今日の目的はスハマソウ。キンポウゲ科。県のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類(近いうちに絶滅しちゃうかも類)。茨城県内ではものすごく分布が限られます。それゆえ有名になっている産地があって,山歩きのグループの方々が押し寄せているとか。さてそれは良い事か悪い事か。私はそこには近づかず,あるマイナーな自生地を9年ぶりに確認しに行きます。
飛行機雲びゅーん。今日もいい天気です。世の同年代のおじさんたちは,仲間とゴルフしたりパチンコやギャンブルに熱を上げたり,楽しんでらっしゃるんでしょうね。……本当に何をやっているんだろう,わし。
コレは道か斜面か。カテゴリー的に半々というところ。本当に人が来ない場所なんですね。この辺りのはずなのですが,道沿いには何もなし。やはりこの斜面を下りねば。そうここは,土の崖の急斜面にスハマソウが自生しているんです。勢い付けて転がればかなりイケます,谷底へ。我ながら,なんでこんなことに命を懸けるんだろう?
株はあったけどまだつぼみ。早かったかな?
見つけた! ほんのりピンクがきれい。まずは権三さんに撮ってもらいます。
ジェニファーで撮りたいけど,足元がぼろぼろと崩れて安定しません。土の斜面は先日の雨で緩んでいて,体がずるずる落ちていく。足場が悪すぎて,伝家の宝刀が抜けません。
少しずり落ちたところで体勢を整えていたら,別の開花中の株を見つけました。とにかく,ジェニファー・90ミリマクロセットオン。さあ来い。
ヒラタアブ訪花中。受粉させてます。
純白の花,これはこれで美しい。でも日本海側,特に佐渡のスハマソウは大輪で青紫色や紅紫色など花色も多彩だそうです。いつか,いつの日か見に行きたいと思い続けています。
腹いっぱいに写真を撮り,ずるずると落ちながら斜面を這いあがり,ようやく道に戻ります。このまま帰ればいいのですが,最初に見たピンクの子が気になってしょうがない。あの子も90ミリで撮ってやろうよ,せっかく来たんだからさあ。渋るもう一人の自分にそう言い聞かせることしばし。意を決して,もう一度斜面を下ります。変な話ですけどだいぶ斜面に慣れてきたので,いけるかなと。
はい撮った。これで思い残すことなし。
私は女性をこんな風に追い回したりすることはありません。なぜにたかだか花の写真を撮るためにこんな労力を払うのか。それは,自然の事物との出会いが一期一会であることを知っているからです。
人はあと何回美しい満月を見上げるでしょうか。せいぜい数回。何回虹を見て歓声を上げるでしょうか。これも実は数回。
同じ場所にまた来られるとは限らない。来られたとしても,同じものに出会える保証はない。例えばこのあと突然私の体が不自由になる。災難はいつも不意打ち。事故なり病気なり,それはいつでも(誰にでも)起こりうること。そうなったら,もう二度とこの場所には来られない。それがわかっているから,こうした出会いを大切にしたいと思っているんです。
ヒオドシチョウ
せっかくなので,すぐ近くのピークに登ってみました。まだ冬枯れの風景ですが,日差しがとても暖かい。さっきは越冬後のヒオドシチョウが飛んできました。もう春です。
ジェニファーとか権三さんとかワケわかんない人は パートナーたち - ジノ。 をご参照ください。
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