社に詣でて、それ以外は日常でいいんじゃないかと思っています。テレビも年末年始のかまびすしいバラエティ番組は見るに堪えず、関東キー局で最も平常心テレ東をつけっぱなしにして。


 そんな私の家ですが、年末は家人の指図で新年準備、元日は十数人が集う賑やかな新年会です。たぶん私以外の全員が楽しみにしているうえに家人がコミュ力高いわ気が利くわお世話大好きだわで歓待するので、喧噪の中私は心を無にしてただ座っています。忍法死んだふりとも申します。死んだふりなのにそれだけで消耗してます。


 以上前置きでした。元日の晩、ストレスからくるめまい、いわゆるメニエール病が久しぶりに出ました。翌二日、キラキラな目でつくばに買い物に行こうという家人を他の家族を同行させて送り出し、私はひとりフィールドに出ます。フィールドに避難するというのが正しい。頼む息継ぎさせてくれ。

 


 ぷはーっとここは久慈川、超・渇水期にしか歩けない「中洲まで川の真ん中歩き」です。ああ楽しい。良く晴れて、風もそれほど冷たくはありません。

 


 久慈川の水は化学的生物学的に決してきれいではないのだけど、とにかく澄んでるだけで気分がよろしい。

 


 メノウが堆積するのは久慈川でもごく限られた河原で、そういう場所は石の動かなかった今年は採り尽されてます。穴場狙いのつもりで来ましたが、この中洲は以前に来た時も何も拾えなかった場所なんだよなあ。まあおかしな期待はしないように、と歩くと小さな珪化木のカケラがありました。

 


 中洲に上陸して…… ひええ、石を掻いた跡がある。もう誰かが入っているう。いつどこから入ったんだろう。ここは流れが速く、しかもずっと増水してたのに。こんな感じで、最近の久慈川は隈なく人跡が付けられてます。そういえば年末の頃、さる河原でメノウを探す人を遠目に見かけたのですが、これがただ者じゃなかった。学歴高そうな初老の紳士なのですが、ウエーダーと呼ばれる胸までの胴長を着けて、その手にはカッチャという長柄の先に小さな三角の刃が付いた鍬くわを持っておられました。砂金採りの人のいでたちです。そういえば久慈川で砂金採りをするお医者さんのグループがあったけど、そういうスジの方だったかも知れません。かなわんなあ。

 


 それでも小さな玉髄のかけらを1個。持ち帰るほどではないけど。

 


 まあ、フィールドを歩くことが目的だったのでこれで善しとします。

 

 

 これで終わるつもりでしたが、冬枯れの河原を見るうちにふと支流の山田川の河原が思い浮かびました。21 年の 12 月に行って記事にして以来現場を見ていません。自分のフィールドの現況確認は、ナチュラリストの重要な職務です。

 


 あああ、少雨で大水が出なかった証左、河原が草ぼうぼう。水は深く、このアシやらセンダングサやらの密林を突破しなければ目的の河原に行けなくなってました。軽い気持ちで来たのがエラいことになってしまった。

 


 大ナタを車に置いてきたことを後悔することしきり、大汗かいて全身に枯れ葉と草の実を引っ付けて、ようやく石河原に到着です。ぜーはーぜーはー。草の繁茂と増水と、そもそもマイナーな場所なのでたぶん夏以降どなたも入ってません。さっそくメノウのひとかけ。

 


 その後次々と。決して上物とは言えない玉髄ばかりですが、それすら拾えない今の久慈川本流と比べれば楽しい楽しい。

 


 黒い火山岩や堆積岩の多い本流と違って白い河原。山田川流域は花崗岩の露頭が多いのです。

 


 持ち帰りはこの仏頭構造の一部らしい1個だけにします。

 


 このあと富岡橋の様子を見て帰ったのですが、帰路ふと、めまいが消えていることに気付きました。久慈川の空気を吸ったのが良かったか、汗をかいたのが奏功したか。何にせよ私にはこういう生活が必要なんだなあ。つい先日もお勤めの誘いがあったのを断りました。これからも許される限りこうして生きて行こう。そんな新年です。

 

 

 

 

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