身内の若いのが六地蔵寺の胎内くぐりを見たいというので。
六地蔵寺というのは水戸市内にある名刹で、六体の地蔵菩薩をご本尊にするお寺です。市内東部、大洗街道から少し入ったところにあります。
こんなところ。
これが本堂でしょうか。
大同二年(807年)創建。古い古いお寺です。
樹齢200年のシダレザクラ。実はこのお寺はこれで有名。花の季節には大変な賑わいになります。でも今は静か。
樹齢800年の大イチョウ。幹の途中から別の木が芽生えそして根付いています。
六地蔵。正確にはこれはご本尊ではありません。ご本尊は屋内にあります。よく考えりゃ当たり前か。お地蔵さんではありません。れっきとした仏様、地蔵菩薩です。
我々日本人は地蔵菩薩を子供の護り本尊としてあがめる一方で、お地蔵さんを雨ざらしの辻に置いたりしています。仏教の思想と土着の道祖神信仰がごっちゃになっているのだとか。ここは仏教寺院、おられるのは立派な仏様です。六体あるのは六道それぞれの衆生を救うためとか。
裏手に回るとたくさんのお地蔵さんが。
いつ誰が
何を思って寄進したものか。
それぞれに深い想いが込められているのでしょう。
そのお地蔵さんたちに見守られるように胎内くぐりの入り口があります。
下りていくと天窓からほんのりと光が入り、仏様を照らしています。すぐ出口があって、あっけないほど短いものです。
一般には「胎内くぐり」というと神社で茅の輪をくぐるものを指します。「死と再生」の寓意であるとか。お寺にあるものは「胎内めぐり」とか「戒壇めぐり」と言い、お堂の中に作られた昼でも真っ暗な通路を歩く「修行」です。仏様の胎内を模した漆黒の闇を鎖などを頼りに進む。その間に穢れが祓われて生まれ変わる、こちらも「死と再生」の暗喩かと思います。光のありがたさを再認識するためとも言います。善光寺や清水寺のものが有名です。
六地蔵寺のが異色なのは屋外にあって土足で入ること。距離が短く真ん中に天窓があって暗黒ではないこと。「めぐり」でなく「くぐり」なのは仏の胎内というにはあまりにも短いからでしょうか。
境内には古墳…小規模な円墳があります。実はこのお寺、古墳群の上に建てられているんです。胎内くぐりも小高い丘の内部にありました。ひょっとして、元は古墳の石室を利用して作られたのでは? いえ、単なる推測ですけど。
円墳の一部が削られている場所をよく見たら…… これなんだかわかりますか。なんと円筒埴輪のかけらでした。本当に古墳なんだ。
梅の根元に点々と
フキノトウがもう咲いてました。暖冬なんですね。暖冬なら暖冬なりに、春が待ち遠しいものです。